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「普通の恋」について

2024/01/05/23:30
業務終了
主婦の山田さんと駅ビルを出る
駅ビルの運営は23:00までなので
従業員用出入り口から出なければならない
お店のある1階から6階へ上がり
寿司屋の前を通り
本屋の中を突っ切って
業務用エレベーターで再び1階へ降りる
普通にめんどくさいが
わたしは意外とこの過程が好きだったりする
締め作業をした同僚と
たわいもない話ができるからだ
特に締めの時間まで残っている方は
素敵な方が多く
話していて気が楽だ
今日一緒に帰っている山田さんも
言いたいことを気分爽快にストレートで伝えてくださるので
こちらも気を遣わなくて好きだ
そんなことを思っているうちに駅ビルを出て
山田さんと駅のホームで別れ
帰路に着いた
今日も蒲田の夜は明るい
眠らない街とはよく言ったもので
仕事始め最初の金曜日ということもあり
昼間と変わらない人通りである
酔っ払いの大きな笑い声や
どんな組み合わせやねんって感じのカップルが
わたしの横を通り過ぎ
駅へ向かっていく
時折り聞こえるパトカーのサイレインは
日常の中に溶け込み
誰も気に留めない
これはこれで好きなのだが
バイト終わりの空気感には合わないので
イヤンホンをしてプレイリストを再生する
バイトの後の疲労感と少しの高揚感をエンジンに歩き出す
今日は絶対にコンビニに寄って
なにか食べようと決めていたので
近くのLAWSONに入る
ここで次の曲に切り替わった
以前友人がカラオケで歌っていて
気に入った曲である
わたしは人が歌った曲を好きになることがよくある
例えば
King Gnuの「飛行艇」や
井上陽水の「コーヒー・ルンバ」だ
とにかく
その曲を聴いていたら
猛烈に恋人が欲しくなった
別にわたしは変わり者ではない
11歳でドストエフスキーを好きにならないし
手首を切るためにコンビニに寄ったわけじゃない
でも
普通の恋してぇぇぇぇぇぇぇぇ
となった
これを読んでいるそこのあなた
誰か紹介してくれ
あわよくば
JUMANJIでゲラゲラ笑い
シチリアサマーで一緒に泣き
アメリを観てこういう恋がしたいね
って言ってくれる素敵な方がいいです

2024/01/05/23:55
LAWSONでフォーを買って帰宅
まだ頭の中では
恋してぇぇぇぇぇぇぇぇ
と叫んでいる
階段を登ったら
誰もいないはずのシンクで
妹が口を濯いでおり
おうぇあ
と謎の奇声を発した
何事もなかったように
妹が3階に上がって行ったので
わたしも何事もなかったようにフォーを食べ始めた
まだ頭の中では
恋してぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ
と叫んでおり
この曲を歌った友人を少し恨んだ

2024/01/06/00:07
フォーを食べ終え風呂に入る
風呂に入ると何故か色々考えてしまうので
恋してぇぇぇぇぇぇぇぇぇ
をより言語化してみようと試みた
が失敗した
もしかしたら本能的なもので
言語化するには些か抽象的な感情なのかもしれない
しかしここであることに気づく
わたしは恋愛に向いていない
そもそも1人で行動できるので
恋人がいなくても不自由せずに楽しめる
友人たちも個性豊かで一緒にいて飽きない
1人で本を読んだり映画を観るのは楽しい
そう考えると
今までの元恋人たちに申し訳なくなってきたので
考えるのをやめて風呂を上がった

2024/01/06/00:46
湯たんぽを作るため2階に上がる
それでもまだ頭の中では
恋してぇぇぇぇぇぇぇぇぇ
と思ってしまうので
どうしようもない
とりあえず初めての恋人について思い出してみた
彼と初めて学校から一緒に帰ったとき
中学生独特の恋愛不慣れ感から
手を繋ぐこともできず
お互い曖昧な相槌を打ちながら
ゆっくり遠回りして帰った
正直何の話をしていたのか覚えてないが
なぜか彼の右脚が
道路の側溝にハマったことだけは覚えている
ジタバタしている彼を見て
腹を抱えて笑ってしまった
そんなことを思い出していたら
湯が沸けた

2024/01/06/01:17
湯たんぽを持って1階へ下がり
髪を乾かして布団に潜った
湯たんぽで温かい足元
ちょうどいい疲労感
全てが寝るために揃っているのに
頭の中では
恋してぇぇぇぇぇぇぇぇぇ
と叫んでいるので
今日はこの曲を子守唄にして眠りに着こうと思う

それでは聴いてください
SPANK HAPPYで「普通の恋」

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