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『窓ぎわのトットちゃん』

黒柳徹子の自伝的物語『窓ぎわのトットちゃん』

トットちゃんの続編が出ると話題になった頃、読みたいけど、トットちゃん自体を読んだのが昔のことすぎてうろ覚えだから、まずはトットちゃんを読み直してからにしたいと思ってた。

同僚も同じことを考えていたらしく、買ったから貸しますよ~と言ってくれたので、借りて読んだ。

読んでみて、こんなに優しい世界があったのか!と、とっても幸せな気持ちになって、これはぜひ手元に置いておきたい!と思ったので、今度買うことに決めた。

ところどころ覚えてるシーンもあるから、昔確実に読んでるはずなのに、なんで今回読んだ時のような印象が、こんなに薄れてしまってたのかと思う。
当時はそこまで思わなかったのかなぁ。

トットちゃんが小学校を退学になって、新たに通うことになったトモエ学園での出来事や、校長先生や友達のこと、トットちゃんの気持ちが、とっても鮮やかに描かれている。

何十年経ってもこんなふうに鮮明に覚えているくらい、色鮮やかで、とても大切な日々を過ごしていたんだなぁ、こんな子ども時代を過ごせたら幸せだろうなと思った。

校長先生の教育理念も素晴らしくて、理想はわかるけど現実的には難しいよねって思われるようなことを、現実にやってしまう人っているんだなぁと思った。

自分自身を大切にしたり、相手のことを思いやったり、人としてとっても大切なことを、教えるのではなく、自然に体得させていっているところが、本当にすごい。

最後は、戦争の空襲でトモエ学園が焼けていくシーン。
トモエ学園が焼けるのを見ながら、校長先生が息子さんに言った言葉が、
「おい、今度は、どんな学校、作ろうか?」
というものだった。

絶望的な状況でも、前を向いていこうという強さや、希望にあふれていて、教育ってこういう心を育むことが大切なんじゃないかと思った。

いわさきちひろの挿絵もぴったりで、本当に素敵な作品。
読んで良かった。

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