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モーツァルト『モーツァルト交響曲全集』 (ホグウッド/エンシェント室内管弦楽団)

人生に欠かせないオールタイムベストな音楽をいろいろと紹介していきたいと思います。ジャズ、クラシック、ロック、ポップス、歌謡曲、フォーク、J-Popなど、脈絡なくいろいろと。


新型コロナウイルスで外出自粛になっている昨今、なんとなくモーツァルトの交響曲を系統だって聴き直している。

なぜモーツァルトって?
そりゃ明るい気分になるからに決まってる。
なんかポジティブになる。
こんなとき、ベートーベンやブラームスやチャイコフスキーはちょっと重すぎる。

ポップスやロックみたいに歌詞がないのも、またいい。
あんまりモノを考えずにさらりと聴いていたいから。

そういうときは特に「古楽器のモーツァルト」がいい

「古楽器」&「小編成」のモーツァルト

すごく可憐で小粋になる。

このモーツァルト交響曲全集(CD19枚組)の特徴は、それ。

モーツァルトが作曲した当時の楽器(再現)。
モーツァルトが演奏した当時の編成(いまよりずっと小編成)。

それらで録音したものなのだ。

つまり、モーツァルトが意図した音をそのまま再現しようとした画期的なものなわけ。
全68曲。作曲された都市別にまとめてあるのもユニーク。


もちろん大編成だって名盤はある。
オリジナル楽器でなくても感動的な演奏はある。

でもね。
あの天才モーツァルトが狙ったとおりのイメージで聴いてみたくない?

あの天才が計算しつくして作曲した交響曲だから、当時の楽器によるオリジナルな演奏が一番いいに決まっていると思わない?


「古楽器」&「小編成」だと何がどう違うか。

まず、音の伸びが違う。
古楽器の方が伸びやかなのかって? いえ全くその逆。古楽器は余韻がほとんど出ない。

「ジャーーーーーン」と響くところが、「ジャーン!」くらいで終わってしまう。

でも、「!」を付けたのでわかるようにわりと小気味よく小股が切れ上がる。

大オーケストラの「ジャーーーーーン」の演奏を聞き慣れた耳には、最初はなんか物足りないかもしれない。

でもね、「ジャーン!」がもともとのモーツァルトなんですよ。あの「ジャーーーーン」は後世の後付の余韻だ。

次に、必然的にテンポが変わってくる。
なにしろ「ジャーン!」だから粘りようがない。
全体にテンポが少し早くなる。
それにともない、いままでとは違う「可憐さ」「小粋さ」が出てくる。


特にこのCD、初期の交響曲がよいなぁ。

全部、チャラチャラチャラチャラチャン!って終わる。
可愛いったらない。ホグウッド自体の指揮はそんなに面白みがないのだけど、古楽器の音自体がすでに可愛い。

ちなみに、ホグウッドは他にもいろいろ古楽器で出している。
ヘンデルやハイドンも出してるけど、面白いのはベートーベン。あの重厚さが少し減って、ちょっと可憐になる。
「運命」なんて面白いよ〜。フルトベングラーあたりと比べたらひっくり返る。


まだホグウッドのモーツァルトを聴いたことがないアナタ。
是非「古楽器」&「小編成」の洗礼を受けてみて。
絶対楽しいから。
絶対明るい気分になるから。


Wolfgang Amadeus Mozart
The Symphonyies

Christopher Hogwood
Jaap Schroder
The Academy of Ancient Music

クリストファー・ホグウッド指揮
シュレーダー(コンサートマスター・指揮)
エンシェント室内管弦楽団
1982年〜86年録音/L'oiseau-Lyre




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