歯磨きの習慣

 朝、起き抜けの歯磨きと夜寝る前の歯磨きは大切な習慣となっている。忘れることはないし、もしやらなかったとしたら落ち着かないだろう。
 とくに寝る前の歯磨きは時間をかけて丁寧に。おかげで3ヶ月に一度の定期検診ではいつも「よく磨けてます」と言ってもらえている。
 少し前まではしっかり磨けたと思っていても「前歯の裏側に磨き残しが…」と言われ、次こそはとがんばっても「横の歯に磨き残しが…」といつもどこかしら残っていて惜しかった。
 今さらまた磨き残しを指摘されるようになつまては恥ずかしいので、毎晩気をつけて磨いている。歯ブラシは3種類、もちろんフロスも使って、ぬかりないつもり。
 まずはごく普通の、毛先が細い歯ブラシで全体を磨く。奥歯から順番に、側面、表、側面と意識して、軽い力で縦に細かく歯ブラシを動かす。シャカシャカ音がしていいのは奥歯の上面だけで、他のところで音がするようなら力の入れすぎだと教わった。
 表も裏も磨いたら、フロスを使う。先に使ったほうが良いという説もあるけど、どうなんだろう。私は隙間に残った汚れをこそげとるイメージで使っている。
 それから先端の細くなっているワンタフトブラシを手にとる。奥歯の奥、歯と歯の間、歯と歯茎の間などをなぞるように磨く。くるくる回すようにするときれいになりやすいそう。
 仕上げは固めのフラットな歯ブラシで歯の表面をブラッシング。毛先の細いものだと、広い面の汚れは落ちにくいと聞いたから。ついでに歯茎にも軽くブラッシングしてマッサージする。
 どんなに眠くても、旅先でもこれらを省略することはできない。
 ところが、こんなに一生懸命磨いているのに今年になって3度も歯の治療をしているのはどういうわけか。年明け早々にぽろりと歯が欠けて、歯医者に駆け込んだ。取れたのは古い詰め物で、歯に異常はなかったからすぐに治してもらえて一安心。
 でも3月の定期検診では銀歯の横が欠けていて、軽く虫歯になっていることがわかった。銀歯は剥ぎ取られ、作り直しとなった。口の中で土木工事のような音と振動が響き、金属くさい味が広がった。
 そして5月、歯磨き中にまたぽろりと歯が欠けた。これも古い詰め物だったからすぐに治してもらえたけれど、不安は残る。
 なぜなら私の歯は古い詰め物だらけだからだ。子どものころは歯磨きをおろそかにしていたので、すぐに虫歯ができた。しかもギリギリまで我慢して歯医者に行くというスタイルだったため、白い詰め物も銀歯も多い。それらが順番に劣化して、欠けたり取れたりしてくると思うとうんざりする。
 でもそれも自業自得。それに毎日の歯磨きや3ヶ月おきの定期検診を怠っていたら、きっともっと大きな治療をするはめになっただろう。
 だから今日も私は3種類の歯ブラシを駆使して歯を磨く。一本一本、異常がないか確かめる。歯磨きの習慣をつける大切さが、大人になってようやくわかった。

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