東京朝さんぽ

どうも仕事に行くのが憂鬱。
そんなある日、会社の一駅前の駅でふらっと降りて会社まで歩いてみることにした。
Googleマップでは会社の最寄り駅までは15分もかからずに着くらしい。
いつも出勤時間に余裕をもって家を出ているから、15分くらいなら大丈夫と判断して降りたのもあるけれど、方向音痴なので始業時間までに間に合うのか?そう不安な気持ちもなくはなかった。

会社の一駅前の駅。
いつも通過はするけれど、いままで一度も降りたことがない駅。
改札まで向かいながらなんだか不思議な気がした。

Googleマップを見ながらも、線路に沿えばなんとかなるかな?と歩き出す。
思っていたよりも小さな駅だ。
そして歩き始めると住宅が密集していた。
古い立派な瓦屋根に、石で作られた門がある家。昭和感漂うどこか懐かしいアパートのような建物。
東京なのに高層マンションばかりじゃないんだな、となんだか不思議な気持ちになった。
ふらふらさ迷うように歩きながらはじめて東京に来たときの事を思い出す。

私がはじめて東京に来たのは小学生の時にスポーツ少年団の行事で行ったのがはじめてだった。
当時はバレーボールをやっていたのでその仲間や、地域の他の種目のスポーツをやっている友達と、今はなきフェリーで東京に来たのがはじめてだった。
それまで東京は朝の情報番組等をはじめテレビのなかの世界だった。
とてもキラキラした場所のイメージだったので、バスでどこかを通った時に見た住宅地と、お墓があるのを見て東京にもお墓があるんだと物凄く驚いたのを思い出す。
そういえば5年前に関東に来たときに当時の職場の人に関東にも畑があるんですねと言ったら爆笑されたりもした……。

そんなことを思いながら迷いつつ、歩いていくと気づけば見覚えのある景色が見えて来た。
最寄り駅に近づいてきたのだ。
スマホで時間を確認すると、いつもより大分遅い時間だけど、始業にはまだ間に合うじかんで少しほっとする。
仕事に行くのはやはり憂鬱さを感じるけど、それでも電車を降りる前よりは少しだけましな気分。
明日はまた別のルートを試してみよう。そう思いながら職場へ向かえた。


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