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ピラミッドのツアーでボッタくられそうになった話

カイロ到着2日目。ダラダラしたい気持ちはありつつも、ここに来たらピラミッドぐらい見なきゃいけないよなあと思い、ピラミッドに行くことにしました。

地図を見るとメトロのギザ駅が最寄りらしいけど、そこからピラミッドまでは10キロぐらい距離がありそう。でもまあ駅に行けば何かしら移動方法はあるだろう。こんな軽い気持ちでメトロに乗ってギザ駅に降り立ちます。

このあと、ピラミッドでボッタクリに遭いそうになったので経緯を含めて紹介します。


ボッタクリの経緯

駅で自称リビア人の家族に声を掛けられる

ギザ駅の改札を出たら予想通り数メートルおきに客引きが声を掛けてきました。これは想定の範囲内です。適当にハローハローと生返事をしながら歩きます。
するとその中に、リビアから来たという家族の父親(以下、リビア)がいました。妻子だという人が横にいて、家族連れ風です。

リビア「ここで声を掛けてくる人はみんなボッタクリだから気をつけて。」
自分「ありがとう。」
リビア「自分たちはリビアから旅行で来た。今回でエジプトは2回目なんだ。これからどこに行くの?」
自分「ピラミッドに行きます。」
リビア「自分たちもピラミッドに行くんです。乗り合いバスに乗って行くんですよ。」
自分「一緒に行っていいですか?」

これからタクシーの運転手と不毛な値段交渉をしなきゃいけないと憂鬱に思っていた矢先なので、ローカルの乗り合いバスで行けるというのはとてもいい話です。この人と一緒に乗り合いバスに乗ろうと一瞬で決めました。

格安バスの乗り方を教えてもらってピラミッドへ

リビアから来たのに乗り合いバスの乗り方を知ってるのは何故なんだろうと少し疑問に思いましたが、同じアラビア語圏で隣国なので乗り方とかは似てるのかな、と納得します。

白い車が乗合バス

道端に立って、走ってくる乗り合いバスに対して親指と小指を立てて合図するとどうやら止まってくれるみたいです(日本人が電話を表現するときのジェスチャー)。
行き先は特に書いてないので運転手に聞かなければいけません。その自称リビア人が聞いてくれました。

料金は前払いで、乗り込んだら運転手に5EGPを支払います。後ろの乗客は前の乗客経由で渡してもらいます。

5EGPの乗り合いバス。わりとぎゅうぎゅう。

15分ぐらいの道中、自称リビア人と会話しました。どこ出身なのか、家族は何人いるのかなど。自称リビア人は英語の教師をしているという話をしていました。英語教師にしてはたまに文法が怪しいと感じてたのですが、リビアならそんなもんなのかなと納得します。

そうこうしてる間にピラミッドの近くに来て、乗り合いバスから降ります。
自称リビア人はピラミッドエリアの入り口を知ってるからと言って流しのトゥクトゥクを捕まえてくれました。乗り合いバスを降りたところからトゥクトゥクに5分ほど乗って20EGP。これは普通の値段です。

この時点まででこの自称リビア人家族に対しては何の疑いも持っていませんでした。家族連れが騙してくるイメージはなかったし、比較的綺麗な格好をしていたので安心していました。
むしろこの人たちのお陰で安価かつスムーズにピラミッドまで来れたので有り難かったです。

馬に乗るツアーで法外な値段を言われる

リビア人家族に、自分たちは馬に乗ってピラミッドを周るけど君も一緒に来るかと言われます。確かにこれから自分でツアーを探すのも面倒だったので一緒に行くことにした。

入り口近くの馬乗り場に行くと、自称リビア人はなぜか何の比較検討もせずに1番近くの人に声を掛けて馬に乗りました。
あまりにもスムーズなのでちょっと違和感を感じ始めます。しかし家族連れという見た目に油断しており、この時点では自称リビア人家族を全く疑ってなかったので自分も自称リビア人に勧められてそのまま馬に乗ります。

ガイドがいる場所に移動中。左に写ってるのが自称リビア人家族。
写真ではわかりにくいですが親子ともにけっこうきれいな服を着てるので旅行者と言われても違和感ないです。

馬に乗って1分ほど歩くとガイドがいて、ツアーの内容を説明し始めます。3つのピラミッドとスフィンクスを周り、ピラミッドの中に入るというごく普通の内容でした。
しかし最後にガイドが言ってきた値段はなんと、ピラミッドの入場料も合わせて1500EGP(6500円ぐらい)+ガイドへのチップとのことです。

ここが今回最大のミスなんですが、自分はピラミッド観光の相場と入場料を全く調べていませんでした。
さすがに高いだろうと思って慌ててスマホで調べようとしたのですが太陽が眩しくて画面は見えないし、通信も遅くて中々調べられません。
ちょうどその時、横を見るとなんと自称リビア人家族がなんのためらいもなくその値段をガイドに払ってるのです
もしかしたらピラミッドの入場料が高いから相場はそんなもんなのかと納得しそうになります。

