佐藤

本と犬とコーヒーが好き。最近はロバに惹かれている。芬語を勉強中。ジョージア語も始めたい…

佐藤

本と犬とコーヒーが好き。最近はロバに惹かれている。芬語を勉強中。ジョージア語も始めたい。現在無職。

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esittäytyä

Hei! Olen Sato. Olen kotoisin Aomorista. Mina opiskelen suomea. Haluaisin matkustaa Suomeen.  今さらながら自己紹介をしようと思ったけれど、とくに紹介したいことが見つからない。  なるべくプラスチックフリーでゴミを減らして、環境負荷の少ない生活をしたい。  いつか庭や畑で野菜を育てて、ある程度はそこで賄えるようになりたい。  それから犬と暮らしたい。  あとはコーヒーと本とビールがあ

    • 金木犀

       この季節、歩いているとどこからかふわりといい匂いがする。ほのかに甘くて大好きな匂い。クンクンと犬のように空気をかいで見渡すと、どこかの庭に金木犀。あそこにも、ここにも。  寄り集まった小さな花もかわいい。この色と形にぴったりの幸せな匂いがする。  楽しく歩きながら、ふと考える。  子どもの頃にはかいだことがなかったな。甘い匂いなら沈丁花。強い匂いのドクダミ。変な匂いのマリーゴールド。  そもそもあの小さなオレンジ色に輝く花が記憶にない。秋のオレンジといえば柿の実だった。  

      • この選択が明日を決める

         連日の猛暑で信じられない気温が並んだこの夏。アリゾナではサボテンが枯れ、各地で山火事が起こった。産業革命以降の地球の平均気温はすでに1度上がってしまったし、これからもあがるだろう。すでに取り返しのつかないところまで来てしまっている。  気候変動に関するさまざまなニュースを見て、胸が苦しくなる。もう関係ないと、知らないことにしてしまいたい。思考停止で生きられたらどんなにラクだろう。  絶望感に打ちひしがれても、無力感に苛まれても明日はやってくる。どんな明日になるのか、決めるの

        • 「君たちはどう生きるか」

           先週観に行った「君たちはどう生きるか」。最初の衝撃が薄れたので、ぼんやり考えていたことをまとめよう。  初めは観るつもりがなかった。小説のほうは教育的であまり好きじゃなかったから。『僕は、そして僕たちはどう生きるか』(梨木香歩)のほうな好きだけど。でもどんなふうに作ったのか気になって観に行った。行って良かった。  冒頭は時代設定の影響もあって「風立ちぬ」を思い出させた。火事から逃げる人々は影のようで、ゆがんで揺らいでいて怖かった。熱が押し寄せているのが伝わる。その中を走って

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        esittäytyä

          破壊ゲーム 3

           記録を読み終わって、私とヒナはぼうっとしていた。日記はまだ数日続いているけど、少し休憩をいれたい。 「ちょっと、飲み物もってくるね」 シナモンミルクティーを淹れて戻ると、ヒナはおやつを用意していた。 「クッキー焼いたの、忘れてた」 それぞれに物思いにふけりながらほろほろのクッキーをつまみ、甘い紅茶を飲む。ぽつり、ぽつりと言葉が落ちる。 「これ、本当のことかな」 「どうだろ。小説かな」 ヒナは手をぬぐって、またページをめくった。 「でも小説家じゃなくて研究者になったんでしょ。

          破壊ゲーム 3

          破壊ゲーム 2

           これは記録だ。ぼくが知ったすべてを残しておくための。信じられないかもしれないけど、本当の記録だ。  もう今日で夏休みが終わってしまうという夜。ぼくは眠れなくて天井を見ていた。一日中だらだらしたつけがここにきている。エアコンの弱い風が心地よくてぼんやりしていると、すうっとなにか光るものが横切ったように思えた。  立ち上がって窓を開けると、むわっとぬるい空気が入ってきた。空には丸っこい形のものがふわふわと飛んでいる。光っているから形はよくわからないけど、飛行機や人工衛星は絶対に

          破壊ゲーム 2

          破壊ゲーム 第1話

           おじいちゃんが亡くなってから一年がすぎた。おじいちゃんの家はとても古くて貴重だからそのまま移転し、博物館に展示される。その前に家の片づけをしなくてはいけないらしく、お父さんはぶつぶつ文句を言っている。 「あーあ。男だからって重いものを平気でもてるわけでもないのになあ」 お母さんがするどく聞きつけて言い返す。 「仕方ないでしょう。私は土日休めないんだから。平日に私も片づけるんだから同じことじゃない」 それから私を見て、いかにもいいことを思いついたという顔をした。 「ユマも一緒

          破壊ゲーム 第1話

          橋の上で会いましょう 第5話

          「橋を渡る日」  橋の上をゆっくり歩いていくと、劇場を見つけた。小さいけれど木でできた趣のある建物。カラフルなのぼりも立っている。案内を眺めてみると、今日はお笑いライブがあるようだ。  こんなところでもお笑いがあるんだ、と感心していた私は息が止まりそうになった。なんで、なんで彼の写真がこんなところに。ずっと応援していた、まだ売れてない芸人のサカサナマズ。そのツッコミの小山田くんがいる。しかも昨年亡くなった大物芸人の松下とコンビを組んだらしい。これは絶対に観なくては。  すぐ

