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伊勢と浜松の旅:前編 お伊勢参り

これは、2024.1.9-10のできごとです。

はじめに

佐渡に行ったわたしは、すっかり旅行に魅せられてしまった。もちろんこれまでも旅をしてきたが、温泉バイクキャンプ旅だったので、感じる情報と速度が違う。

お伊勢参り、をしてみようと思った。
仙台からは遠いが、中部国際空港(セントレア)までピーチの飛行機で行ってそこから電車移動すればいいのでは。
伊勢については、伊勢角屋麦酒と赤福と伊勢うどん、くらいしか知らなかった。さらに静岡の浜松に住んでいる友人にも会いに行っちゃうことにした。

このnoteは、その前半のお伊勢参りの話。

久しぶりの飛行機

飛行機は、17:50に仙台を出る予定。久しぶりの飛行機で乗り方を忘れていて、一番簡単になるようにスマホにアプリを入れて、早めに空港に向かった。
出発時刻の90分前に、アプリから「チェックインが可能です」の通知が来た。びっくりして無駄に心臓がバクバクしたが、なにも慌てることはなかった。アプリでオンラインチェックインができるのを手荷物カウンターの方に教えてもらった。便利だ。
しかし、その係の人がこう告げた。「機材が到着していないため、出発が30分ほど遅れる予定です」
えっ!!
保安検査に入らず待っていた。やがてアナウンスが。「50分遅れて18:40発の予定です」
名古屋での夕飯楽しみにしていたけど、これでは無理だ。
すぐさま、レストランまるまつに入って牡蠣南蛮そばを食べた。
まだ時間が余っていたので、マッサージいすでマッサージしたりした。
しばらくして保安検査を通過し、変更になったゲートに向かったら、これがおっそろしく遠い。知らなかったんだけど、LCCってゲートが遠いもんなんですね。
ちなみにLCCでは遅れも良くあるようだ。勉強になった。

始めて乗ったピーチ

中部国際空港で一泊

前に飛行機に乗った時、原因不明の腹痛と、気圧のせいか頭も痛くなって辛かったんだけど、名古屋へ向かう機内ではまったく気にならず、車窓からの夜景に感動していた。
山や高台から見る夜景と、飛行機からの夜景は、違う感情が湧いてくる。人類はこんなにも灯りをともして暮らしてすげえなあっていう、畏怖に似た気持ち。
さて、中部国際空港に無事着いた。泊まる場所は空港の中のカプセルホテル。国内線ターミナルの一階だ。超便利。

コンパクトなカプセル内

しかし、一つすごーく残念なことがあった。セントレアには「SOLA SPA 風の湯」というお風呂があるのだ。空港のお風呂ってテンション上がる!絶対入りたい!そう思っていたのに。飛行機の遅れで営業時間中に間に合わなかった。悔しい。

ちょっと甘いものが欲しくなった。深夜にスイーツって禁断の楽しみっぽくて、旅先だとついやってしまう。同じ空港フロアで24時間営業しているローソンで、お菓子を買った。カプセルの中は飲食禁止だが、ホテル前に宿泊者専用の休憩スペースがあってそこで食べられる。
ローソン近くのテレフォン充電ブースには汚れた服にスニーカーの中年男性が座っていた。荷物を持たず、ただ携帯を充電しながら寝ていた。静かな夜の空港、でも確実に24時間動きがある。
「たま」のオブジェが、しーんとした空間に、てかてか光を反射して転がっていた。

3個の
たま。

伊勢に向かう

空港からの朝焼け

翌朝は早い。外は朝焼けだ。
セントレアからは「ミュースカイ」に乗るらしいんだけど、どうも乗り方がよくわからない。わたしはまた、ちょっと緊張していた。JRじゃない電車は勝手が違う。座席指定の特別車両券「ミューチケット」が要るのか、無くても乗れるのかが調べても判断がつかず、結局寝る直前にネットのサービスで買っておいた。結果、それが正解だった。

空港からミュースカイに乗る改札

入場はSuicaを使った。で、このSuicaとミューチケットはどうやって紐づけるんだろう?
ミュースカイはかっこいい車両だった。ブルーの座席が並ぶ。空港から乗る人は少なかった。

乗るぞ
車内もブルーが基調の爽やかな内装

朝日が綺麗だ。海の上の空港から、徐々に都会に近づいていく景色の変化が楽しい。

朝日だー
こういう道路のぐるぐるが好き

停車するたびに次々と人が乗りこみ、ほぼ満席になった。これ、通勤に使う電車でもあるのか。通勤にこんなかっこいい電車に座って乗れるなんていいな、都会だな。ミューチケットは検札があるという情報もあったが、車掌さんがざっと見て回るだけで特になにもなかった。
なんて思いながら、近鉄名古屋で乗り換え。

乗り換えだ、間違えませんように

次は近鉄特急。ここからはネットで買っておいた「伊勢神宮参拝デジタルきっぷ」を使う。

なお、デジタル切符を使う場合は名鉄と近鉄の乗り換え口は使えず、一度名鉄の改札を出てから階段を下りて移動しなければならない。(2024.1.10現在)QRコードを改札で読ませる都合上、そうなっているらしい。ネットに情報があったため無駄に慌てずに済んだ。ありがたい。

