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なぜボリビアが荒れているのか

*上記の写真はボリビアの現場とはなんら関係ありません


ボリビアの情勢が不安定になってきている。

ぼくは青年海外協力隊としてボリビアに派遣されて活動しているが、JICAは昨日からボリビアにいる全ての青年海外協力隊員に『自宅待機』の指示を出している。


外に出ると危険だから、外出するなということだ。


圧倒的なスポーツマンで外に出て体を動かすことが大好きなぼくにとって、外出禁止というのは相当ストレスが溜まる...。

昨日は意味もなく家の隅から隅まで掃除して、気を紛らわしていた。


自宅待機で暇なので、「なぜボリビアの情勢が不安定になってしまったのか」、その理由をザックリ説明していきたいと思う。


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キッカケは先週の日曜日、10月20日に行われた大統領選挙

ボリビアの次期大統領を決めるわけだから、そりゃぁ一大イベントだ。


次期大統領として有力なのは2人。

エボ・モラレス

カルロス・メサ

巷では「エボ」と「メサ」と呼ばれているので、本記事でも以下ではそう呼んでいくことにする。


2人のTwitterのアカウントを載せておくので、どんな顔なのかみたい人はリンク先に飛んでみてほしい。


上記の2人が、今回の大統領選挙でデットヒートを繰り広げている。


現職の大統領は「エボ」。

彼は2006年に大統領に就任してから現在までずっとその地位を守り続けている。


ちなみにメサも、以前大統領だった経験がある。



選挙前は現職のエボが再選するという声が強かった。

一方、「もうエボは懲り懲りだ!」という反エボの声もそこそこ強かったのも事実。


上記の2人がキーパーソンだという理解をしてもらったところで、いよいよ『なぜボリビアが荒れてきているのか?』という本題に入っていきたい。




まず頭に入れてほしいのは、10月20日に行われた大統領選挙の結果次第で、次期大統領が「決まる可能性」と「決まらない可能性」があるということ。


決まらなかった場合、12月15日に再び選挙がおこなわれる。


では今回の選挙でどういったケースになると大統領が「決まり」、どういったケースになると大統領が「決まらない」のか。



大統領が「決まる」ケースは以下の2パターン。


①過半数の票を獲得

②40%以上の票を獲得し、かつ2位と10ポイント(10%)以上の差がついている


上記のいずれかの条件を満たした場合、大統領当選となる。

①も②も満たさない場合は今回の選挙で大統領は決定せず、12月に再選挙。


10月20日の選挙の結果が翌日21日に公開され、その結果ではエボもメサも過半数の票は獲得せず。

つまりこの時点で上記の①の可能性は消滅。


問題なのは、②。

エボは21日の開票結果で40%以上の票を獲得して1位。

しかし2位につけるメサとの差が5〜7%ほど(正確な数値は覚えていない)しかなかった。


つまり1位と2位の差が10%未満であり②の条件も満たしていないので、今回の選挙では大統領が決まらず12月に再選となる可能性が非常に高かった。


この結果を受けて反エボの人たちは

再選じゃー!!やっとエボを大統領から引きずり下ろせる!!ウォーーー!!


と歓喜。

再選挙に向けて士気を高めていた。

しかし。


10月21日に開示された投票結果は、ボリビアの全有権者の約85%の票しか反映されていないもの。


大都市の投票結果はすぐに集計されて開示されるものの、田舎に住んでいる有権者の票の集計がまだされていなかった。


つまり21日の結果には、残りの約15%の票がカウントされていなかったということ。


そのことは全員知ってはいた。


知ってはいたものの、その残りの約15%の票が反映されたところでエボとメサの票の差が10%以上に開くことはないだろう。反エボの人たちはそう考えていたわけだ。

もう「12月の再選確実」的な雰囲気が流れていたということ。


しかしここで、エボがなぜか勝利宣言


勝ちました」って言ったんですよ。

まだ15%分の票は集計されていないにも関わらず。大統領に当選する条件をいまだに満たしていないにも関わらず。

あたかもエボは、自分が勝つことをもう知っているかのように...。


その勝利宣言をきいて反エボの人たちの間に

なんでもう勝利宣言してんだ?まだ最終的な結果は決まってないのに

と疑問がフツフツと湧き上がる。


そしてさらに翌日10月22日。

田舎に住んでいる有権者たちの票、つまり残りの約15%の票が徐々に集計されて結果に反映されていく。

はずだった。


しかしその日はなかなか結果が開示されず、市民の中では

なんで結果が開示されていかないんだ...?

と疑問と不安が募る。


そして結果が開示されたときには、なんとエボとメサの差が8%〜9%にまで広がっていた。

これに対して反エボの民衆が激怒。

なんでそんなに差が開いてんだ!!結果を開示していないうちになんか不正したんだろ!!いろいろと不正してたから結果の開示が遅れたんだろ!!というか最初から不正するつもりだったんだろ!!不正するつもりだったから昨日勝利宣言なんてしたんだろ!!そんなの認められるか!!ふざけんじゃねぇ!!ウォーーー!!


とブチギレ。


エボが謎の勝利宣言をしたあとにその後の結果が本当にエボの勝利に近づいていったら、そりゃぁ不正を疑いたくもなる。


荒れる民衆に対して警察は

落ち着け!!ウォーー!!


と出動。


さらにそれに対してぼくは

自宅待機なんて暇すぎる!!早く落ち着きを取り戻して外出させてくれ!!ウォーーー!!


と、自宅にて空前絶後の一人クーデターを起こしている...。



ぼくのクーデターはまぁどうでもいいとして、エボとメサの差が10%に開いてしまうとエボが当選してしまう。

そりゃぁ反エボの人たちは怒るわけだ。


そしてヒートアップした民衆の怒りはいろんなところに向けられ、ところどころで建物が燃やされたり警察との衝突が繰り広げられたりし、情勢の悪化につながっている。


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以上が、今のボリビアの現場。

あまりにもザックリしていて理解しにくかったかもしれないが、そこに関してはぼくの文章力がないということで、ごめんなさい。


エボが不正したのかしていないのかなんて、確かめる術はない。

もし本当に不正をしているとなるとそれは大問題だが。


最終的な結果が出るまで、つまり有権者すべての票が集計されるまでもう少し時間はかかる。

その間、市民のストライキはずっと続くかもしれない。


メサは「この選挙には不正があった。到底受け入れられる結果ではない」と言っているし、もうしばらく混乱は続きそう。


とにかく、どうなるか先が読めなさすぎる。

早く自宅から出たいのだが...。


ボリビアの一連の出来事に関する記事も貼っておく。

本記事では触れていない、これまでのエボの功績や「なぜエボは嫌われているのか」なども以下の記事には書かれている。


興味がある人は読んでみてほしい。



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