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元地方紙記者が記事を書きまくって考えたこと③「新聞記事の5W1H 新聞記者の5W1H」

元・地方紙記者がひたすら地域を歩き、聞き、書きまくる中で気付いたことを綴るシリーズ。第3回は「新聞記事の5W1H 新聞記者の5W1H」です。

新聞記事の5W1H

文章を書くというとき、すぐ思い浮かぶのが「5W1H」ではないだろうか。新人記者時代に読まされた「記者ハンドブック」にも、5W1H(6要素)が記事の中心になると書いてあった。

記者ハンドブック(共同通信社)

全ての記事に必ず6要素が含まれるとは限らず、それぞれの重要度も記事によって異なるが、
「いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように」を分かりやすく、簡潔に説明することが常に求められる。

新聞記者の5W1H

まず5W1Hを押さえることは当たり前として、新聞記者に真に必要なもの、仕事をする上で一番大事なことは、
「いつ、どこで、誰に、何を、なぜ、どのように」話を聞くかである。

この組み合わせによって、思いがけずよい取材ができることもあれば、大失敗をすることもある。この「新聞記者の5W1H」にこそ、記者の個性が出るし、技量が問われると私は思う。

①いつ?

話を聞くタイミング、時期は大切。今は取材を受け入れてくれなくても、時間が立てば好転することもあるし、その逆もあるだろう。
時間帯で言うと、常識的な時間帯なのか、「夜討ち朝駆け」と言われる、深夜早朝を狙うのかという選択もある。

②どこで?

取材相手の「ホーム」か「アウェイ」か?によってインタビューの雰囲気は全く違ってくる。特にコロナ禍以降は、対面だけでなくオンラインという選択肢もある。
記者が大勢集まる記者会見の場と、2人だけで話を聞く場では、聞ける内容も当然違う。

③④誰に?何を?

その道の専門家や当事者など、誰に何を聞くのか。まさに取材のキモ。
少し発想を飛躍させると、実はあの人にこの話を聞いたら面白そう!という人が見つかることも。
チームによる取材では、「誰が(どの記者が)」を割り振るのも大事な仕事。

⑤なぜ?

ほかの誰かではなく「あなた」に話を聞きたい理由を明確にすることも大切。

⑥どのように?

「どこで」にも深くかかわるが、警察の取調室ばりに詰めるのか、ゆったりのんびり語れるようにするのか。これも重要な要素。

5W1Hを自在に操る取材術

新聞記者はスピード重視であまり深く考えず動いているように見えるかもしれないが、この5W1Hをさまざまに組み合わせて取材をしているのだ。

何か突発的な事案が起きたときに、すぐに幅広い視点で取材を展開できるようにするためには、日頃からの準備も欠かせない。

ローカルジャーナリストとして、地域から発信する人も、「新聞記者の5W1H」を考えてみると、マンネリから抜け出し、より面白い取材ができるかもしれない。

余禄・地方紙記者の場合

地方紙の記者は基本的に、都道府県などエリアとする地域で起きたことを徹底的に取材している。県外の出来事は関係ないと思いがちだが、意外なところに、山口県とのつながりがあったりする。

新石垣空港開港と山口県民とのつながり

例えば、2013年3月に沖縄県・石垣島に新石垣空港が開港した。新空港の建設を巡っては、環境保護の観点から懸念が寄せられ、建設地の決定までには紆余曲折があった。建設予定地の洞窟には貴重なコウモリが確認されており、その保全について提言をしていたのが、山口県美祢市にある秋吉台科学博物館の当時の館長だった。

開港時には、館長は引退されていたが、当時を振り返って話を聞き、記事にすることができた。これは、普通の雑談の中から、「そういえば…」と話題が出てきたもので、何気ない会話が取材につながった例でもある。


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