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「イヌジニ」9(終)

《9場》安西家・ダイニングキッチン

数日後。
サクラ、安西、パラダイス、オリビア、ハム吉。
雪印が犬たちをまとめて貰ってくれたので、それを見送って。

パラダ 「しかし雪印真奈美、別人みたいだったな」
サクラ 「いいことじゃない。みんなをまとめて貰ってくれるなんて。それもチーズが淋しそうにしてるからーだなんて」
パラダ 「うん。この部屋がずっと犬だらけになるところだったからな」
ハム吉 「あの」
サクラ 「何ハム吉?」
ハム吉 「何で俺を連れて行かなかったのだろう?」
サクラ 「そんなの雑種だからに決まってるじゃない」
ハム吉 「雑種って言うのやめてくれる?ミックスでしょ?」
サクラ 「はいはい」
ハム吉 「俺、あの女のそういうとこ嫌い」
パラダ 「まあまあ。残り物三人組で楽しく行こうぜ。ねえオリビア」
オリビア「ああ」
パラダ 「オリビア、何か元気ないな」
ハム吉 「オリビアはココアのことが好きだったから」
パラダ 「あ、やっぱり?」
オリビア「好きじゃねえよ。何でそうなるんだ」

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不要な命を処分することは動物愛護法で認められています。その対象のひとつに「家庭動物」の文字が。ペットが不要になったら殺してもいい。本当にそうなのだろうか。これから超高齢化社会に突き進んでいく日本にとって「不要な命」とはなんだろう。

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