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学生は年金保険料が免除されるの?されないの?

学生は働いてないから年金保険料は免除されるんでしょ、と聞かれることがありますが、いいえ、免除はされないのです。
国民年金保険料の免除制度と学生納付特例制度は違う制度です。
どんなところが違うのでしょうか。

学生納付特例は保険料の納付が猶予される制度

「免除制度」は経済的な理由で保険料を納めることができない場合に保険料が免除される制度です。免除が受けられるかどうかは世帯の所得状況が基準となります。
「学生納付特例」は、保険料の納付が猶予される、つまり後払いしてもいいよ、という制度です。免除されるのではないのです。学生本人の所得が基準以下の場合に申請できます。

学生納付特例の期間は年金額に反映されない

「免除期間」と「学生納付特例の納付猶予期間」の大きな違いは、年金額に反映されるかどうかという点です。
老齢基礎年金の年金額の計算式を見てみましょう。

老齢基礎年金額は加入期間の長さに応じて決まります。
20歳から60歳まで40年加入して満額の777,800円(2022年の額)を受けるのが基本です。
納付猶予期間はこの計算式の加入期間に含まれないので、その分だけ年金額が少なくなります。
免除期間のほうは、下の計算式のようにその期間に免除割合に応じた率を乗じて年金額が計算されます。たとえば全額免除された期間は1/2として年金額が計算されます。

10年以内なら保険料を「追納」できる

「免除期間」や「学生納付特例の納付猶予期間」があっても、10年以内であればその期間の保険料を納付して満額の老齢基礎年金に近づけることができます。これを保険料の「追納」といいます。
ただし、追納が3年度以降になった場合は、免除や納付猶予を受けた当時の保険料に加算がついた額を納付することになります。

未納期間と納付猶予期間の違いは?

納付猶予期間が年金額に反映されないのなら猶予の手続きする意味あるの?
未納期間と何が違うの?
と思いますよね。
年金を受けるためは最低10年の加入期間が必要ですが、納付猶予期間はこの10年の受給資格期間には算入されます。
また、病気やけがで障害が残ったときに、未納だったり学生納付特例の手続きをしていなければ障害基礎年金が受け取れません。
さらに未納の場合は2年たつと時効により納付する権利がなくなりますが、学生納付特例は10年以内であれば追納できます。

学生納付特例を利用する?しない?

たとえば20歳から大学を卒業するまで学生納付特例を利用し、22歳で就職したときに保険料を追納するとします。保険料は月額16,590円(2022年度の額)なので2年分で約40万円とかなり大きな金額になります。
かといって納付を先延ばしにすると3年度以降は加算がつきます。

学生時代に保険料を自分で支払うのは難しいという方も多いと思います。
大学生の子に代わって親が保険料を支払うという選択肢もあります。
たとえば保険料を支払っている親が会社員である場合は、会社の年末調整で納め過ぎた税金の還付を受けられます。

このように年金保険料の納付方法には、複数の選択肢があります。
制度をじょうずに利用してベストな選択をしていただけたらと思います。

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