見出し画像

モラハラのお話

〇はじめに…


モラハラ:モラルハラスメント(Moral harassment)の略


大体のモラハラ被害者は
元々自己肯定感が低く、加害者との関わりの中で更に低下します。


ハラスメントとは、広義に『人権侵害』を意味しており
言葉や行動によって相手の人格や尊厳を傷つけたり
不快な気持ちにさせることです。


ハラスメントの定義として
行った人の考えや意図していることには関係がなく
“受けた相手が不快な感情をもてば”成り立ちます。


例えば、世間話のつもりで

『最近きれいになったね』と、部下の女性に声をかけた上司が、
『セクハラです』と言われて
『こんなことでセクハラだなんて大げさだよ』

なんて笑いながらいうシーンがよく見られますが、
このケースでも、上司が大げさだと考えても
部下が不快なセクハラだ、と感じていれば、
それはセクハラとして成り立つわけです。


〇加害者

相手を見下すことで優越感に浸ることができるため
非難できそうなところを見つけると
集中攻撃!と言わんばかりそれを執拗に責めます。

巧みな心理操作によって相手の人間性を否定し
『私はダメな人』だと思い込ませてしまいます。


〇被害者

何度も責められているうちに
自分でもそれが正しいことだと思い込むようになります。
そしてその“思い込み”は作られていきます。


〇両者の関係

加害者は、いつも迷惑をかけられているのは自分だと
被害者に思わせる言動や行動をとります。

被害者はいつしかそれを素直に受け入れて信じてしまい
自己否定に陥りやすいのです。

そんなダメなあなたと一緒にいられる•受け入れられるのは自分しかいない。
迷惑ばかりかけられるけど、自分がいてあげないと
あなたが困るからそばにいてあげている。

と、自分をさもありがたい存在だと思わせて更に支配し
罪悪感を覚えさせながら、離れられない理解者のように思わせます。


そして本当に時々優しいところも見せるので

DV被害者からもよく聞く

『あの人本当は優しいの』
『私のことを思って言ってくれているの』
『こんなにダメな私を見捨てずにそばにいてくれてるんだから…』

と、被害者に心から思わせるのです。

〇加害者の特徴

・常に自分が優位に立ちたがる
・他人と分かり合おうという気持ちがあまり感じられない
・褒めることはあまりなく、欠点をあげることの方が多い
・自分に意見されることを嫌い、言うことを聞いていれば間違いないと言う
・自分の利益になるかどうか?が物事の判断基準になっている


☆加害者は加害者で、自己肯定感の低い人

人を貶めなければ自尊心を保つことができない。
すなわち、誰かと比べて優位に立てていないと
自分の価値を感じられない人です。

自己肯定感の低い人に
『誰かと比べて劣等感を感じなくていいんですよ』
とよくお伝えしますが、それと同じことです。

誰かと比べて優越感を感じられないといけないわけですから。
自分よりも優位だと思う人に対しての劣等感が
とても強いということですよね。


もしかして私のパートナーはモラハラ加害者かもしれない…と思った方。


おめでとうございます!!


それは今気づくことができた、ということです。

逃げましょう!(笑)


と、そこまですぐ簡単にはいかないかもしれませんが
まずは気づいただけでも一歩前進です。

『本当にこれは私が責められるべきことだろうか?』
『本当にいないと困ることになるんだろうか?むしろ楽になるのでは?』

と、考えるきっかけとなれますように。


〇パートナーがモラハラタイプだと気づいたら


〇モラハラって離婚原因にはなるの?

ひとことで言うとなります。

モラハラ加害者は、相手の人としての尊厳を傷つけ
人格を否定するような言葉をぶつけたり
相手のしていることや、大切にしているものに対して
それが無価値であるかのような言葉を浴びせます。

そんな人と一緒に暮らすということは
精神的ストレスが非常に大きいです。
それが行き過ぎると、うつや身体的不調をも引き起こします。


加害者本人がそれを問題だと自覚していたり
改善しようとしているなら別ですが
正当化したり、相手のせいにしたりと言い訳にしていたり
改善する気もないなら、離婚を視野に入れるのも致し方ないですよね。


被害者にとってはそれが日常で当たり前のことになってしまっているので
“こんなことで”と思ってしまいがちですが
パートナーのモラハラは立派な離婚の理由になるんです。


夫婦はお互いを尊重し、助け合っていくことが前提で成り立つものです。
どちらか一方の“人としての尊厳”が
日常的に傷つけられる状況が続いているとしたら
それは異常なことで、夫婦としての関係が破綻しているとみなされます。


