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アメリカ ボルティモア フランシス・スコット・キー橋の崩落

ボルティモア

 巨大な橋がくにゃくにゃと海に崩れ落ちていく映像は異様なものだった。車が次々と橋から落下していく、ホラー映画のシーンを思い出してしまった。
 3月26日、深夜のボルティモア港。制御不能になったコンテナ船が、救難信号メーデーを発しながら橋に向かって突き進んでくる。毎日3万台以上の車が利用している橋だ。「橋を封鎖しろ!」「すべての車を止めろ!」警察無線には緊迫した声が飛び交っていた。・・・その時橋の上に取り残されていたのは、橋の修理作業員たちだったという。

 アメリカ東海岸。ボルティモア ( Baltimore ) はメリーランド州の最大都市。ご覧のように、ワシントンD.C.とは車で30分ほどの近さ。右上にニューヨークも見えている。海は大西洋。

 ボルティモア港は首都ワシントンの外港としての役割を担っている。

 チェサピーク湾に臨んでいる。

事故現場

 衛星画像は2024年4月14日。

 ボルティモア周辺の幹線道路を表示した。ワシントンとの強いつながりがわかる。ズームイン。

 この橋にはボルティモア・ベルトウェイの高速道路が通っている。

 事故から3週間近く経った4月14日の故現場。見えるだろうか、コンテナ船はまだ撤去できていなようだ。
 正式名称はフランシス・スコット・キー橋というそうだ。通称キー橋。アメリカ国歌の作詞者の名にちなんでいるという。

 衛星画像は2024年3月25日。崩落する前の様子。

事故状況

 事故後と事故前の画像を合わせて表示しよう。現場にはコンテナ船のほかに船舶が見える。崩落した橋を解体したり、海中の残骸を引き揚げたりするクレーン船などの作業船だろう。
 コンテナ船には橋の一部がかぶさっているから、まずそれを取り除く作業が必要になる。

 参考衛星画像は2023年4月9日。橋の詳細画像。主要な2つの橋脚が見えるが、その間隔、スパンは366m。コンテナ船は左の橋脚に衝突していて、船首の上に橋の鉄骨が崩れ落ちている。身動きがとれない状態になっているわけだ。

 トラス橋は完全に崩壊、大半が水没している。

 コンテナ船「ダリ」の全長は300m。4700個のコンテナを積み、スリランカのコロンボに向けてフェリーターミナルを出航していた。直後に何らかの原因で電源を喪失、操縦不能に陥っていたらしい。

コンテナターミナル

 中央上にコンテナターミナルがある。

トラス橋

 キー橋は、橋へのアプローチも含めて全長2600m。トラス橋の区間は、骨組みに鉄骨を組み合わせたトラス構造で強度を持たせた橋である。よく見てみよう。海面からの高さは56m。ズームイン。

 コンテナ船が激突した衝撃で橋脚が折れ、支えを失った橋が自重によって崩壊してしまったと思われる。鋼鉄製の橋がまるで竹細工の構造物のようにへし折られてしまうんだからね。

 残念なことに作業員に死傷者が出てしまった。コンテナ船が時速10数キロで衝突してから数十秒後の出来事だったようだ。

注記)
a.衛星画像は、欧州宇宙機関 ( European Space Agency : ESA ) が運用する COPERNICUS ブラウザからスクリーンショットしたものを使用しています。.
b.地図画像・参考衛星画像は、ESRI が運用する World Imagery Wayback からスクリーンショットしたものを使用しています。

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