【ショートショート】夜光おみくじ
その神社のおみくじはよく当たると評判だった。
神主はさらにおみくじの売り上げを伸ばそうと、宮司にアイデアを出すように命じた。
「夜光おみくじにしましょう!」
宮司のアイデアで、どんな結果のおみくじも夜になると夜光塗料で真逆の吉凶を示す文字が発光して浮かび上がる仕掛けが採用された。
「的中率100%!」
……という触れ込みで売り出された夜光おみくじは、当初文字が発光するという物珍しさで話題にはなった。
が、すぐに売り上げが減り続け、ついには全く売れなくなった。
真逆の結果を示して当たり率だけ上げても意味がなかったのだ。
結局、人がおみくじに求めているのは当たり外れでも、ましてや発光する文字でもなく、啓示なのだということに宮司も神主も気づかなかった。
夜光塗料代でおみくじ事業は赤字。
神主に責任を問われた宮司は誤魔化し笑いをしながら言った。
「ま、当たるも発光、当たらぬも発光と言いますから…」
宮司はクビになった。
完
たらはかにさんの募集企画「#毎週ショートショートnote」参加作品です。
お題は「夜光おみくじ」。
珍しく、ぴったし410文字です。
どやっ!
😆
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