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突然の親切な提案、あなたは乗りますか?

旅先で、その人にとっては何の得もないのに、やたらと親切にしてくれる人に会うことがよくある。最初はなんだか怖くて、とにかく逃げ回っていたけど、それじゃあ面白くないやと、ある時から半々の確率でその誘いに乗ってみることにしている。

失敗もある。すなわち親切には裏の目的があるのだ。例えば、深夜にある国の空港に着き、疲れ切っていることもあり、一番最初に親切に声をかけてくれたタクシーに乗った。行きたいゲストハウスがあって住所を伝えるも、「今市内は工事中でそのエリアには行けない」と(親切に?)教えてくれ、そのまま高級なホテルへ連れて行かれた。翌朝、ホテルのスタッフに工事について聞くとそんなものはやってない、と言われる。余分に宿泊費が初日からかかってしまった。

でも同じくらい成功もある。ある東南アジアの国の都心で、街歩きを楽しんでいた。すると後方からバイクに乗った同世代の男性が「観光案内するからバイクの後ろに乗りなよ」と。怪しい。もし今、友人からその話を聞いたら「気をつけて」と注意喚起するだろう。でもその時の私は、直感的にそのバイクに乗った。都心だったので人目もあるし、いざ危ないと感じたら叫んで逃げよう、と警戒心を解かないまま、街を観光していた。夕方、「今日は楽しかった、ありがとう」と彼は笑顔で見送ってくれた。驚いた。むしろ疑ってしまった私の心の器量の狭さを情けなく思った。時にこんなこともあるのだ。これを無条件に断っていたら、決して経験できなかったこと、行けなかった場所があったし、この偶然の出会いにワクワクし、忘れられない思い出になったのだ。

旅から戻り、日常生活でも、怪しいなと思ったとしても、誘いに乗ってみることもある。それが失敗だとしても、選んだのは自分。相手のせいにはしない。命はいちばん大事。そこだけ守れれば、時々リスクをとってみるのも悪くはない。


#あの選択をしたから

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