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会社を分割経営することは可能か?

お客様からの御相談がありました。「自分の後継者を一人に決めずに、3人に各々責任を負ってやって貰うという案はどうでしょうか?」

そこで、古代ローマ帝国で分轄統治をしていたのを思い出して、調べてみましたのでご紹介します。

ディオクレティアヌス帝は、古代ローマ帝国を「四分割」して統治するシステムを導入した。

1、四分割統治の概要

(1)最初はマクシミアヌスと共同統治する形をとった後、(必要と考えて)四分割統治制をとった。とは言え、あくまでも軍事を四人が分担して、帝国全体の統治に必要な政策の決定はディオクレティアヌス一人が行うシステムだった。

(2)内政的な業務については、官僚機構を作り、そこで実施を図ることにした。

2、四分割統治の成果

 軍事を四人で分担することで、それまで外敵や内乱に脅かされていた帝国の「住民の安全が保証」されるようになった。

(1)ローマ帝国の皇帝の価値観として、「帝国の長である皇帝の最大の責務は、帝国内に住む全ての人々の身の安全を保証することにあり、それを保証できなくなった国家はもはや国家ではなく、皇帝を称する資格までも失う」という考えによるところがあり、このことが保証できる仕組みを考えた。

(2)ディオクレティアヌス帝自身が自身の軍事的才能の限界を十分理解をしていた。その為、軍事的才能がある3名に、広大な帝国領を分担して責任を負って貰うことにした。

(3)4名各位が、自身の軍の質と量を上げることに努力をしたので、今までの2倍の兵力となった。

3、四分割統治の弊害

新たに官僚機構を作ったことで、更に人件費がかかるようになった。

(1)従前の考え方としては、

①国家としての人材育成の考え方→ 軍事と官僚と流動的に行き来することで人材育成を進めていた。

また、その結果情報の共有ともなり、組織としては帝国の規模に関わらず小さな政府で済んだ。

②公共事業についての考え方 → ⅰ)国がしないといけないことは税金の収入の範囲で国が行う。 ⅱ)地方自治を認め、地方でやれることはやって貰う。ⅲ)社会への貢献として寄付等で建物や道路修繕等を行った。   

(2)新たな官僚組織設置及び軍隊の拡大によって経費がかかる組織体制となってしまった。

 ①上記の背景の他にインフレが続いていたこともあり、新たな税制改革をすることになった。結果として、税金が今まで以上にかかる税金大国となってしまった。

②新たな官僚組織は、予想するに野放図に拡大して行ったのではと思われる。

まとめ

一定の成果につながったが、新たな課題を生んだのではと思われる。

四分割統治もディオクレティアヌスが在位中は、それでも上手に回っていたと思うので、ONE topには絶対的な権力を与えた上で、職務分担をさせるのは良いと思う。

そうではなく、単純に業務量を分割するやり方は、結果として会社が分裂する以外にないのではと想定されるのでお勧めできません。

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