          橋の上で会いましょう 第5話

          橋の上で会いましょう 第4話

          「サカサナマズ」 「「はいどうもー」」 「えー、サカサナマズの、小山田と」 「片岡です」 「「よろしくお願いしますー。・・・ねえ」」 「あのさあ、小山田くん。ぼくちょっとやりたいことがあるんだけど」 「やりたいことはやっといたほうがいいよ」 「小山田くんの記念日作ろうと思ってさあ」 「何でだよ、何の記念があるんだよ」 「いや、小山田くん百回目のすべり記念日とか?」 「何を記念してるんだよ、いらないよ。あともう百回どころじゃないから」 「そうなんだ。じゃあ百万回?」 「いや、

          橋の上で会いましょう 第4話

          橋の上で会いましょう 第3話

          「死んでからやりたいいくつかのこと」 「じゃあ、とりあえずやりのこしたこととか書いてください」  妙にあかるい声で悔い法被の人が言った。 「なんかあるでしょう。死ぬまでにあれをしておきたかった、やっておけばよかったってこと」  そんなこと、急に言われて困る。死んでみないとわからないし。 「いや、もう死んでますから」  いたわるようにほほえまれ、ぼんやりする頭で考えた。そうだった。私はもう死んでるんだった。  朱色の欄干のとても大きな橋がかかっている。そのふもとには机といすが

          橋の上で会いましょう 第3話

          橋の上で会いましょう 第2話

          「おまつり」  ふと、懐かしい音がきこえた。なんだろう、あれは。  ふらふらと歩いていくと、音は大きく、はっきりとしてきた。そうだ、祭り囃だ。そう気がついたと同時に、自分が下駄をはいていることにも気がついた。思わず立ち止まると、紺色の浴衣を着ている。白い花が大きく咲いて、ところどころに赤が散っている。帯は無地のからし色の半幅帯。  今日はお祭りなんだった。そう、だからそこに行こうとしていたんだ。  気を取り直して歩いていくと、広い橋にでた。木でできた古そうな橋は、朱色の欄干

          橋の上で会いましょう 第2話

          橋の上で会いましょう 第1話

          「橋の途中」  気がつくとたくさんのメッセージが来ていた。私にメッセージがくるなんて珍しい、と手にとるとそれは中学の同級生グループのものだった。 ・・Sが行方不明らしいよ。船から落ちたみたいだって。 ・・まじで? ・・今、みんなの親も船出して探してるよ。 ・・いつの話? ・・昨日Sのこと見かけたよ! ・・じゃあ今日のことなのかな。 ・・今朝七時ごろだって。 ・・無事に見つかってほしい。 ・・早く見つかるといいな。  同級生グループ、とは言っても地元に残った子たちのやりとりが

          橋の上で会いましょう 第1話

          ベッドの間違った側から降りた日

           朝から蒸し暑く、機嫌が悪かった。そのうえ前の晩は雨と雷がひどくて寝不足だったし。  イライラして乱暴にバターを出したら、醤油差しが倒れた。床まで醤油まみれ。  洗濯は水量が少なくてうまく洗えていなかった。  メルカリで買った本が届いたけれど、注文とは違うものだった。  今日はなんだかうまくいかない日。  朝からイライラしていたのがいけなかったのかもしれない。でも、そんな日もあるだろう。  買い物に行ったら残金不足でエラーが出た。後ろに人が並んでいるので焦ってスムーズにチャー

          ベッドの間違った側から降りた日

          歯磨きの習慣

           朝、起き抜けの歯磨きと夜寝る前の歯磨きは大切な習慣となっている。忘れることはないし、もしやらなかったとしたら落ち着かないだろう。  とくに寝る前の歯磨きは時間をかけて丁寧に。おかげで3ヶ月に一度の定期検診ではいつも「よく磨けてます」と言ってもらえている。  少し前まではしっかり磨けたと思っていても「前歯の裏側に磨き残しが…」と言われ、次こそはとがんばっても「横の歯に磨き残しが…」といつもどこかしら残っていて惜しかった。  今さらまた磨き残しを指摘されるようになつまては恥ずか

          歯磨きの習慣

          憧れを追いかける旅

           『ご自由にお持ちくださいを見つけるまで家に帰れない一日』(パリッコ、スズキナオ/スタンドブックス)を読んで、都庁展望台でお酒が飲めると知った。それまで展望台で飲食するというイメージがなかったので(スカイツリーや東京タワーでも)とても興味深く思えた。本では交通会館やサンシャイン池袋にも行っていて、うらやましいくらい。  ぜんぶは真似できないけど、お二人の後を追って都庁展望台に行ってみよう。  書いてあった通り、専用エレベーターの前で荷物チェックがある。だるまの入ったバッグで恥

          憧れを追いかける旅

          雨の着物旅

           普段から着物を着ているけど、旅行にだって断然着物で行きたい。その方が自分らしく落ち着いていられるから。  旅先での着物はやっぱり、ウールや綿など自分で洗えるものが安心。汚れることを気にせず、いつも通りにふるまいたい。  でも雨の予報だったら?濡れて困るのは足元。何を履くべきなのか、ずっと困っていた。いっそ着物にスニーカーを合わせるべきか。  今回は久しぶりの東京だというのに、2日目からは雨のよう。東京に着いた日は晴れているから、その日に雨用の履物を手に入れることにした。

          雨の着物旅