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06 反復してく。色気。女殺油地獄💁‍♀️

自分が何者なのかわきまえてるものが好き。
今回読んだ、桜庭一樹さん訳の女殺油地獄はそういう感じがした。京都芸術センターの講堂で考えてみる。

↑これはわかりやすい解説。

中盤、徳兵衛(義父)が与兵衛(息子(主人公))に
「浄瑠璃人形でさえ、魂を入れれば心が生まれ、人と同じく、泣き、笑い、思慕や望郷の念を得て生き
るものじゃ」と言うセリフ。実際人形浄瑠璃なので、人形が人形に言ってる

終盤、与兵衛がお吉を殺した数日後、お亀が与兵衛に
「どこだかの町の油屋で事件がありましたなあ。若女房がひどい殺され方をして、売上金も盗まれてのぅ。あれがさっそく芝居になるらしいですがな。、、、(ちょっと省略)河与様(与兵衛)も小菊を連れて観に行かれると良い。」
自分の犯した事件が芝居になり、それに誘われる。

最後、
「かれのこの悪行はわずか一月半後、近松門左衛門の手で芝居となって小屋にかけられたが、油屋の株仲間の働きもあってすぐ打ち切られた。そのまま一度は世の中から半ば忘れられたが、明治時代に坪内逍遥の手で発掘されたことから、再注目され〜〜〜」
この芝居の辿った歴史をふまえてる。

など。。事件が起こり、芝居になり、それは人形浄瑠璃であり、打ち切られて、発見されて、現在自分が読んでいる(鑑賞している)
事件は様々な場所や時代に様々な形で反復されてる。観客もその反復(反芻?)の一員として受け入れられていような感じで、そこが魅力的だった。
だから事件の反復を予感させるセットを考えることにする。
浮遊する事件現場、血と油で汚れた豊島屋。

女殺しのスケッチ

オーロラの背景に江戸時代のセットと血。血はリアルな感じよりは、炎のような、ゆらゆらした漫画みたいな感じが良い気がする。

女殺平面風


それと
なんといっても油まみれで殺すシーンが最高。色っぽい。大量の油と血でヌルヌルしてる。
戯曲を読んで、恐ろしげな殺人事件なんだけど、全体的にみんな優しい感じがした。ファンタジーっぽいというか。。
五社英雄監督の映画のものを見たときは全員悪人だった。

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(それはそれでかなり楽しかった)
誰がどういう方法で作るかでこんなにも違ってくるんだなと思った。
そして今戯曲を読み終えた自分の想像の世界は、なんか優しい印象だった。殺すシーンは怖いというよりは色っぽい。どちらかというと濡れ場。

よく観察したいけど、恥ずかしくてなかなかできない濡れ場は、殺人に変換されることでそれが可能になってくる気がする。
衝撃的と人が言うのは、無残に切り刻まれてしまう殺人事件なのに色っぽい印象を持ってしまう自分の感覚に対しての衝撃なのかも知れない。

そして、色気は面白い。バカ殿の両隣にいつも色っぽい美女がいたのもだんだん理解できるようになってきた。

最後に
様々なシーンがあり、読んでいたら俯瞰のイメージをもった。人形浄瑠璃は人形が演じるから俯瞰のイメージも作れるかなと思いきや、一体につき3人の人で動かしてるため、面積が必要。
タイトルも女殺油地獄だし、油まみれの殺人事件であることはほとんどの人が承知の上で鑑賞する。だったら色々身勝手にやってもいいだろうと、いろんなとことを無視したが、やってくうちに、勉強すればよかったと後悔してきた。まずは、文楽を見にいきたいな。


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