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私たちが株主優待寄付の仕組みを立ち上げた理由(中編)

前回(前編)では、私たちが2017年8月頃に株主優待品の社会的な活用について、仲間と議論を始めた経緯を紹介した。

ほぼ月イチで10回近く続いた検討会では、株主優待品の活用を検討している企業、信託銀行、CSRのコンサルティングファーム、証券会社、子どもの教育を支援するNPO、ファンドレイザー、大学生、大学院生、税理士、弁護士など様々な分野の専門家やボランティアが集まり、株主優待の寄付に関する期待や課題、解決法などを語りあった。そこで意識したのは、株主優待の寄付を1対1の支援で終わらせるのではなく、多対多の関係性に広げること、そしてそれを持続可能な営みにするために必要なことは何かということだった。

これまでの株主優待寄付は1対1

実は企業と社会貢献団体の1対1の株主優待寄付は、様々な形でこれまでも行われてきた。例えば、ある証券会社は、投資目的や政策目的で保有する株式の株主優待品のうち、換金が容易な金券や割引券など(クオカード、発行企業の施設の利用権、割引券など)は入札を実施して換金し、売れずに残った日用品や食品などの優待物品は、全国的に名の知れた社会貢献団体にまとめて引き取りにきてもらう形で寄付を行ってきた。

まとまった量の優待物品を引き取りに来てもらうことが条件になるため、ある程度のコストを負担できる団体ではないと対応できない。そのため、寄付先はどうしても規模の大きな団体に限られることになる。投資信託の運営元であるアセットマネジメント会社や、信託銀行でも同様だ。換金できるものは換金して投資家や株主に還元し、残った優待物品はまとめて引き取ってもらえるところに寄付する。優待物品を保管し、分別し、寄付先に送るにはコストがかかる。だから引き取りにきてくれる団体に寄付する。それはそれでとても合理的で、世の中のもったいないを解決することのできる現実的な方法だ。これが従来行われてきた株主優待寄付だった。

でも、私たちはこれまでとは違うやり方で、より多くの優待品を様々な団体に寄贈したいと思った。しかも誰も頑張りすぎなくてもよい持続可能な形で。

優活プロジェクトの始まり

検討会での議論を経て、企業から優待物品だけでなく換金可能な優待券も一緒に寄付を受け、優待券の一部を換金して引き取りや配送などの実費と運営費をまかない、残った大部分はそれを優待品のまま事業に活用できる社会貢献団体を公募で選んで寄贈する、という優活プロジェクトの骨格が決まった。

2019年1月、検討会にも参加してくれた上場会社から最初の株主優待品の寄付を受けて、優活プロジェクトのトライアルを始めた。

後編に続く。


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