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消えた盟友。

「バスジャックをしよう。バスジャックをしよう。行きたいところへ行けるように、バスジャックをしよう。」

その歌が私の中に飛び込んで来たのは、昨年五月の事だった。

二月に初めて無善寺を訪れ、次から次へ現れる奇人変人に心を踊らせた私は全レギュラー日に出ようと思うように。

そして四月から色んな日に出始めて、五月に"酔っ払って"という第三木曜日へ出演する。

初めて片山さゆ里と会った日だ。

無善寺で出会った演者で好きな人間は沢山いるのだが、私にとって一番"分かる"歌を歌うのは同氏だった。

最初に聴いた時のバスジャックは本当に衝撃で、体に電流が走ったのを覚えてる。完全にやられた。

そして何だか分からないけど、この人の放つ言葉は咀嚼せずとも凄く凄く分かるのだ。

出番後、本人に話を聞くと富山県出身と言われた。裏日本だ。だからだ。私はそう思った。

また同氏も私の曲が"分かった"ようで、今は無きアカウントに『鈴木諭さんというヤバいミュージシャンを知りました〜』みたいな事を書いてくれ、それが本当に本当に嬉しかった。

以来意気投合し、多摩川登戸河川敷での豪雨の路上ライブやら年頭にはツーマン"裏日本"を決行するなど、お陰様で目まぐるしく楽しい音楽生活を過ごさせて貰った。

私はこの人と共にライブすると、毎回色々な学びを得られている。

その度にいつも思っていた。
この人は凄い。この人のレベルに追い付きたい。自分はまだまだだ。もっともっと修行しなければ。

必死に音楽に時間を投じた2023年が終え、ツーマン裏日本を迎える。

勝ち負けでは無いし、そんな事を考えていた訳では無いのだが自分のステージを終えた後に圧巻の同氏のライブを見せ付けられて思った。

私はこの人の域には到底達してない。ずーっと先にいる。

もしかしたら、この先も私は片山さゆ里の背中を追い続けて行くのかも知れないと。

----------そして、昨日片山さゆ里が終幕した。永遠に追いつけなくなってしまった。

だから、これからもこの人の影を追い続けてゆくのだろう。遠い何処かへ行くために。

#さゆゆ最終公演


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