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雷雨の翌日にわたしは生まれた

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波瀾万丈の私の半生を綴った手記。不定期連載。写真は私の誕生花、ニゲラ。花言葉は「とまどい」「夢の中で会いましょう」「不屈の精神」。
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記事一覧

雷雨の翌日にわたしは生まれた(仮)<140>

方位磁針 「定刻より遅れて成田を飛び立って、フランクフルトに向かった。相変わらず機内では…

Noe
2日前
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雷雨の翌日にわたしは生まれた(仮)<139>

Lange Nacht 夜が長い。熱のせいか冬のヨーロッパにいるせいかは分からない。フランクフルト…

Noe
5か月前
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雷雨の翌日にわたしは生まれた(仮)<138>

舞姫 ベルリン行の便は私と同じく観光客らしき人々、出張帰りのビジネスマン風の男たち、家族…

Noe
5か月前
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雷雨の翌日にわたしは生まれた(仮)<137>

冬のヨーロッパ 8泊9日の駆け足の東欧旅行。デパートの両替所で導入されたばかりのユーロ紙幣…

Noe
5か月前
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雷雨の翌日にわたしは生まれた(仮)<136>

苦き珈琲 今年ももうすぐ終わりだ。去年の今頃はなにをしていただろうか。そうか、スーパーと…

Noe
5か月前
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雷雨の翌日にわたしは生まれた(仮)<135>

visitor 今夜はお世話になった春山さんの送別会だ。ここらでは有名な鶏料理のお店が会場だが…

Noe
6か月前
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雷雨の翌日にわたしは生まれた(仮)<134>

Go East 初めてのヨーロッパ、初めての一人旅は旅とはとてもいえない、しまりのないものになってしまった。今度旅をするときはもう少ししゃんとしなければ。色々なものを観て、楽しい思い出を作りたい。そうだ、目的があればいいのだ。今回のようになんとなく決めてしまうのはよくない。そんなことを考えていたら、機内食が運ばれてきたがやはり往路のように松花堂弁当は品切れだった。 帰国して数日間は休みを取った。その間は旅行代理店に行ってパンフレットを眺めたり、本屋でガイドブックを読み漁っ

雷雨の翌日にわたしは生まれた(仮)<133>

都会のノイズ せっかくロンドンまで来たのに、有名な観光スポットには足を運ばなかった。バッ…

Noe
6か月前
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雷雨の翌日にわたしは生まれた(仮)<132>

ひまわり 夜中に目覚め、お菓子を食べながら大英博物館で買った図録を眺めた。今日はどこへ行…

Noe
6か月前
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雷雨の翌日にわたしは生まれた(仮)<131>

Mind the gap 何時間眠っただろう。時計を見る前にカーテンを開けるとどうやら本当の朝のよう…

Noe
6か月前
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雷雨の翌日にわたしは生まれた(仮)<130>

グリニッジ時間では退屈と 朝早くアパートを出発し、ロサンゼルス旅行の時に買った安物のスー…

Noe
6か月前
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雷雨の翌日にわたしは生まれた(仮)<129>

では、また 久しぶりに会った勲さんの第一声は 「真っ当な服、着てるじゃんか」だった。 真っ…

Noe
6か月前
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雷雨の翌日にわたしは生まれた(仮)<128>

カオス 24回目の春を迎える頃、私はまた新しい店で働くことになった。今度は今までのように夜…

Noe
7か月前
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雷雨の翌日にわたしは生まれた(仮)<127>

Sweet Memories スーパーも夜のお店ももう行かない。私は無断欠勤を続けた。夜の店はともかく、スーパーには退職手続きやら荷物の引き取りで足を運ばなくてはならないだろう。憂鬱だ。このぼろくて広いアパートに一人きり。出掛ける気力さえない。しかしなにもしなくても心臓は動くし腹も減る。金も減る。 近所のスーパーに数日分の食料を買い出しに行ってアパートに戻るとメールが二通来ていた。一通はアユからだ。 「昨日店に行ったんだけど、私もお茶ひいたわ。もう辞めるって弥次郎に言った