アジア特許情報研究会

東アジア・東南アジア諸国・日本の特許情報、検索方法、データ解析方法、特許にまつわる機械…

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東アジア・東南アジア諸国・日本の特許情報、検索方法、データ解析方法、特許にまつわる機械学習技術の利用などについて研究している知財マンの集団です。

最近の記事

j-plat pat の文献固定アドレスを予測する

j-plat pat の2024年2月26日付お知らせ(J-PlatPat 機能改善について)にひっそりと「■文献固定アドレスの簡素化(短縮)<改行> 文献固定アドレスのランダム値部分をなくし簡素化(アドレスを短縮)します。」と記載されています。 ・・・ということは 待っていました、J-Plat Patの固定アドレス化が実現しました。👏👏 たとえば、特開2024-025536の文献固定アドレスは https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801

    • 過去 10 か月で 75,000 件もの特許が取得されたとピユシュ・ゴヤル氏は語る

      先日このnoteの「インド2023年登録特許件数」で2023年の特許登録件数が驚異的な躍進だとお知らせしましたが、インド商工省からも同様のアナウンスがありました。 https://www.business-standard.com/india-news/as-many-as-75-000-patents-granted-in-last-10-months-says-piyush-goyal-124012600645_1.html この文書によると、 とのことです。その要

      • インド2023年登録特許件数

        昨年、2023年の9月に「インドにおけるバックログの現状」として、2023年における特許登録件数の大増加についてご紹介しました。2023年の9月が始まった時点でインド知財庁データベースInPASSのデータを集計したところ、既に2022年の1年間の登録件数と並んでいることを報告しました。 ところで2024年もあっという間に2月になってしまいました。そろそろ2023年登録案件がもれなくInPASSデータベースに収録されたことと思います。最新の状況を調べてみました。 ■ 登録件

        • 中国特許出願人英語情報の異常表記(誤訳)

          2022年に指摘しました中国の2022年公開公報の出願人英訳情報が ・花王株式会社; FLOWER QUEEN JOINT-STOCK CONSULTATION ・住友化学;FRIEND CHEMICAL JOINT-TYPE CONSULTATION ・东洋油墨SC控股;EAST OCEAN INK SC-CONTROLLED JOINT-STOCK CONSULTATION のように中国語を直訳したような英表記になったままであることを中国特許情報収集中に改めて確認しました

        j-plat pat の文献固定アドレスを予測する

          ASEAN IP DATABASE(商標)

          特許情報が各国横断的に検索できるデータベースとしてEsp@cenetやPATENTSCOPEが知られており、無料で検索できます。各国特許庁データベースを個別にアクセスするより便利な面があります。 いずれも特許情報のみで、Esp@cenetでは原則、英語(フランス語)情報のみなので中国語やハングルおよびタイ語など東アジアやASEANの情報の収録は不充分と言わざるを得ません。 その点、PATENTSCOPEには原語情報も収録されていますので英語の誤訳などをカバーする点では優れて

          ASEAN IP DATABASE(商標)

          ASEAN IP DATABASE(商標・意匠)収録状況

          ASEAN各国の特許情報が横断的に検索できるASEAN PATENTSCOPEが衣替えし、ASEAN IP REGISTERとなったことは先日、研究会の中西さんからnoteで紹介がありました 。  インドネシアをはじめとするASEAN各国の情報は各国特許庁データベースからもアクセス可能ですが、各国特許庁データベースでは出願日、公報発行日をはじめとする入力形式がばらばらで使いづらく、各国情報が横断的に検索できるデータベースは実務上も有用です。 リニューアルされたASEAN I

          ASEAN IP DATABASE(商標・意匠)収録状況

          東アジアの早期公開特許推移

           各国とも、特許出願後、1年6か月が経過したときは出願公開をしなければならない、と定められていますが、出願後1年6か月前であっても出願人の請求により、出願の早期公開が可能となっています。出願から公開までに第3者に模倣されることを防ぐために、とも言われていますが、その目的は定かではありません。  日本の場合、早期公開が出願と同時であれば約5か月程度、出願の方式審査が完了し、出願公開請求手続完了後早ければ2週間程度で公開特許公報が発行される、とされています。  さらに、日本では

          東アジアの早期公開特許推移

          ASEAN IP REGISTER襲名披露

          久しぶりに覗いてみたらASEAN PATENTSCOPEがつながりません。色々と調べてみたところ、従来のデータベースがASEAN IP REGISTERを襲名披露してリニューアルされていました。こんな画面です。URLは https://asean-ipregister.wipo.net/wopublish-search/public/patents です。 トップページをざっと見たところは以前のASEAN PATENTSCOPEと、さほど変わりないように思えます。ただ少し触

