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その漢字にルビふるかふらないか

先日、書籍や雑誌やウェブなど、いろんな媒体の複数の編集者さんたちと話をしていた時に、

・書き手側が大事だと思う部分にアンダーラインを引いたり太字にしたりすることをどう思うか

・ルビを振る基準や、漢字にするか平仮名にするかどうかを、どう決めているか

というような話になりました。


「どこが大事か太字にして書き手が押し付けるのはやりすぎだ」と言う意見もあったし、「とはいえ、ビジネス書などは、メリハリ効いていた方が読みやすいよね」という意見もあったし「やたらと漢字にルビ振るのは、読者をバカにしているみたいで嫌だ」と言った方もいた。

「どこまでわかりやすくするか」というのは、永遠の課題で、例えばモード系のファッション雑誌なんかは、ファッション用語をあえて解説しないことで、立ち位置を確立していると思います。

例えば、この2つはどちらも、ELLE japonのウェブニュースの原稿。

ペプラムニット×アンクル丈のフレアパンツを、フラットサンダルやキャップ使いでカジュアルダウン。

パリジャンらしいデニムスタイルは、あくまでも自然体で。ヘムを切りっぱなし風に仕立てた、ストレート&ワイドなセーラー風シルエットが新鮮!

ペプラムて何とか、ヘムってどことか、セーラー風シルエットってどんなシルエットとか?
こういう媒体では、ファッション初心者に対してわかりやすい解説をすることが逆に既存読者をがっかりさせることになるんじゃないかなって思います。


逆に、読者に忖度しすぎてるんじゃないかなあと思うときもある。

私は長年美容業界で原稿を書いていたのですが、どんどん大きくなる専門雑誌の文字の級数、ルビふりまくり、どんどん薄くなる専門書籍などには、違和感を感じていました。

それを伝えると、決まって言われるのは「美容師さんは活字を読まないから」「長い文章を読まないから」という言葉。(新聞が「老眼の読者のために文字の級数を大きくする」のとはちょっと意味が違う)

そういう一面はあるのかもしれない。でも、ほんとにそうなのかなあって思うこともあったんですよね。専門書なんて、3000円以上するものがほとんどで、それなのに写真が多く文字が大きく薄い本って、この情報過多時代にわざわざ買ったりするんだろうか。ウェブで無料で読める記事で十分って思われるんじゃないかなとか。

もちろんこういうのって、正解はないし、それぞれに戦略があると思います。
だけど「美容師さんは(今の若い人は、忙しいママは……etc.)活字を読まないから」と決めつけて思考停止していくのは怖いなあって思ったんですよね。
あと、心情的にも、なんか、ヤだった、、、

というわけで、この間担当させていただいた美容師さん向けの専門書籍は、「読むのに1年かかる本」を目指しました。辞書、みたいな感じにしたい、と。

内田本 ~美容師・内田聡一郎 徹底解剖~

もちろん実際、頭から最後まで読むのに1年かかるわけではないのですが(それだと校了するのに数年かかっちゃいますね・笑)それくらい、みっちりつまった本で、という意気込みで作ったのです。
3780円なのだけれど、それだけ出す価値があると思われる本にしたいな、って思いました。
企画の最初から、この方針を面白がってくださった版元さんには感謝しています。

文字もメリハリをつけつつも、小さい部分はギリギリまで小さくしてもらいました。

この本を読んで「みっちりつまった本を読むのも面白いなあ」とか、「毎日少しずつ読もう」とか、思ってもらえたら嬉しいなあ。

んではまた。

[本日のさとゆみ]

・執筆 30分
・お昼寝20時間

夏風邪ひいたみたいです。






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