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「私は幸せです」は、願望か実感か ー ドラマ『良くも、悪くも、だって母親』 ー

こんにちは、さちこです。普段は、外国の方に第二言語としての日本語を教えています。どうぞよろしくお願いします。

コロナ禍以降、相変わらず、韓国ドラマにハマっている。
ここ最近ハマっていたのは、『良くも、悪くも、だって母親』。

Twitterのツイートで、『クイーンメーカー』の敵役・ソン会長を演じたソ・イスクさんや、『離婚弁護士シン・ソンハン』でラーメン屋のおばあさんの末娘を演じたカン・マルグムさんが、『良くも、悪くも、だって母親』にも出演しているが、
変貌ぶりが見事で同一人物とは思えないと読み、気になっていたけれど、
いかんせんタイトルから予想するストーリーに、しばらく見る気になれずにいた。

ところが、Netflixのトップ10にしばらく居続けているのを見て、
試しに見てみようと、気が変わった。
そして、本当にあの会長が!? シン・ソンハンの友人の素敵な恋人が!?
という変わり様で、脱帽した。

このドラマ、韓国語の原題の意味は『悪い母親』だそうで、
なぜ日本語タイトルを『良くも、悪くも、だって母親』に変えたのか、気になる。
主人公であるチン・ヨンスンが自分のことを評価すると「悪い母親」となり、
他者(=視聴者?)がヨンスンを評すると「良くも、悪くも、だって母親」となる
つまり、韓国語タイトルと日本語タイトルでは視点が違うのだろうか。
最終回にヨンスンが息子(チェ・ガンホ)に宛てた手紙には、
「『悪い母親』でごめんね」という主旨の記述があった。

見始めると、1話の最後に重要人物が殺されるわ(韓国ドラマあるある?)、
2話ではガンホが人を殺そうとしている(!)様子を捕えたビデオ映像が出るわ、
タイトルからは予想外のサスペンス全開で、むしろ逆になんでこのストーリーで、タイトルが『良くも、悪くも、だって母親』または『悪い母親』なん!?

ホラーやサスペンス系が苦手なので、視聴をやめようかと思ったが、
「韓ドラは3話ぐらいまでは見ないと判断できない」法則により、
3話までやめずに見たら、すっかりハマった。

このドラマは、Netflixで以下のように紹介されている。

突然の事故により、子供の頃の精神状態に戻ってしまった野心あふれる検察官とその母親。思わぬ運命に直面した二人は、親子関係の修復に向けた長い道のりを歩き始める。

Netflix公式サイト:https://www.netflix.com/jp/title/81669775

まさに3話で、野心あふれる検察官だった息子ガンホが、事故により7歳の精神状態に戻ってしまった。
そして、この見た目35歳、精神状態7歳のガンホを演じるイ・ドヒョンの演技に
すっかりやられてしまった。
「オンマー(=お母さん)!」と呼ぶ声、表情、仕草、くしゃくしゃの前髪、…、
そりゃあもう、信じられないぐらい、可愛いったらない。
何、その演技力。(知らんがな)

劇中歌を紹介しているYouTubeには、精神状態7歳のガンホのダイジェストが。
ドラマを見終わった後の身には一つ一つの場面が思い出され、泣き笑いする。

一旦育て上げた息子が、7歳の精神状態に戻ったことで、
ヨンスンは2度目の子育て、やり直しの子育てを始めることとなる。

1度目の子育ては、それはそれはもう、ヨンスン・オンマ(お母さん)、やりすぎ厳しすぎの極みだった。もちろんヨンスンにはそうする(そうしてしまう?)事情や思いがあるのだが、自分が生まれる以前の事情でそんな風に育てられてもわからんやん、とただただひたすら息子・ガンホが可哀想で切ない。ガンホも時折、堪忍袋の緒が切れるように爆発するのだが、母一人子一人のためか、結局は母親思いなのだ。

事故後に至っては、それまでの子育てを反省したと言って、当初は優しいのだが、またもや事情が生じ、反省したんちゃうん?とツッコミたくなる子育てに。

でも、思い出した。
ヨンスン・オンマのドラマ上の世代設定。
結婚したのがソウル五輪開催前(=ソウル五輪のために夫の経営していた養豚場が立ち退きを迫られてたから)で、ソウル五輪は1988年の開催。
日本でいうと、昭和の終わりぐらいだ。
時代的に結婚年齢を20代中頃と仮定すると、ヨンスンは1960年代生まれぐらい?
そりゃ、子育て観が今とは全く違うよねと。
ヨンスンの子育てを肯定できないけれど、仕方なかったのかもとも思う。

ヨンスン・ガンホ親子の周囲の、村のご近所さん達もいい。
愛の不時着』や『海街チャチャチャ』などなど、
韓国ドラマはご近所さんコミュニティを魅力的に描いているものが多い。
「親切で良いご近所さん」なんて単純なものではなく、
もっと人間らしく、人間くさく、良い面もあれば残念な面もある、一筋縄では行かない面々だ。
でも、肝心要の時には本音でぶつかり、本気で優しい。
都会ではご近所付き合いが薄れ、地域では過剰すぎると評される日本から見ると、
羨ましい。
(普段は困るかもしれないけれど)

ヨンスンはスマホの呼び出し曲も特徴的で、電話がかかる度に流れるので、
その部分だけ覚えてしまった。
日本でいう演歌の類の曲(トロットと呼ぶそう)だが、陽気で耳に残る。

나는 행복합니다(ナヌン ヘンボッカムニダ):私は幸せです

ついつい気がつくと歌っていて、困ってしまう。
(知らんがな)


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