ギリギリのところで踏みとどまる

いや、しかし、やはりそうは言っても1500EGPは高すぎます。
隣の家族がたとえ富裕層だとしても、リビアの所得水準から考えると1500EGPはそんなに簡単に払えないはずです。
違和感を感じたので、別のツアーも探してみると告げて馬から降り、一旦その場を去ることにしました。

なお、後で調べたところピラミッドエリアの入場料とピラミッドの入場料、スフィンクスの入場料を合わせて500EGPぐらいなので、それを差し引いても900EGP近くの値段になります。日本円で4000円以上で、明らかに高額でした。

帰りのトゥクトゥクで法外な値段を言われるも支払い拒否

自分が一旦ピラミッドの正面ゲートに行くと言うと、なぜかリビア人家族がついてきます。
なぜついてくるんだ?君たちはそのまま馬に乗って観光すればいいじゃないか。このあたりからこの家族を疑い始めます。

自称リビア人は道路を走ってきた流しのトゥクトゥクを捕まえて簡単に値段交渉をしました。さすがに流しのトゥクトゥクならいいだろうと思って乗ったのですが、しばらく走るとなぜか向かいから来た別のトゥクトゥクに合流し、乗り換えるように言われます
なぜ乗り換えるのかリビア人に聞くと、トゥクトゥクの営業区域が違うからとかよく分からないことを言い始めます。この国のトゥクトゥクに営業区域なんて概念あるのか?
乗り換えたトゥクトゥクが走り始めると急に自称リビア人が言ってきます。

リビア人「このトゥクトゥクの値段は600EGPらしい。自分とあなたで300EGPずつワリカンしよう。」

は?

自分「その金額は払えない。」
リビア「運転手がそう言ってるんだ。」
自分「あまりにも高すぎる。なんでそんなに高いんだ?」
リビア「道が悪いから運転するのが大変だし、ここの人は貧しいんだ。」

自称リビア人は訳の分からないことを言い始めます。あなたも客ですよね?
しかもなんで来る時は20EGPとかだったのに急に値上がりしたのか?
運転手にも直接聞こうとしましたが言葉が通じません。
自称リビア人と押し問答をした結果、自分は途中の道路上で降りることにしました。300EGPを払うように言われましたが、拒否したら自称リビア人が運転手に払っていました。
そしてこのリビア人家族とは別れることにしました。

以上が経緯です。

どういうスキームだったのかを推測する

おそらくこの自称リビア人家族はボッタクリの一味と考えて間違いなさそうです。それを踏まえてこのように推測しました。

登場人物

  • 自称リビア人
    リビアからの旅行者というのは嘘で、馬のツアー会社・トゥクトゥクの運転手と繋がっている客引きと思われます。リビアのことを色々話していたので、もしかしたらリビアからの移民労働者なのかもしれない。

  • 馬のツアー会社
    1500EGPはそこまで異常な値段というわけではないし、値段を聞いてからでも馬から降りれたので(止められたけど)、そこまで凶悪なツアー会社ではないと思います。おそらく普通にツアーをやりつつ外国人には高めの値段を言ってみるという程度の場所だと思います。

  • トゥクトゥク
    最初に乗った流しのトゥクトゥクは無関係の一般人で、途中から乗り換えたトゥクトゥクはリビア人と繋がっていたと思います。リビア人がアラビア語で何か電話していたので、おそらくそれで呼んだのだと思います。

ボッタクリ手口のポイント

私は過去にアユタヤではゾウから降ろしてもらえなくなったり、バラナシではタクシーで全然別の場所に連れて行かれたり、ベトナムの空港で両替の札を誤魔化されたりという、いわゆる「よくある」ボッタクリは経験しましたが、今回のボッタクリはかなり手が込んでいたという印象でした。
手が込んでいると思った点を列挙します。

  1. 家族連れ風の見た目と綺麗な服装で相手を油断させる

  2. まずは安価に乗り合いバスに乗る方法を教えて油断させてからボッタクリ場所に連れていく

  3. ターゲットの目の前でボッタクリ価格を払ってみせて、適正価格なのだと思わせる

  4. 一旦は流しのトゥクトゥクに乗ってから途中でグルの車に乗り換えさせる

特に4は完全にやられました。待ち構えていたトゥクトゥクに乗るなら警戒するのですが、流しのに乗ってから途中で乗り換えさせられるのは想定外でした。

教訓

改めて考えると、直前までボッタクリの少ない地域ばかりいたのでかなり油断していました。今後はこんなことに気をつけなければいけません。

  1. 見た目で油断しないこと
    今回は家族連れ風で比較的綺麗な身なりをしていたので油断してしまいましたが、どんな見た目の人でも声を掛けてきた時点で警戒するべきでした。

  2. 事前に相場を調べておくこと
    これが本当に大事ですよね。ピラミッドの入場料とガイドの相場を知らないままツアーに行ってしまうのは愚かでした。

キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャンという映画を見たことはありますか?
レオナルド・ディカプリオが演じる詐欺師が、パイロットや医者など社会的信用のある人のふりをして次々と金を騙し取っていく話です。
私服で会うと全く相手にもしてくれなかった銀行員が、パイロットの制服を着て行くと何故かコロッと騙されてお金を出してしまうのです。

見た目というのは本当に人を騙しやすいのかもしれません。
みなさんも気をつけてくださいね。

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