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業務内オペレーション率 - 戦略と戦術をつなぐ最重要業務として

これは自分の仕事、および、関係者の仕事を振り返るときに使っているフレームワークです。使い始めてちょうど1年くらいなのですが、自分にも他者も使えるので出番が多く、今では採用も含めてあらゆるところで使うようになりました。

「業務内オペレーション率」が何かというと、自分の仕事を「戦術」「オペレーション」「戦略」の3つに分けて、自分の役割にふさわしい責任を果たしているかを振り返る、というものです。タスク単位やプロジェクト単位で振り返るのではなく、大まかに分類した3つの責任単位で振り返るのがポイントです。なかでも特に「オペレーション」の考え方が大事になってきます。以下、説明していきます。

戦略と戦術とオペレーションの定義

業務内オペレーション率を把握するために、戦略、戦術、オペレーションの順番で説明していきます。

戦略とは
明日のこと。未来のこと。What to beを考えること。

戦術とは
今日のこと。現在のこと。What to doを行うこと。

オペレーションとは
まず、戦略を戦術につなぐこと。次に、戦術の結果を、戦略にフィードバックすること。

すごく簡単に説明すると、こうなります。すると「戦略ってそんなに簡単なことなの?」そして「オペレーションってそんなにめんどうなことだっけ?」という疑問が出てくるかもしれませんが、答えはどちらも「Yes」です。戦略は決して難しいものではありませんし、反対に、オペレーションはめっちゃ難しいです。

たとえば、ある子どもが「プロ野球選手になりたい」と考えたとします。これは、明日のことであり未来のことでありWhat to beのことですから、まさに「戦略」です。難しいことではありません。

その小学生が、チームメイトとキャッチボールをしたり、ひとりでバットの素振りを行ったとします。これは今日のことであり現在のことでありWhat to doのことですから、まさに「戦術」です。これも難しくありません。

ところが、これくらいの戦術でプロ野球選手になるという戦略が達成できるかというと、おそらく難しい。欠けているのは、その戦略を戦術に落とし込む「オペレーション」です。なんの技術をいつまでに習得しなければいけないか、それにはどれくらいの練習が必要なのか、どこに進学し、どういう環境を構築しなければいけないのか。そしてどういう結果を残さなければならないのか。戦略から逆算して計画し、実行可能な戦術に落とし込んでいくことが必要です。さらに、その戦術の結果が出たら、それが良いものであれ悪いものであれ、もとの戦略に修正を加えるべくフィードバックします。社会人野球に進むのか、趣味として続けるのか、などなど。このような一連の業務こそが「オペレーション」です。そしてそれは、言葉の響きほどには簡単じゃありません。

業務内オペレーション率

3つの責任の定義ができたところで、次は役割ごとに期待される責任のバランスについてご紹介します。

以下に掲載する図は、私が作成したサンプルです。実際は、会社や組織によって期待されるバランスが異なると思いますので、そこは各自でご調整ご確認ください。

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文字が少し潰れてしまっていて見づらかもしれませんが、役割(Role)は上から順に、Junior Assistant、Senior Assistant、Junior Associate、Seinor Associate、Director、Vice President、CxOです。責任(Responsibilities)のほうは左から順に、薄いグレーが「戦術」、中間的なグレーが「オペレーション」、濃いグレーが「戦略」です。

じっくり眺めていただくいくつか発見があるかもしれませんが、先回りして私からいくつかのことを説明します。

・戦略は、Junior Associateの段階から必要。それはわずかな割合でもいい。それがあるからこそ、意味のあるオペレーションができる。
・シニアになっていくにつれて割合が増えていくのは、戦略よりもオペレーション。DirectorとVice Presidenは業務の半分がオペレーションであり、しかも戦略の割合を上回ることはない。
・CxOの仕事は戦略。当たり前だけど戦略は重要。

具体的な利用方法

3つの責任の定義を理解して、役割ごとの責任のバランスの期待値を確認すると、今の仕事の振り返りができます。

たとえば、シニアなのに今日のことばかり考えていたり、ジュニアなのに未来のことばかり考えていたら、見直しが必要です。また、オペレーションに時間を使わず、戦略と戦術が未接続のままだとしたら、誰かがその役割を果たさなければいけません。あるいは、CxOが戦略に時間を十分な時間を使えていないとしたら、まわりが戦術やオペレーションでサポートとして、それに費やす注意と時間を確保してやらねばなりません。

と、こんな感じで、あるべきバランスを考えるフレームワークとして利用します。

それにしても、オペレーションって大変ですよね。戦略には、熱意や意思やひらめきといったものが重要ですが、オペレーションには時間や注意力が重要です。しかもそれは、かけた時間や注意力がクオリティに直結するタイプの仕事で、誤魔化すことができません。近道のない、難しい仕事だなと思います。だからこそ、とっても重要なんです。

参考資料

インスピレーションを受けたのはMelissa Perriさんの『Escaping Build Trap』です。本の一部を私が咀嚼して発酵させたのがこのフレームワークなので、同じことが書いてあるわけではないのですが、参考として。

邦訳はこちら『プロダクトマネジメント ―ビルドトラップを避け顧客に価値を届ける』。なんか主語が大きくなってますが、中身は「ビルドトラップ」についてです。



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