見出し画像

Unknown

その1。

『認証エラー。パスコード入力希望。認証エラー。パスコード入力希望』

無粋な機械音声に起こされる。体内チップで認証できるだろ、と毒づきながら布団から出る。

--近未来。人々の身体には必ずチップが埋め込まれ管理されていた。チップがあるおかげで生活できていたのだ。稀に、極めて稀にだがチップが壊れ認証できなくなることが起きる。対策として、虹彩認証や指紋認証、声帯認証も取り入れていた。がそれも認証できない場合は手動でのパスコード入力となる。

『8時です』

機械音声にイラつきながらドアを開けようとしたが開かない。鍵が作動しない。

「?。何?俺だよ。開けれって」
ノブがピクリとも動かない。
「ああ、畜生!チップ破損か?ならば」
モニターに目玉を近づける。

『unknown。登録データなし。声帯データなし。指紋データもなし。不明な人物です』

怒りに任せドアを破壊し外に出てしまった。
後々、この行為がとんでもないことになるとは知りもしなかった。とりあえず、チップの修復を、それしか頭になかったのだ。


作品は観る者がいないと成立いたしません。観る者が1人でも成立いたしますが多ければそれだけ物書きという者ははりきるのです。観る者が育てるという役を選んでくれたなら物書きは安心して書くができるでしょう。