見出し画像

私のヒーロー

誰にでも自分にとってのヒーローがいると思う。私にもたくさんいる。私がヘマをした時、困った時助けてくれた見ず知らずの人や友達や家族や会社の同僚等'やらかし'が多い私には沢山のヒーローがいる。

その中で印象深い2人を紹介する。まず1人目。川崎市の客先に行く時に例によって道が分からなくなった。2回目なので楽勝と気を抜いて歩いているとドンドン田舎っぽくなってきた。当時携帯で地図を見ることができない時代。田舎なので道を聞く人も通らないし困っていた。

少し時間がたって女子中学生が歩いてきたので、恥を忍んで「近くにバス停無いですか?」と聞いてみた。すると「分かりました。バス停までお連れします」と言ってその女の子が歩き出した。あわてて「いや、あの、どの辺にあるか教えてくれるだけいいから」と言うと「いえいえ、わかりにくいですからご案内しまます。こちらへどうぞ」と言って歩き出した。申し訳ないやら恥ずかしいやらで迷ったが、後を付いていくしか選択肢が無い状態。真面目で礼儀正しく意思が強い女の子そうだから、これ以上遠慮するのもおかしい。ぴったり付いていくと怪しいので、5メートルほど遅れて付いていったが、「これでも充分怪しいぞ。制服の女子中学生の後ろを出張用バックを持ったサラリーマンがずっと付けてるって」とドキドキしつつバス停がなかなか無くて500m以上歩いた。ようやくあった。女の子は「バス停はあちらです」と言って頭を下げた。私は「ありがとう。本当に助かりました」等とかなり恐縮して長い時間頭をさげた。世の中には通りすがりの他人にこんなに優しくできる子がいるんだと、まさに心が洗われる思いだった。その天使のような女子中学生を見送ってバス停でバスを待つことにしたが、良く考えると客先の方向すら分からないからバスに乗っていいかどうか不明。で、結局タクシーに乗って客先まで行った。「タクシーが通る道までわざわざ連れてきてくれてありがとう。でも相手によっては危険だよー」と御礼を心の中で呟いた。もう出会うことは無いので、代わりに誰かに親切にしようとその時は真剣に思ったものだ。一応今でも実践しているつもり。

そして、人生最高のヒーローは大阪駅の環状線のホームで出会った。夕方6時頃の大阪環状線ホームなので人が多くごった返していた。大半が私と同じおじさんのサラリーマン。

東口のエスカレーターから、2人の男が上がってきたが、なんかスゲー揉めてる。見た目はどちらも輩風というか、チンピ〇風というか、気質とはいいいずらい系。体格はどちらも平均的でボクシングなら、同じ階級でウエルター級当たり。歳もどちらも30代に見える。
「おのれはなめとんか!」
「やるんかボケ!」
とかなりの戦闘モード。私の10mほど先。2人はエスカレーターを降りて、向かいあって互いの襟をつかんだ。すぐ側に50人、100人のサラリーマンがいるのだがまず仲裁はできない。ちょっと仲裁しただけで、まあ確実に5,6発は殴られるだろう。しかもドラマでよく見る大振りのフックではなく、ショートパンチをパパンと叩き込まれるだろう。私も3人組のプロフェッショナルなグループに絡まれて、ほんのちょっと抵抗しただけでたいそう痛い目を見たことがある。なのでそれ以来夜の街で見かける度に、「目を合わせない」、「10m以上の安全な距離を取る」ことを心がけている。幸いなことに今回10mは離れているから仲裁するのは私のミッションでは無い。

同じような体格の2人が今にも正面からの殴り合いが始まる!とまさにその時小柄な人物がその2人の間に飛び込んだ。
「あんたらやめとき、こんなとこで!」と良く通る声がホームに響く。
仲裁したのは買い物帰りのような50歳ぐらいの女性。男2人に密着して挟まれながらも、男2人を上回る剣幕でその2人を睨みつけている。ここからどうなるのやらーと見てるだけの私が心臓止まりそう。しかし暴発寸前のガラの良くない2人は、ケンカに入る前に、なんかブツブツ言いながら、離れていった。2人が怖すぎてシーンとしたまま。結局その女性はわずか20秒足らずで暴力事件を未然に、しかも完璧に防いでみせた。大人しい私でも拍手やら、バンザイやら、「カッコいいぞ!」と叫んだりやら色々やりたかったが、我慢した。さっきの2人のどっちかがまだ近くにいると半殺しだ。誰も拍手もしなかったが、遠巻きに見た人も含めて100人以上は同じ気持ちだったと思う。そのぐらい3人の登場人物のインパクトが半端なかったし、何よりその大阪のおばちゃんの迷うことなく飛び込んだ大胆さと最適な判断力は本当に素晴らしくカッコいい。普段からそういう正義感の強い方なんだろうな!今でもそのシーンは鮮明に覚えている。その方は小柄だったのですぐに姿が見えなくなったが、後日合うことができるなら、その場にいたおじさんサラリーマンを代表して握手したはずだ。

以上ヒーローではなくヒロイン2人を紹介しました。

できればこのnoteで、私のヒーローがシリーズ化して様々な方にアップして欲しいところだ。それは難しいか(笑)。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?