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私的いい水田方程式(南関東版)

私は水生生物が好きで、よく「湿地帯」(湿った場所や池など水を伴う場所)に出向き、中でも特に田んぼで生き物を採集することがよくある。
拠点が関東地方(南関東)なので、田んぼでも色々な見た目をした田んぼにたくさんにいくのだが、これらは本当に多種多様で、営農や水の利用の仕方など、人の手の入れ方によって明らかに棲む生き物が異なる。
また、棲む生き物が異なることでその田んぼの善し悪しが分かることもしばしばある。

今回、備忘録的ではあるが「私的!いい田んぼの見分け方(南関東版)」ということで、すごく局所的であるが、南関東でこの生き物が見られたら結構いい田んぼ(?)というイメージ作りのnoteを書こうと思いたったので、殴り書きで書き記しておきたい。

いい田んぼってどんな田んぼ?

いい田んぼとは、どんな田んぼ?と言われても恐らく意見は様々であろう。また地域によっても田んぼのやり方も異なれば、田んぼを使う目的も違う。
私的には「生き物の種類がたくさんいる」田んぼが嬉しい…のでいい田んぼと思っている(完全な私見)。
しかし、この答えは奥が深く分からないので、皆さんも自身で考えて頂くといいかもしれない。


南関東の私的いい田んぼにいた生き物

さて、私が南関東のたくさんの水田を回っていて、不思議にも、「いい田んぼ」と考えられる場所では、絶滅危惧種や珍しい種を含め、方程式のように必ず出現する種がいた。
これらは色んなとこに普通に出る訳ではなく、何故か沢山田んぼがあるエリア中の1~数枚と局所的に出ることが大多数であった。
恐らくこれらの種が出る方程式が成立すると「いい田んぼ」なんだろうと勝手に考えている。笑
ひとまずこの方程式を完成させる生き物たちを紹介していきたい。

・マダラコガシラミズムシ
   Haliplus sharpi (環境省RL 絶滅危惧II類)

マダラコガシラミズムシ(=小さな頭で斑模様の虫)

・コマルケシゲンゴロウ
  Hydrovatus acuminatus(環境省RL 準絶滅危惧)

コマルケシゲンゴロウ(その名の通り小さなケシの実サイズのゲンゴロウ)

・マメガムシ
  Regimbartia attenuata

マメガムシ(カエルに食べられてもおしりから出てくる珍種)

・ヒメトビサシガメ
  Staccia diluta

ヒメトビサシガメ(体にロウ状のものをまとい水面をスイスイ泳ぐ)

この4種は、調査をしていると多数の田んぼから共通して出てくることが多く、しかもかなり局所的に出るという様子であった。地域によっては珍しくないという種もいるかもしれないが、2種は環境省レッドリストに選定され、もう2種は比較的南関東エリアの都県では記録が多くない種である。

出現する田んぼの見た目には、大きな差はあまり見られないのだが、これらが見られる田んぼが他と違うと現地で感じた数少ない共通点は、「水田雑草」が意外と多い点だろうか。
エビデンスはないが、水田ではよく生えているコナギやイボクサ、オモダカなどの田んぼで稲を生育する時には草刈りの対象になりかねない植物が、上述の4種が見られる田んぼでは、パッと見の印象でもよく生えていた。

もちろん、除草剤や農薬が使われていないことも要因であるかもしれないが、現地で聞いたところちょっとだけでも使っている水田も少なからず存在しているようである。
そんなことも考えると、「いい田んぼ」となる理由には、何かまた別の要因もありそうな気がしているが、その答えにはたどり着けていない。

ちなみに、余談だが、生態的な部分から考えると、ヒメトビサシガメは肉食の昆虫であり水面に落ちた昆虫などを捕食しているようである。となると、
=そもそもいい水田で周りにも虫が沢山いないと生きれない。ということも想像が着くようなつかないような(?)。

私的方程式の見解(簡潔)

それぞれの種は、比較的国内で見れば田んぼや浅い湿地帯などで見られるため、これらが出るのは当然かもしれない。ただ、南関東は耕作放棄や乾燥化、畑地になっている場所も多く見られることからそもそも「田んぼに生き物がいる」ことがすごいのかもしれない。そんな中で、選ばれた田んぼからしか出てこないのだからやはり貴重だということが言える(と思う)。

今回は、私的感覚による「私的いい田んぼ方程式南関東版」を紹介したが、この方程式が完成すると必然的にその田んぼは別の種も現れている。
皆さんも、こんな駄文で申し訳ないが、この方程式の出現を気にしながら少し田んぼを回って見て欲しい。

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