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30秒待てない


カラッと晴れ渡った青空のもと、赤や白のつつじが盛りを迎えたゴールデンウィーク。

爽やかな気持ちで近所を散歩しつつ、最寄り駅で定期券の更新手続きをした時の出来事。

券売機で定期券の更新手続きしようとしたら券面読み取り不能ではじかれてしまう。

あれ、おかしいな、、と思いつつゴールデンウィークという事もあってか券売機に人が結構並んでいる。

急ぎではないので別の券売機でトライしようと思い別の機械の前に並び直す。

私の前は、私より少し年下のような典型的などこにでもいそうな中年男性(私もその部族に属していますが汗)。

なんだか今起きたような、よれよれの濃い緑色のTシャツと短パン、サンダル。頭は薄くなってきており、右手を腰のあたりまで上げて手の中の小銭をジャラジャラさせている。

その「おじさん」の前に切符を買う人が2人控えていて、もう既にあきらかにおじさんがイラついているのが背中からビンビン伝わってくる。

次の電車は7、8分後到着予定なので十分間に合う感じ。

先頭の人が切符を買い、次の人は中学生くらいの女の子3人組。

これから友達3人で遊びに行く楽しさに包まれていて、券売機のボタン押すのにもキャッキャ言い合っていて楽しそう。

こちらも明るく楽しくなってくる感じ。

一方、その後ろで次の順番を待つおじさんは、そんな元気溌剌さがイヤだったのか、イライラ度Max。

小銭ジャラジャラ回しのスピードがさらに上がり、「チッ!おせーんだよ!」とハッキリ聞こえるように何度も毒づき始め、元気溌剌中学生は怖くなったのかこわばった感じで無言で券売機で即キップを買って逃げるように改札へ。

そのおじさんは、物言わぬ健気な券売機にも「おせーんだよ!」と毒付き券売機のボタンをガキっと押して切符を買って改札へ。

うーん。。おじさんなんか家で嫌なこと事でもあったのかなあ、何も中学生に当たらなくてもなあ。。

私の定期券はと言えば、となりの券売機でも読み取り不能。。涙

どうしたものかと自動改札機付近の駅員窓口に行って事情を説明。。

「だいぶ使い込んでますね。こちらの機械では読み取れますが、券売機ではダメなんですかね。。」との駅員さん。

その間にも、改札機で入る人、出る人からのひっきりなしの問い合わせ。

自分は急ぎじゃないので、高齢の方の問い合わせなどお先にと言いつつ断続的に駅員さんのお話しをお聞きすることに。

そうこうしていたら、70才後半くらいの老夫婦が「すみません。これ」と自動改札機の前でキップ2枚と何かの証明書を私に説明していた駅員さんに見せ始めた。

「あ、どうぞー」と私が駅員さんにつなごうとおもった矢先に、ご老人の後ろから「おせーんだよ!どけよ!」との怒鳴り声。

振り向くと、白を基調に綺麗に着飾った20代女性。顔立ちも整った「お嬢様」。

爽やかな日、これから彼氏とデートなのだろうか。

自動改札機は複数設置されていて、その老夫婦がいるところでなくてもよかったはず。

続けてそのお嬢様から「なにもたもたしてるんだよ!いいからどけよ!」との怒鳴り声。

ご老人も負けていなく「俺が先に入ったんだから順番だろ!なんだよお前!」。

お嬢様は強引に改札機に携帯をタッチしてすり抜け「おせーんだよ!おまえは!」と整った顔立ちの眉間に深い皺を寄せ、口元を歪め憤怒の顔に変え、言い放って去って行く。

友達、彼氏にあんな表情見せることがあるのだろうか。。

あの表情。。自分の顔の表情としてこれから自分の表情プログラムにずっと記録されるのだろうか。。

ご老人も駅係員も私も唖然として見ている他なし。

えらい疲れるお話しなので
新緑を眺めてちょっと一息。


「おじさん」も「お嬢様」も待ち時間20〜30秒程度。

いや、もしかしたら10秒ちょっとくらいだったかもしれない。

お二人は何か大事な約束があり気が急いでいるところだったのかもしれない。

とはいえ、あそこまで感情をむき出しになることは、その人の心の中で何が起きているのだろうか。そんなことが気になりました。

そして、その負の感情のはけ口が「中学生」、「老人」というのも気になります。

もし、サングラスをかけたいかついお兄さんが前で並んでいる人だったら、、、

「おじさん」は高速小銭ジャラジャラ回しで毒付くのだろうか。

「お嬢様」は憤怒の顔で相手を罵倒するのだろうか。

また一方で、今回は自分はなんの予定もなく、比較的心の余裕がある状態だったので、一歩引いて物事を見ることが、たまたま出来たということだけだったのかもしれない。

大事な約束があって次の電車に乗らないと間に合わず、キップを買わなきゃいけない状況で前に数人並んでいた時、

自分はゆったりとした気持ちで構えていられるだろうか。。

ネガティブな感情が湧き起こり暴走する「沸点」は人それぞれ。

感情は無理に押しとどめたり、消し去ろうとするより、上手く付き合って行くことなのかなと思いつつ、、

自分の沸点はどの温度帯なのか、そしてどの外部環境条件が揃った時に気化するのだろうか。

そして、ほんの15分くらいの中での二つの出来事。

駅員さんは、こんなこと日常茶飯で毎日相当言われているんだなあと思うとともに、小さな負の感情がいたるところで発生し、見えないところで沈殿しているのではないかとも思ってしまいました。

木漏れ日を眺めてもう一息。

そんなことを考えてしまった爽やかなゴールデンウィークの午後でした。

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