見出し画像

ルフィに共感できないあなたへ

今日はワンピースにどうにもハマれないという人がいるよね、という話をしてみたいと思います。

ぼくは漫画好きでして、中学生から29歳のいまに至るまで、毎週欠かさず週刊少年ジャンプを読むほどには漫画少年なんですが、もちろんジャンプ以外の漫画もそこそこに読みつつも、いろんな漫画の話を人としたりするわけです。

そんななかで「どうしてもワンピースにはハマれない」という人が結構いるなと。ワンピースといえば、もはや不動の国民的漫画だと思うのですが、もちろんぼくも大好きで、小学生の頃に大ブレイクが始まってから、今も日本中で愛されていますし、いまも原作は連載中です。まだまだめちゃめちゃ面白いです。

ただ、けっこう会うんですよね。「漫画大好きだけど、ワンピースは合わない」という人。

でね、よくよく話を聞いてみると、どうやら共通した理由を言われることが多くて、それが「ルフィに共感できない」というものなんです。

うんうん、と頷いた方、いるんじゃないでしょうか?


どうしてルフィには共感できない?

ルフィといえば、常に前向きで、どんな困難があっても弱音なんて吐かずに仲間とそれを乗り越えていくし、「海賊王におれはなる!」と言って、自分の夢に対して1ミリの迷いもないわけです。絵に描いたような主人公なんですね。

そりゃ、共感できないですよね。共感って、「自分と同じだな〜」と思えるときに起こるものなので、そもそもルフィみたいにメンタル最強な人間なんて日本中に1人もいないと思います。

画像1

そもそも、作者の尾田先生も、読者をルフィに共感させる気なんてさらさらなくて、有名な話ですが、尾田先生はルフィを描くときに、一切「心情描写」をしないんです。

「くっ、コイツ、なかなかやるな」とか「どうやったら勝てるんだ」みたいな、主人公が心の中で思っていることの描写ってあるじゃないですか。あれがまったくないんですね。

なぜなら、ルフィは全部思ったことは口に出してしまうから。思ったことは口に出す、という描写をこの98巻までずっと徹底しているんです。他のキャラクターはわりとガンガン心情描写があるんですが、ルフィだけは一切ない。共感してほしければもっと葛藤とか弱音とかの心情を描写したほうがいいんですけども、それはしないことに最初からなっているんです。


共感したいのか、憧れたいのか

でね、そういうふうに「共感できないんだよね」と言われると、ワンピース大好きなぼくも、共感なんて全然してないけどなぁと思うわけです。ぼくだってルフィに共感できる箇所なんて1ミリもない。あんなに強いわけないじゃないですか。

じゃあ、なんでおもしろいかっていうと「憧れる」からなんです。おれは○○になる!と宣言してみたいし、1人で背追い込んで命を懸けようとしてる仲間がいたらぶん殴ってでも止めたいし、全世界を敵にまわしていのか!と脅されたら「望むところだ!」と返したいわけですよ。

でね、面白いなと思ったのが、この「共感したい」のか、「憧れたい」のかっていうのは、わりと人によってさまざまだなぁというころで、それによって漫画の好き嫌いも分かれている気がするんです。

共感しやすい主人公とは、つまり心が弱い主人公ですよね。すぐに弱音を吐くし、自分の信念はぐらぐらだし、夢なんて持ってないし、まわりに流されるし。

日本のサブカルでそんな弱い主人公の口火を切ったのが、「親父にもぶたれたことないのに!」のアムロ・レイ(ガンダム)で、そのあと「逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ」と続いたのが碇シンジ(エヴァ)だと思うんですが、

最近はジャンプの主人公たちも王道漫画であってもしっかりと内面の葛藤をあらわすようになってきていて、「がんばれ炭次郎!」と自分を鼓舞する竈門炭治郎(鬼滅の刃)や、皆を連れ出したことの後悔を抱えながら前向きに生きるエマ(約束のネバーランド)がそうですよね。


内発的に生きるのか、外発的に生きるのか

あと、もうひとつ、ルフィは海賊王になるという夢に生きてるわけなんですが、炭治郎やエマは夢のためにがんばってるわけじゃないんですよね。鬼のせいで最悪な状況をどうにかするために、守るべき人のために、ある意味で使命として戦っている。

主人公が夢に生きている、つまり内発的なモチベーションで生きているのか、使命のためにがんばっていたり周りの環境で致し方なくそうしていたりと、外発的な原因によってそうせざるをえないからそうやっているのか、というのでも、漫画の好き嫌いが結構分かれる気がします。

スラムダンクもアイシールド21も、スポーツ漫画は基本的に主人公は夢に生きてますし、(全国大会優勝なんて、しなくても生きてはいけますからね)、おじさんが夢を追いかける話として宇宙兄弟もブレイクした気がします。

黒崎一護(BLEACH)は死神になりたかったわけではなく、守りたい人を守るために強くなったわけで、それは環境が原因の外発的なもの。使命感で生きる主人公ってけっこう多いんです。

フィクションの好き嫌いって、どういう妄想をしたいか、と言う話だと思うので、夢に生きる主人公を見たい人もいれば、使命に生きる主人公を見たい人もいる。もちろん、時によってその感覚が変わったりもするでしょう。


「共感したい⇄憧れたい」と「夢に生きる⇄使命に生きる」

ここまで話した2つの軸をもとに、勝手にプロットしてみました。思いついたタイトルを入れただけなので、めちゃめちゃぼくの趣向に偏っていますが(笑)

スクリーンショット 2021-02-08 0.07.52

主人公に共感したいのか、憧れたいのかを横軸。

主人公が内発的なのか、外発的なのかを縦軸にしてみました。

例えば、ワンピースも宇宙兄弟も好きな人は「主人公が内発的な漫画が好きな傾向がある」かもしれないし、

エヴァやハガレンが大好きって人は、右下にあてはまる漫画にハマりやすいのかもしれないし、

王道漫画はだいたい左側に入ってくるので、主人公に憧れたいって人は多いかもしれません。

ルフィに共感できないあなたは、きっと「主人公に憧れたい」が違うのか、あるいは「主人公が内発的」なのが違うのか、きっとどちらかなのではないでしょうか。

(とか言って、どっちも違ったら忘れてください笑。そんな単純に整理できないよ、というのはそりゃそうなので。。)

今後自分がどんな作品を選ぼうかな〜と思ってる人には、けっこうこの考え方は参考になったりするかもと思い、まとめてみました。

それではまた明日。

(おしまい)

ここまで読んでいただいて本当にありがとうございます! 少しでも楽しんでいただけましたら、ぜひスキをお願いします!