近鉄名古屋駅では、すれ違うサラリーマンの男性が、年齢を問わずみんな痩せていてオシャレでドキドキした。

乗るのは、ビスタカーだ。息子が小さいとき電車の本で見たっけ。特急券はデジタルきっぷを売っているサイトとはまた別のサイトで買わないといけない。こちらも「乗車券との紐づけは…?」と思ったが、買っていれば問題ないらしい。
ビスタカーは二階建てだ。昔のMAXやまびこを思い出す。当然2階席を予約した。

かっこいい!
こんなかんじ
近鉄のキャラクター?と思ったら志摩スペイン村

みかんだらけ

見知らぬ土地の車窓は珍しいものを見つけるのが楽しい。空港から伊勢までの眺めでいちばんびっくりしたのが、民家の庭にふつうにかんきつ類が生えている、ということだった。
庭に、みかんか、なつみかんみたいな、でかいオレンジ色の実がごろっとついてて葉っぱが青々としている木が、ふつうに生えている。一家に一本くらいのノリで。ああいう木は農家のみかん畑にしかないもんだと思っていた。
東北では民家に柿の木があるのと、おなじようなもんか。
そういえば小学校の時、国語の教科書に、みかんを狙う子供たちと木の持ち主の心温まるやりとりをテーマにした話が出てきた。秋田にはみかんなんてどこにも生えてなかった。どこか遠くの南の方には日常にみかんがあるのだろうなと思ったけど、そうか、こういう光景だったんだな。
近鉄も名鉄も、電車はスマートでかっこよくて、駅を通り過ぎるとき謎の音がなるのも面白かった。
そういえば車内アナウンスで「…下さい。」のイントネーションが東北と違って耳に残った。「さい」で上げるのだ。東北では「さい」は下がる。
空港のファミリーマートで買った「生なごやん」を食べながら、飽きずに車窓を眺めた。海側の煙突群もかっこよかった。
伊勢が近づくと、田んぼが広がる。おお、ここでも米作りしてるんだね。田んぼを見るとなんだか身内がいたようでほっとする。

伊勢神宮

伊勢市駅!


伊勢市についた。
「伊勢市」駅なのがなんだか不思議。「伊勢」駅じゃないんだ。500円で荷物を預かってくれる場所が駅のすぐ横にある。スーツケースをお願いした。
身軽になった、さあ行きますか。
一応、ガイドブックで「正しいお伊勢参り」について調べておいた。
外宮と書いて「げくう」、内宮と書いて「ないくう」、この離れた2か所をめぐるのだ。最初は駅のすぐ近くの外宮。
真珠の店がある。そういえば真珠の名産の地でもあった。

真珠のクラフトビールもあるらしい

外宮の門前に、早くも赤福の店がある。伊勢角ビールの店もある。いや、まだだ。まずはお参りだ。
高齢者のツアー客がたくさん。平日なのにけっこう混んでる。

外宮にやってきた

ここで気づいた。まずい。お賽銭がない。
伊勢神宮って、一ヶ所「本宮」をお参りするだけでなく、いろんな「別宮」というところをめぐっていく。というかみんなそうしている。

だから、お賽銭をたくさん用意しておかなければならなかった!
しまった。電子マネー中心の生活をしていたから、小銭がない。ごめんなさいと心の中で言いながらお賽銭なしのところもあった。
時間はたっぷりあるのでのんびりと歩き、家族のためにお守りを買った。

池の前でひとやすみできる

「せんぐう館」というところがあったので、入って見た。

伊勢神宮は、20年に1度「遷宮」を繰り返してきた。建物を作り直し、調度品、衣類、なにもかも新しくして儀式を行う。そのため、貴重で時間のかかる手仕事の伝統工芸が受け継がれている。展示を見て、気の遠くなるような時間と人手がかかっていることがわかり、圧倒された。外宮の模型もあった。
いやー、面白かった。見てよかったなぁ。

次に、内宮へ移動する。移動には三重交通のバスを使った。伊勢神宮参拝デジタルきっぷ提示で乗れる。

バスを降り、にぎわいに向かっていく

さて、内宮の前の門前町、おはらい町、おかげ横丁には伊勢グルメがたくさんある。ちょうどお昼だし、まずはしっかり腹ごしらえしよう。
にぎやかな伊勢うどんのお店「ふくすけ」へ。混んでいたけどすぐ食べられた。
伊勢うどんはかつて仙台に一軒だけお店があって、そこで食べたっきりだ。ふわふわの柔らかいのを生醤油で食べる。やさしい味だ。

レジでは番号札を渡され、できると運んできてくれる
これが伊勢うどん

豚捨のコロッケも人気らしいので、食べた。
それにしても風情のある通りだ。スターバックスだってこんな外観だ!

え?スタバ?