          ASEAN IP REGISTER襲名披露

          中国人民解放軍の出願特許

          中国特許に関する情報を探しているうちに、知財情報コンサルタント野崎さんの中国人民解放軍は特許出願しないのか?(note 2021年5月29日 09:39) が目にとまりましたので中国特許情報を研究している一人として若干コメントしたいと思います。 『”特許に詳しい関係者”が「人民解放軍が特許を申請するというのは極めて異例」』とされていることに対し、「そんなばかな」と憤慨し(おそらく)、人民解放軍の出願特許をGoogle Patentsで検証され反論しています。野崎さんの検

          中国人民解放軍の出願特許

          インド特許データベースMCPaIRSを使ってみました:キーワード検索編

          前回は公開特許がレコードとして収録されているかどうかを調査した結果をご紹介しました。これは、言わば出願番号情報が収録されているかどうかだけを比較したものです。本来ならば、各書誌情報やIPCコード、さらにテキスト情報等々のコンテンツそれぞれが正しく収録されているかどうかを比較すべきところなのですが、MCPaIRSの試用期間は短期間であり、さらに収録された全案件をダウンロードしてコンテンツを解析することが許されていないため、詳細なコンテンツの収録率までは調査できていません。 今

          インド特許データベースMCPaIRSを使ってみました:キーワード検索編

          インド特許データベースMCPaIRSを使ってみました:レコード収録

          インド特許データベースの紹介です。 DOCDBというデータベースの上に、Human用の操作インタフェースを構築した、欧州特許庁が運営するEspacenetは、多くの方がご存じかと思います。このEspacenetでアジア圏の特許を検索してみてください。インド特許なんて、ほとんど収録されていません。ASEANはさらに悲惨で、タイ特許なんて全期間で僅か13件しかヒットしません。(最近まで12件でした・・・) 二次大戦前には、欧州の人達はアジアに大きな興味を持ち、多くの国を植民地

          インド特許データベースMCPaIRSを使ってみました:レコード収録

          Make in India 政策が特許出願に及ぼす影響

          ■ Make in India とは この言葉を耳にした方も多いかと思います。モディ首相が就任した2014年から掲げる、インドの製造業振興を目指したスローガンです。 製造業を発展させるためには、製造の最終組み立て工程をインド国内で実施するだけではなく、製造の源流段階である研究・開発をインド国内に根付かせる必要があります。 この政策がインド経済に与えた現状についてはJETROサイト「メイク・イン・インディアの成果に夜明け?(インド)」をご覧いただくとして、ここでは Mak

          Make in India 政策が特許出願に及ぼす影響

          アジア特許情報研究会会員による 雑誌寄稿・JIPA研修・セミナー情報

          アジア特許情報研究会事務局です。 当会会員の雑誌寄稿・JIPA研修・セミナー情報をお知らせします。 問い合わせは info[Atmark]sasiapi.org にお願いします ([Atmark]は@に変更してください)。 Japio Yearbook 2023(日本特許情報機構)寄稿 機械学習を用いた効率的な特許調査方法 ─大規模言語モデルによる特許調査の効率化─ 安藤 俊幸 主要国・地域の特許関連APIの現状とその利用方法 ─自作プログラムを使用した特許APIアクセ

          アジア特許情報研究会会員による 雑誌寄稿・JIPA研修・セミナー情報

          インドにおけるバックログの現状

          2023年10月13日に日本知的財産協会においてインド特許調査のセミナーを開催します。先回のインドセミナーはちょうど2年前。この2年間を中心にInPASSやPATENTSCOPEの収録を調査し、情報を色々とアップデートしました。 全貌はセミナー当日にならないとお話しできませんが、いくつかトピックをご紹介したいと思います。今回は悪名高いバックログの最新状況についてです。 ■ 経過期間:出願~登録 同国の審査期間の長さや審査滞貨(バックログ)は有名な話。過去20年に登録され

          インドにおけるバックログの現状

          Lens.org の API を使ってみる

          Lens.org という特許と学術文献の検索サイトがあります。 どうやら DOCDB と WIPO のデータがベースとなっているらしく、日中韓の官庁に出願された特許は特許請求の範囲で検索できず、PCT出願を含めて全文検索ができません(収録状況は下表参照)。 したがって、検索システムとしてはさほど有用とは言えません。 しかし役に立つケースがあります。このケースは検索数が多くなるため、自動化したいものです。そこで API が使えると助かるのです。 役に立つケース1:地道に統

          Lens.org の API を使ってみる

          台湾特許庁の GPSS API を使ってみる~ほぼ検索システムや~

          台湾特許庁は域内のデータを持つ twpat とグローバルデータを扱う GPSS という web サービスを行っていますが、API サーバーもこの2つに分かれています。 前回はtwpat の API サービスを紹介しました。 https://note.com/preview/n7bf02b2530ea?prev_access_key=cfaa3e44b510f64113a9d4b4b3e9d630 今回は GPSS の API サービスを紹介します。 GPSS (全球專利

          台湾特許庁の GPSS API を使ってみる~ほぼ検索システムや~