【創作部】1.詩*慰霊の日によせて

76年前のあの日はどんどん遠くなる
遠くなればなるほどに、
戦闘機が飛び交っていたあの日の空に近づいてはいないだろうか
遠くなればなるほどに、
戦地に行く友と別れたあの日の夕刻に近づいてはいないだろうか
遠くなればなるほどに、
ガマで幾日も身を潜め続けたあの日の息苦しさに近づいてはいないだろうか

76年後のこの日と重なる世に向ける
鎮魂の祈りは、
晴れわたる青空を見上げられるこの日のために
鎮魂の祈りは、
明日もまた友と会える当たり前のこの日のために
鎮魂の祈りは、
大きく息を吸って命を育めるこの日のために

2021年6月23日 慰霊の日によせて

*****

さて、毎年、注目している「平和の詩」は、今年は中学生の詩が選ばれたようです。
中学生が選ばれるのは初めてじゃないでしょうか。
少し背伸びした語彙や方言の使用は、これらのコトバがどことなくまだ彼女の血肉になりきれていない気がするけれど、彼女が知らない時代を、社会を、そして戦争を語るには、それくらいの距離感があるという現れのようにも思われます。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?