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常連扱い

〈酒を売る店のおかみとたちまちに親しくなりて居を変えてゆく 山崎方代〉
店から遠い場所に引っ越した。さすれば会うこともなくなり、おかみとの縁も切れる。

藤島秀憲『山崎方代の百首』

 酒を売る店とは、単なる酒屋なのかもしれないし、居酒屋なのかもしれない。よく行くので、すぐに店主と親しくなってしまう。普通は、常連扱いされるとうれしい。「いつもの」などと、注文を省略できたり、オマケしてもらえたりするかもしれない。あるいは、愚痴をきいてもらえるかもしれない。
 しかし、そういう常連扱いがうっとおしい人もいる。だからといって、引っ越しまでするのは徹底していてすごい。