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間借りドリンク屋にて修業

みたかの小さなプリン屋さんがいかに失敗したかを毎回400~500字で綴るシリーズ『プリン屋開業失敗ものがたり』です。ノンフィクションよ~

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私が送り込まれた店はガーリーなお洋服を扱うショップの隅に間借りしているドリンクスタンドで、完全に若い女性をターゲットにしていた。店員も大学生かカフェ専門学校の子ばかりで、授業がある平日の午前中はシフトに入れる人がいなかったのである。逆に子育て中の主婦である私は子供たちが学校に行っている間に働けるのでちょうどいい。

開店前に店に行きシャッターを開けて店の前の路面を濡らしたモップでよく磨く。店内はブティックの女の子たちが掃除機をかける。まだ20歳にもならないような華奢で可愛い子ばかりだった。顔の可愛い子はどうして声も可愛いのだろうかと思った。

トイレ掃除、カウンター磨きが済んだら立て看板とベンチを所定の位置に並べ、冷凍タピオカをどっさり砂糖を混ぜてゆでたり、フルーツをカットしておいたり、アイスクリームの在庫を補充したり、せわしなく開店前のさまざまな準備をする。

そうやって一人で準備をしながらブティックの女性たちの朝礼を片耳で聞く。「今日はこの服を推していきましょう」などと先輩格の店員が言うのを新人の子は熱心に聞いている。うまくお客におすすめできなかったときは客が帰ってから先輩に怒られる。客も女性なのに、なんとなくキャバクラの裏側を見るような気がしていた。

ちょっと傷ついた彼女たちが休憩のときにバナナとストロベリーのスムージーを飲みに来て「おいしい♡」とほっと一息ついているのを見ると、カフェっていい仕事だなと思った。

今日はほっこりした感じで☆

つづく

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