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恋愛茶屋

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小説です。
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#失恋

恋愛茶屋 3月2日午後3時

恋愛茶屋 3月2日午後3時

そのお店は、山深く水のきれいな川のそば、けれど東京都内にある。国道沿いにあるけれど、行くにはどこからも遠い場所にある。

ー店長さん、スイーツはこれしかないんですか。
ーそのオレンジパイだけになります。あと今日はカレーがあります。
ーカレーじゃ違います。。。オレンジパイのセットください。
カウンターに座る看護師のカヤノは大きくため息をついた。

ー「好きな子ができたから別れてほしい」って、もう冗談

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恋愛茶屋 3月1日午後4時

恋愛茶屋 3月1日午後4時

そのお店は、山深く水のきれいな川のそば、けれど東京都内にある。国道沿いにあるけれど、行くにはどこからも遠い場所にある。

ーあーあ、ほんとにやんなっちゃうよなあ~

カウンターに座る大学生のスギタは、また大きくため息をついた。

ーマスター、ここってビールとかないんすか?
ーあったとしてもお出ししませんよ。スクーターでいらしたじゃないですか。
ー酒呑めるところに行けばよかった。。。
そう言いな

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恋愛茶屋 12月25日午後4時

恋愛茶屋 12月25日午後4時

そのお店は、山深く水のきれいな川のそば、けれど東京都内にある。国道沿いにあるけれど、行くにはどこからも遠い場所にある。

失恋したというその彼女は、次の日も訪れてそのカウンター席でメニューをながめていた。メニューには「りんごのタルト」と書いてあった。

―たしかに、別のメニューだけど。。。何かだまされたような気分。。。

そう思っても、声にしたのはミルクティーとりんごのタルトの注文だった。

りん

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恋愛茶屋 12月24日午後3時

恋愛茶屋 12月24日午後3時

そのお店は、山深く水のきれいな川のそば、けれど東京都内にある。国道沿いにあるけれど、行くにはどこからも遠い場所にある。

お店の置時計が3時を鳴らした。山の中なので日はもう陰り始めている。今晩も冷えるかなと店主が窓の外を眺めていると、駐車スペースにフィットが入ってきた。

ドアがそっと開いた。

—いらっしゃいませ。

—あ、あの。。。お店、やってますか。

—はい、お好きなお席にどうぞ。

カウ

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