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戸籍係

多摩川を越えて春蝶とべる日の戸籍係に列できている 藤島秀憲

『ミステリー』

 川は行政区画の境目となっていることが多い。蝶は、境目など無関係にとんでいく。蝶がとぶ軌跡の残像が下句にも残っていて、戸籍係という現実的な名称が、異化される。
 一首ぜんたいのこのまぶしさは何だろう。