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自伝のこぼれ話 7

19歳~21歳くらいまで米兵が集まるクラブやバーに出入りしていたことを自伝で書きましたが、今回はその時の友達の話です。

アメリカの黒人男性を専門に恋愛対象とする日本人女性のことを俗に「ブラパン」と呼びますが、これは「ブラザーパンパン」の略です。今、ブラパンっているのかなぁ。もうクラブや基地周辺に出入りしなくなって25年経ってますから分からんですが。ブラパン仲間ってのはクラブに通ううちに自然に出来たりするのですが、私は「雑誌の文通コーナー」で見つけたことが結構多いです。
「横浜、横須賀辺りでクラブに一緒に行ってくれる同年代のブラザー好きの人連絡待ってます」ってプリクラとともに掲載されてるような。

私のブラパン友達で、最寄り駅が同じで1つしか年が違わない子がいたんですが、彼女とは文通でもクラブで知り合ったわけでもなく、(おそらく)不法滞在の外国人の家のパーティーに行ったときに彼女もその場にいたって出会い方。いや~、この子が曲者で。彼女は仲間とクラブに行くわけでもなく(そもそも彼女にはブラパンの友達は私含めて3人くらいしかいなかったんですけど)、一人でも行かず。クラブ遊び自体をしないんですわ。じゃぁ一体彼女はどこで男を見つけるの?ということですが、基地の男と付き合ってる女友達に基地に入れてもらったり、私やその他の友達に一緒に基地の近くにあるバーに行こうと誘い、そこでって感じでしたね、あとは街中でのナンパ。

彼女は黒人男性が好きで「ブラパン」と自称していたものの、男好きなんだよね、実は。白人なんかカッコ悪い!って散々けちょんけちょんに言ってて黒人の恋人がいるのに彼に内緒で白人とも遊んでることを私や他の友達にも自慢げに言っていた。しかも、いくらなんでももう少し相手を選んだら?ってくらいほぼ誰でもウェルカム状態だった。彼女ね、彼らの多くが好きそうな体型してたんだよね。ぽっちゃり目で。彼ら、中身より顔より身体や条件(お金持ってるかとか)で女を選んでる奴が多かったし……なんて発言すると私の性格の悪さがバレてしまう。ま、私はモテなかったってことですわ。もう、とにかく私と彼女の共通の友人は彼女に自分の男を盗られないかって思ってましたね。

ここまではまぁいいんです(多分)。彼女は男にだらしないだけでなく時間にもお金にもルーズで、私や友達は嫌な目に遭わされました。マックやファミレスで待ち合わせしても毎回毎回時間通り来ないのです。誰かと複数で待ってるならまぁ、喋っていればいいんですが一人だと退屈で。当時の携帯はネットなんて見れないし。一応彼女に電話するんですよ、約束の時間を30分くらい過ぎてから「もう着いてるけどいつ頃来れそう?」って。すると彼女はめちゃくちゃな言い訳をするんですわ。多分ウソの。猫の世話をしなきゃいけないとか、財布を探してるだとか。呆れるを通り越すのですが、結局2時間後、3時間後にひょっこり来て。これが男との約束だったら遅れずに行くんだろうなと思う。

お金にもケチ、というかいつも人にたかる。
「そのピアスいいなぁ、今度お金渡すから買ってきてくれる?」と言われて買ってきてもなんだかんだ言い訳して払わないし。
彼女は私が働いてたところとは別のスーパーに入ってる小さな喫茶店でバイトをしていたのですが、真面目に出勤してる様子もなかったです。彼女の父親は一流企業の偉い人だとのことで、お金には不自由のない暮らしだったはず。小遣いも沢山もらって、いつもブランド品を身に着けてました。当時流行ってたプラダのバッグとか。なのにたかってくるという。ある意味彼女の親も毒親だったのはお察しなのですがね。お金だけは与えるけど放任主義?いや、違うな。父親は「黒んぼなんかと付き合うなんてけしからん!」っていうタイプだったというし。彼女はよく言ってたな、
「うちのお父さん、確かに一流企業の偉い人だけど、世の中お金じゃないってことが分かってないし、黒人差別なんて最低」って。
私はこれを聞いてなんだかなって思ってましたわ。だってさ、世の中お金じゃないって言うくせに友達にたかるわお金も返さないわ、自分はロクに働かないのに親に買ってもらった服やバッグをこれ見よがしに身に着けてるんだもん。黒人差別云々ってのもあれだなぁ、彼女は「たまたま好きになったのが黒人だっただけ」とかカッコいいこと言ってたけどさ、絶対嘘じゃん?

「いい加減にしろ!」って彼女と距離を置くことになった出来事がありました。
私は彼氏ともう一人の友達と横須賀のファーストフード店にいたとき、彼女から電話が掛かってきたのです。
「今何してるの~?」
「ドブ板のモスにいる。ロブ(彼氏)とリサも一緒」
「私も今からそっち行っていい?」
「いいよ、何時頃になりそう?」
「今、まだ家だからもうしばらくかかる。9時頃かな~」
まぁ、彼女に着く時間を聞いても意味なしだってことは分かってたけど。
「分かった。待ってるね」

やはり9時過ぎても10時になっても彼女は現れない。ここで待つべきか?けどそろそろ移動したい。今からどこかに移るから駅に着いたら連絡くれる?って電話しようかと思ってた矢先、彼女から電話。
「今、汐入の駅にいるんだけどさ、」
ああ、なんか思いっきり嫌な予感がする!
「お金なくて初乗りの切符しか買ってないから改札出れないんだよね~。だから迎えに来てくれる?」
うわっ、最悪。お金ないのに「私も今から来ていい?」なんて普通言わないよな?ていうか、本当に金ないのか?それにモスから駅まで結構かかるんだわ。いけしゃあしゃあと金持って来いってすげぇよなぁ。
仕方ないので3人で駅まで行って、運賃は誰が出したか覚えてないけど払った。

それから私は彼女から段々フェードアウトを試みた。まぁ、私も夜の仕事を始めようかと思ってた矢先のことだったし、上手いこと徐々に離れることが出来、たまに電話が掛かってくるくらいになった。彼女にとって利用価値のない友達なんて要らなかっただろうからね。