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【新歌推介】 sica《天氣之女》:「ヂ、気のザ、。」謎日本語風タイトルの爽やかなJ系アイドルポップ 【香港音楽】

(2023/08/05追記:MVがリリースされたので追加)

曲名:天氣之女
歌手:sica 何洛瑤
リリース日:2023/07/31

作詞:鄭敏
作曲:周錫漢
編曲:Dick Wong / 周錫漢
監製:周錫漢

いつものように香港カントポップの新曲をあさっていたら、読めそうで読めない、日本語っぽいけどそうではない、不思議なタイトルのジャケットに目が止まった。


「ヂ、気のザ、。」

濁点の使い方が日本語っぽいが、意味がわからない。

曲情報を見ると、正式なタイトルは「天氣之女」らしい。

なんちゃって日本語風にするために意味のない濁点をつけたり、ちょっとカタカナっぽいフォントにしたりしてるんだろう(ちなみに「の」は香港や他の中華圏では、看板などで当たり前のように使われているので、ひらがなだけれども大抵の人が意味はわかる)。


歌い手の「sica」こと何洛瑤(Jessica Ho Lok Yiu)は、2021年、COLLAR結成のきっかけとなったテレビ局ViuTVの女性タレントオーディションで見出され、ViuTVグループ会社の専属タレントになり、以降は同局のバラエティ番組などで活躍している。

歌手としては、本作がデビュー曲になる。

sicaは子供の頃から日本のアニメ文化やアイドル文化に親しんでいたようで、デビューのきっかけになったオーディション番組でも、日本の女子高生風のセーラー服姿でパフォーマンスを行っていた。

(披露曲は00年代に活躍した香港のアイドルCookiesの『心急人上』)

インタビューによれば、2000年生まれのsicaは、幼少期に『マーメイドメロディー ぴちぴちピッチ』を見て歌に目覚め、小6でAKB48を経由してJ-POPや日本のアイドル文化にハマったのだという。

このデビュー曲『天氣之女』も、彼女が思春期の頃に聞いていたであろう、2000年代後半〜2010年代初頭にかけての日本のアイドルソングを彷彿とさせる、ギターの音色が爽やかなポップスに仕上がっている。

余談だが、近年の香港の音楽業界で「日本風」「J-POP」風、という形容が使われるとき、たいていはエレキギターがしっかりフィーチャーされたポップソングを指すことが多いように思う。K-POPブーム以降の打ち込み主体のダンスチューンとは違う、2000年代〜2010年代の日本のバンドやアイドルのサウンドが「J-POP的なもの」として香港のオーディエンスの記憶にも残っているからじゃないだろうか。

またイントロやサビのキーボードにはYOASOBIっぽさも感じる。彼らもK-POP勢が席巻する近年の香港でも極めて人気の高い日本のアーティストであり、日本風を意識した楽曲で、しばしば参照元になっているように思う。

作曲、プロデュースは、MIRRORの『BOSS』のプロデュースにも携わった作曲家、プロデューサーの周錫漢が担当。



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