〇証明することは難しい

ハラスメントの定義としては
受けた人が不快だと感じれば成立するのですが
いざそれを証明しようとすると
『不快だと感じました』だけではなかなか難しく
言った言ってないの水掛け論にもなりがちです。

言い方はあまり良くはないのですが、モラハラタイプの人は
立ち回りが上手で外面がいいものです。
他の人の前ではとても愛想がよく
面倒見がよかったりと人望もあり、口も達者です。

そのため意を決して被害者が知人などに訴えたとしても

『あの人がそんなことをするはずがない』
『あなたの考えすぎじゃないの?』
『あなたにも悪いところがあったんじゃない?』

と、相手にされない、なんてことも起こりやすいのです。

自己肯定感が低下し、心が疲れている被害者にとっては、その言葉で

『やっぱり私がダメだからそんな風に考えるのかもしれない』

と、更に自分を責めるという悪循環を起こしたり
“自分が我慢するしかないんだ”という考えに陥りがちなのです。

〇じゃあどうやって証明したらいいの?

証拠がなければ、逆に不利な立場に追い込まれかねません。

しっかり証明できない状態で誰かに相談したことが加害者に伝わって
そのことを責められたり、当たりが更に強くなることは
なんとしても避けたいですよね。

もしモラハラを理由に離婚したいと気持ちが固まったのなら
まずは証拠を集めましょう。


これは婚姻関係にない恋人などが相手でも同じことが言えます。
別れ話などをしてストーカー化した場合でもきちんと証明できれば
接近禁止命令などもスムーズに対応してもらえるはずです。


まず日記を用意します。

何月何日、どんな状況で、どこで、何を言われたorどんな行動をされたか。
堅苦しくなくていいですし、箇条書きでも十分。

日記はその後の調停や裁判においても通用する重要な証拠になります。


できれば『セリフ』として細かく記せたらなおよしです。

言われて腹が立った!されて嫌だった!などと書くよりも
日誌のようなものにするのがいいですね。


経験からつい気持ちを込めて長文になりがちなのはわかりますが
もし後に誰かに読ませる機会があった場合
『あの時言われたこの話!』を探しにくいです。


またそうして記すことによって
自分も客観的に事実を見ることができます。

怖い、またこんなことを言われたら…という気持ちが

『こんなことを人に言えるっておかしいよね?』
『ここまで言われる筋合いないよね?』

なんてことも、少しずつ認識していくことができたりもします。

“ダメ人間だと言われた”
“価値がないと言われた”
“デブだと言われた”

など、言われたことに注目しがちですが
忘れてはいけないのが無視。

無視も立派なモラハラ行為です。

『〇月〇日 
 ダイニングで〇〇の話をしたいからと話しかけたのに無視をされた』

などしっかり書き留めてください。


もし可能であれば、録音がとても有効な証拠になります。

今はスマートフォンでも録音アプリが気軽に使えるようになっているので
何か言われそうなタイミングで先に押しておくといいでしょう。


そしてこれはなかなかハードルが高いですが
もしできるのであれば動画が一番いいです。

使っていない古いスマホなどを、目立たない棚の上などに置いて
いつも暴言を吐かれる状況などを撮っておくのが望ましいです。

でも、これはなかなかできることではないですし
万が一バレた時にものすごく責められたりする危険があるので
絶対に大丈夫と言える状況か
協力者がいる状態でのみにした方がいいでしょう。

紙のノートに書くのがわかりやすくていいと思いますが
見つかる心配がある場合などは
アプリのスケジュールやメモ帳などがいいかもしれません。

普通のスケジュールでは見られそうで心配な場合
女性であれば生理日や体温等の管理アプリのフリーコメント欄が
あまり見つかる機会もなくていいかもしれませんね。

(妊活中などでアプリ自体を相手に見せる場合はダメですが)


〇逃げればいいのどうして逃げられないの?


『そんなあなたを傷つけるだけの人いらないでしょう?』
『さっさと別れればいいだけじゃない』

と、普通の人は言うし思うでしょう。

ではなぜ被害者はそんな加害者から離れられないのでしょう?


