「最高の休息法」を読んで その6

ぷーあるちゃさんへ

あっという間に春が終わってしまい、初夏が始まってしまいそうです。
日中は半袖を着ていても汗ばむくらいですが、太陽が沈むと肌寒くなります。もうしばらく、心地よく過ごせる日が続くとよいな、と思います。

ぷーあるちゃさんは、こまめにマインドフルネス呼吸法を試していらっしゃるのですね。
私は、主に朝、通勤をする電車の中で試すことが多いです。
今回、マインドフルネスに関する本をいくつか読み直し、一分から二分くらいの短い時間でよいので、一日に何度か行うほうがよい、ということがわかりました。

欲張らず、こつこつと取り組んでゆけたらよいな、と思いました。

『最高の呼吸法』を再読した直後に、マインドフルネスに関する本をいくつか読む機会がありました。
わかりやすく、丁寧に書かれた本に出会うことができましたので、私もぷーあるちゃさんに続いて、紹介させて頂ければと思います。

一冊目

サーチ・インサイド・ユアセルフ
チャディー・メン・タン
英治出版

マインドフルネスについて紹介している本で、一時期書店の店頭でよく平積みになっていた本です。
本の帯の惹句に「Googleの人材はこの研修で成長する」とあるのが、興味を引きます。
マインドフルネスによってEQ(心の知能指数)を高め、ビジネスの成功や個人的な幸せを実現するカリキュラムを紹介しています。

カリキュラムの名前は、「サーチ・インサイド・ユアセルフ(己の内を探れ)」。略して「SIY」と呼ばれます。
Googleが全文検索型エンジンのサービスを提供している会社であることを考えると、なかなか趣のあるネーミングだな、と思います。

なぜ、EQを高めることによって仕事で良い結果を出すことができるようになるのか。マインドフルネス瞑想を行うことによって、どのようにEQを高めてゆくことができるか。

科学的な裏付けがあることを証明するため、数多くの研究結果を引用しているので読み進めることが大変な本ではあるのですが、「瞑想」にまつわる神秘のベールを綺麗さっぱりと取り去ってしまい、誰でも実行できるトレーニングとして再構成してあるので、この本が一冊あれば、マインドフルネス瞑想を十分実践することができるようになっています。

ダニエル・ゴールマンの『EQ こころの知能指数』の影響を非常に大きく受けている本でもあるので、できればゴールマンの『EQ こころの知能指数』もあわせて読まれると、より深く理解をすることができるかと思います。

(ちょっとボリュームのある本なので、お盆休みや年末年始など、まとまった時間が取れるときにお読みになると、よいかもしれません)

二冊目

今、ここを生きる
新世代のチベット僧が説くマインドフルネスへの道

ヨンゲイ・ミンゲール・リンポチェ
パンローリング株式会社

さきほどご紹介した『サーチ・インサイド・ユアセルフ』の巻末にて推薦されていた文献のうちの一冊です。
著者のヨンゲイ・ミンゲール・リンポチェさんはチベット仏教の修行僧で、ウィスコンシン大学マディソン校のワイスマン研究所で一連の神経科学実験の被験者となったことで知られています。

若い頃、チリの神経科学者、フランシスコ・バレーラと出会い、自然界や人間の脳機能に関する西洋の思想を学んだことをきっかけに、チベット仏教と現代科学を統合しようという考えを持ったそうです。

この本は、仏教、そして心と脳について、西洋の神経科学の知識をまじえて説明しています。『サーチ・インサイド・ユアセルフ』とは、また違った冷静な客観性があり、読んでいて何度も立ち止まり、考えることがある本でした。

一度読んだだけでは、全てを理解することはむずかしいかもしれませんが、「生きる苦しみ」を軽減するにはどうしたらよいのだろう、と悩む方にとっては、ヒントになる一節を見つけることができるかもしれません。

第二部、第九章以降に瞑想の実践方法が紹介されています。
さまざまなテーマの瞑想があり、注意点もわかりやすく書かれています。
慌てないで、気長に少しずつ取り組むコツがたくさん紹介されているので、一冊目とあわせて読むととても参考になるかと思います。

三冊目

スタンフォードの脳外科医が教わった人生の扉を開く最強のマジック
ジェームズ・ドゥティ
株式会社プレジデント社

この本は、「プレジデントウーマン」という雑誌のマインドフルネス特集で紹介されていました。(2017年11月号)
著者自身がマインドフルネス瞑想を実践した結果、どのような人生を生きることになったのかを綴った体験記です。

実際の体験をもとにした文章ですので、とてもわかりやすいですし、物語のように楽しんで読むことができます。貧しい家庭に生まれ育った著者が、どのようにして脳外科医になり、さらに予想外の人生を歩むようになったのか、が書かれています。「心を開いて人とつながること」の重要性が、よくわかる本でした。

マインドフルネス瞑想を行った結果、人生に大きな変化が起こる時、気をつけなくてはいけないことがあるのだな……と、読み終えた時に少し怖いような気持ちになりました。

これからマインドフルネス瞑想に取り組もうとなさる方は、この本を読んでおかれると「辛い回り道」をせずに済むかもしれません。

私も、長めの文章になってしましました。
番外編を書こうかと思っていたのですが、このへんで終わりにしたいと思います。
今回で、私からのお便りも最後となります。

今回、ぷーあるちゃさんと往復書簡をしてみて思ったことは、やはり、「特定の誰か」にあてて書く文章のほうが、不特定多数の方にむけて書くブログ記事よりも書きやすい、ということでした。

おかげさまで、マインドフルネス瞑想に関する本をたくさん読み、紹介文を書くことができました。私にとっても、今回の往復書簡はとても大切な機会となりました。

最後まで、お付き合いいただき、ありがとうございました。

どうか、ぷーあるちゃさんも身体に気をつけて、毎日をお過ごし下さい。

ゴールデンウィークを自宅で過ごす皐月より

過去の回

第1回 「最高の休息法」を読んで その1
第2回 「最高の休息法」を読んで その2
第3回 「最高の休息法」を読んで その3
第4回 「最高の休息法」を読んで その4
第5回 「最高の休息法」を読んで その5

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