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イヴ・サンローラン展を見て

先日、国立新美術館で開催されていた「イヴ・サンローラン展 時を超えるスタイル」を見てきました。

ハイブランドのもの自体全然持っていないし全く詳しくないのですが、それでもブランド関連の展示を毎度見に行きたくなってしまうのは、世界的なブランドを作った一人の人生や考え方、心の真ん中にある信念みたいなものに純粋に興味があるからです。
ここ数日で余韻に浸り、見に行って良かったな…と改めて思いました。

永遠のスタイルを追求するイヴ・サンローランのものづくり

「ファッションは時代遅れになるが、スタイルは永遠である。」
これは展示室の壁に大きく描かれていた言葉です。
ファッション面では機能性を追求しつつ新しいベーシックなスタイルを作ろうとしたイヴ・サンローランですが、その裏には人間にとっての「永遠なもの」に目を向けることを若い頃から常にしてきていたように感じられました。

そう感じたのは、サンローランが作った手作りの書籍である『愛について語るのはなぜ?』という本の存在です。
愛に関する感情がもたらす思いがけない危険や喜びについて書かれた本だそうで、手書きの文字とオリジナルなイラストが描かれていました。
なんとこれを書いたのは彼が13歳の時だそう。
「愛」という人間の永遠にあり続ける本質的な要素を若い頃から考えて創作をしていたのです。
そのあとデザインをしていった服も含めると、サンローランは人間にとって永遠に変わらないテーマや本質的な部分に目を向け、それらが解放されもっと良く生かされるようなものづくりを人生を通して行なっているように感じました。

展示されていた女性用の服の数々は機能性に優れた当時の男性の服からヒントを得て作ったものが多くて、特に当時の水兵が着る仕事着から着想を得て作られた紺色のピーコートと白いパンツの格好が超素敵でした!

現代の女性が普通にしているような格好だったので現代ファッションにサンローランが与えてきた影響は大きいのでしょうね。

イヴ・サンローランの手作りカード、 「Love」シリーズについて

私が個人的にときめいたのは、サンローランが一定の期間、毎年「Love」をテーマとした自作のグリーティングカードを作り、彼の愛する人たちに送っていたというエピソードです。
カードは毎年モチーフや表現手法が違うのですが、共通して「Love」という文字がデザインされているのです。

展覧会で購入した「Love」シリーズのカードたち

伝えたいことはただ一つ「Love」の気持ちなのですが、その同じ言葉を毎年伝え続けることに「やっぱりそうだよね!」と妙に納得してしまったのです。 

それ以上でもそれ以下でもない、ただ、その気持ちに尽きるし溢れているような感覚。大切な人たちの最後を前にした時、最後にかけたい言葉はそれに尽きる…のような感覚です。
私自身、大切な人たちに向けて思いや愛情をありのまま表現し伝え続けられるような世界が作りたいなと改めて思いました🌱

一つのブランドがあり続ける意味

一人の人間の思想と素晴らしい技術が合わさりのちにブランドとなりますが、そのブランドが新しいものを生み出し続けること自体の意味についてぼんやり考えていました。
ファッションブランドは今も昔も多様な人々の生き方を肯定する先導者的な存在になっています。
例え自分にとって「奇抜すぎて分からない」と思えるデザインであったとしても、それがあることで、ブランドがその姿勢を貫くことで救われる人たちが世の中にとんでもなくたくさんいるということを毎度展示を見るたび気付かされるのです。
この世の中に対する表現の使命を何十年と背負い続けてきたことは偉大ですね…。

最後に
購入した展覧会図録に書いてあった、イヴ・サンローランが大切にしていたチャップリンからのアドバイスがとても素敵な言葉だったのでメモしようと思います!

「枝にしがみついたものを残すには、木を揺らさなければならない」

チャーリー・チャップリン
(イヴ・サンローラン展 時を超えるスタイル 展覧会公式図録より)

最後までお読みいただきありがとうございました!☺️

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