加害者により時間をかけて人格否定をされてきた中で
被害者は自分がダメな人間であり
加害者がいなければ生きていけないとすら思わされています。

傷つけられることは怖くて嫌なことだけど
加害者と離れることはそれよりも怖いことなのです。

だって加害者がいなければ生きていけないし
他の人ではそんなダメな自分を受け入れてもらえない。
この人だけが私にとって“唯一の理解者”なんだから
離れれば一人ぼっちになってしまう。

恐ろしいことに渦中にいる被害者は本当に心からこう思っています。
もはや洗脳されているようなものです。

そう、この加害者の支配のせいで離れることができないのです。


もしその人が本当に唯一の理解者であったなら
当然何を言えばあなたが不快に感じるかもわかるので
あなたを傷つけるようなことは絶対に言わないはずなんですけどね。

おかしいですね。
被害者はあまりにも日常的に非難されすぎているので
心が麻痺してしまっているんです。


〇どう解決したらいい?


加害者から非難された時
おどおどして謝ったり、従ったりすれば増長するだけです。

あなたを非難するのは自分が優位に立って自尊心を保つためなので
謝ったり従ったりすることは、喜ばせるだけでしかありません。

最初は怖いかもしれませんが
支配して自分が優位に立てる相手ではないと思わせることが大事です。

もしずっと従ってきた関係なのであれば
あなたが自分に反論するだなんて夢にも思っていないはずので
それだけでも一瞬怯んでしまうかもしれませんね。

何度かそんな姿を見ているうちに
あなた自身も『この人を怖がったり従う価値は本当にある?』
と感じるでしょう。

心療内科などを受診しておくのもいいですね。
軽度うつや、適応障害など、病名がつけば
それはもう明確なモラハラによる被害の証拠になるので
前章で書いた日記の継続とともに診断書を取っておくことをお勧めします。


婚姻関係にあったりして同居している状態にあるなら
ひとまず距離を置くために別居してみるのもいいかもしれません。

専業主婦でお金がないから無理だと思われる方もいるかもしれませんが
婚姻関係にあるのであれば別居中も
“婚姻費用”を支払う義務が夫には発生します。
法テラスなどで相談してみるのもいいですね。

最終的な対策は別れる・離婚する、です。

モラハラが原因で離婚する場合は双方での話し合いが困難なので
調停になることが多いです。

これもお金がないから無理だと思われる方が多いかもしれませんが
弁護士に依頼しなければ、手数料や印紙代、住民票を取ったり…と
5千円程度で済みます。


ちなみに私は過去、弁護士に依頼して調停離婚を経験していますが
着手金、報酬金、共に30万円ほどで計約60万円を親に借りて行いました。


〇最後に…



モラハラを改善させ、やめさせることはなかなか困難です。
それは加害者が被害者を傷つけ従わせることで自尊心を保っているから。

あなたが自分に従ってくれないと困るのです。


勿論最初は本当に優しかったり、愛があったのかもしれません。
楽しい素敵な思い出もあるかもしれません。

でももしあなたとパートナーが
被害者と加害者の関係になってしまっているなら

とても悲しいことですが
好きだから離れられないのではないかもしれません。

傷つけて従わせることで自尊心を保って生きているなんて
あなたがパートナーの餌になっているのと同じことです。

それでいいわけないですよね。


そんな風に扱われているとしっかり認識してしまったら
幻滅して自分から離れたくなってしまうかもしれません。


そもそもこの『モラハラのお話』をここまで読んでくださったあなたなら
恐らくこの状況から脱出したい、と切実に考えているのだと思います。

でもまだふとした瞬間

『この人と離れてやっていけるのかしら?私はこんなに不出来なのに…』

と不安な考えがよぎりますよね?


でもそんな時は思い出してください。


本当の意味でそのパートナーは、あなたの心を支えてくれていましたか?
本当に離れて生きていけないほどの何かを、与えてくれていましたか?

そして本当にあなたはそんなにもダメな人なんでしょうか?

違うはずですよね。


もし届かなくて電球をかえられないなら椅子や踏み台に乗ればいい。
色んな手続きを全部してくれていたならプロにお願いするか勉強すればいい。
お金がないならひとまず地域の役所に相談して借りることもできるし
とりあえず住み込みででも働けばなんとかなる。


もう理解してくれる人に出会えないかもしれない?

それはもっと大丈夫。
そのパートナーの方がよっぽどあなたを理解していないし
なんなら挨拶程度の知人の方が何か察してくれているかもしれません。


そのパートナーが一番理解しているのは
あなたの傷つけ方と支配の仕方です。


だからどうか『私が我慢すればいいだけだから』の答えだけは
選ばないでください。

あなたの心を大切にしてくださいね。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?