伊勢角屋麦酒の場所を確認して、内宮へ向かった。駐車場はたくさんの観光バスで一杯だ。外宮より内宮の方が広いそうだ。

外宮も内宮も、昇り降りがある。わたしは平気だが、足腰が丈夫でないと厳しいかもしれない。家族と来たらしいお年寄りが杖をついて、疲れた様子でぽつんと石段の下にいた。

ここにも夏みかんの木が!
五十鈴川。ここで手を洗う

それを見て、仕事をリタイヤしたあとにのんびり旅行しようと思っても、その時、今と同じぐらい体が動くとは限らないな、と気付いた。
おかげ横丁のそぞろ歩きも、食べ歩きも、ゲストハウスやカプセルに泊まるのも、今しかできないかも。思い立ったら旅をすべきだよなぁ。

さて、内宮のそばにもうひとつ、ガイドブックを見て行きたかったところがあった。
それが、ここ。宇治神社だ。

宇治神社
足神さん
たくさんの幟

ここは健脚の神様として知られていて、アスリートがよくお参りするのだそうだ。わたしも、もうちょっと早く走れるように、次のハーフマラソンでは怪我なく完走できるように、そして母の足腰が良くなって外出が自由にできるように、祈願した。
絵馬と草履が奉納されている。お守りを買いたかったが、残念、平日だったせいか社務所は閉まっていた。
はためく幟には、聞いたことがあるマラソン選手の名前が書かれている。みなさん奉納されてるんですね。

伊勢角屋麦酒のビール、赤福

念願の

それでは行くとしよう。一直線に伊勢角屋麦酒へ。

さすが人気、すごい行列だった。店に入り、のんびりビールを飲むことも選択肢にあったが、今日はとある目的のために、酔っぱらうわけにいかなかった。
店先で「ねこにひき」とカキフライをいただいた。

たまらん
たまらんです

そう、伊勢は牡蠣も有名なのだった。「ねこにひき」は、わたしがクラフトビールにはまりまじめた頃に飲んで衝撃を受けたビール。もちろんはじめて飲んだ伊勢角のビールだ。いまや、仙台でも手に入りやすいけど、ここで飲むと感慨深い。
さて、デザートに赤福も食べたい。歩いて疲れたので雰囲気の良いカフェでまったりしたいな、と思ってふと見ると、赤福を出しているカフェが!

わたしはコーヒー好きなので、コーヒーと赤福をいただけるのが嬉しかった。
案内されたのは、大きな円形のテーブルの席。このテーブル、つやつやした朱色が本当に綺麗で、手触りも良い。大きなガラスの花瓶も美しい。見上げれば神棚もある。

赤福とコーヒーのセット
花瓶と溢れそうな花

ぼうっと雰囲気にひたって休んでいると、近くの若者3人グループのおしゃべりが聞こえてきた。この表現が正しいかどうかわからないが、完璧な関西訛りで、東北とは発音の仕方が全然違っていた。「さむいなぁ」の一言も全然違うんだから。
ふだんtwitterなどで「〇〇やで」などと、なんJ語由来のエセ関西弁を使ってしまっているのが恥ずかしくなってしまう。伊勢市についてから聞こえてくる会話はほとんど関西訛りだったから、その中にいるだけでなんか、外国にいるような気分だ。わたし、遠くに来たんだなぁ。
内宮から伊勢市駅に戻るとき、またバスに乗ったのだけど、見たことがないバスだった。連結してる!ながーーい!ちょっとテンションが上がった。
そんなに広くない道路なのに交差点も難なく曲がり、華麗に運転するドライバーさんを尊敬した。

バスの連結部分

宿へ、そして銭湯


ここが泊まったところ

預けていた荷物を引き取り、予約していたゲストハウスへ。「HEART HOSTEL&DINER」だ。

ここは女性専用、駅から徒歩5分くらい、朝食がついて3000円台という超お得な宿だ。このゲストハウス一階は飲食店でもある。翌朝の話だがオーナーさんが用意してくれた朝食があまりにおいしくて、自宅に戻ってから何度か真似て作っては思い出にひたっていた。

荷物を整理し、一休みして、出かけた。絶対行きたかった場所、それは、銭湯!
徒歩圏内に銭湯があるのだ。「霊泉湯」だ。

このネオンの風情!たまらんね。「観光なの?」と番台のおばさんがニコニコ。
わたしが入るとちょうど前の人が上がって貸し切りになった。ラッキー。
浴場の奥と中央に湯舟がひとつづつ。珍しい!
昨日、広いお風呂に入れずシャワーだけだったから、手足を伸ばして広い湯舟に浸かりたかったのだ。あー、来て良かった。銭湯に置いてあった冊子で知ったのだが、伊勢をはじめ三重では銭湯がまだたくさんあるのだそうだ。それでもどんどん廃業している。銭湯に来ると銭湯っていいなと心から思うし、仙台の銭湯にももっと行こうと思う…
湯上りは、周囲を散歩しつつ、ちょうどいい夕飯を食べる場所を探した。バーはあったが今日はもうアルコール摂取はやめておきたい。小綺麗な古家を改造した食堂でカレーをいただいた。

伊勢編はここまで!

勾玉のかたちのお守り

後編はこちら


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