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結束バンドとBase Ball Bearの話。

ぼっちざろっくをご存知だろうか。
まぁ、開いてもらえてるということは作品を見ている見ていないに関わらず、『ご存知』ではあるだろう。

説明すると2022年に覇権を取ったと言っても過言ではないほど、ヒットしたアニメだ。
主人公のぼっちこと後藤ひとりがバンドを組んで成長していく物語。

エビ中にハマっている。

と冒頭に描き、noteはほぼエビ中の記事だったほど昨年はエビ中一色だったが、私個人は元々バンド畑の人だ。ご多分にもれず全盛期のBUMP OF CHICKENを聞き、RADWIMPSを聞き、同年代ではあんまり聞いてる人がいなかったくるりとフジファブリックを愛し、ELLEGARDENはちょっと怖いからあんまし聞かない。みたいな高校生だった。なんで今アイドルが好きなのか。人生は色々あるんだよ。

その頃好きだったバンドは時間が経つにつれ聞かなくなったりするアーティストもいる中、30を越えた今でも聞き続けているバンドのひとつにBase Ball Bearがある。作品を追いかけて、ライブに毎回は行かずとも昨年の武道館は行った。ライブ後『あぁ、やっぱ世界一かっこいいじゃん。バンドって』と思い出したように溜息をつきながら帰る。そんなバンドだ。

ぼっちざろっくを見終わった感想として、『あぁ、やっぱバンドってかっこいいな』と言う感想が色濃く残った。
バンドを描いたアニメでこういうリアルとリンクした感想を抱くことは極めて稀なので、時間があれば黙って読んでくれ。これは個人が感じだ備忘録なのだけど、きっとベボベが好きな人にはわかって貰えるし、アニメファンには現実のバンドもめちゃくちゃ面白いということが伝わるればいいなぁ〜と思って書く。

【ギターと孤独と蒼い惑星】

さて、人間関係が上手に構築できないぼっち。
この境遇は、ギターを始めたばかりの小出祐介に似てる。学校で孤立してしまい地獄のような日々を過ごす小出。
そんな中、OASISのコピーバンドやNUMBER GIRLのライブ映像を見て本格的にバンドを始める。

(この時のじゃないかと推測する)

孤独の先で出会った何かで世界を引っくり返すのはロックバンドとしてのドラマがあって面白い。(ぼっちちゃんは人にチヤホヤされたいし、売れて高校中退したいがゴールだけど)

アニメで初のオリジナル曲として演奏される『ギターと孤独と蒼い惑星』

ライブ出演をかけたオーディションで演奏するため、ぼっちが作詞担当で書き下ろした(という設定)の曲。

内向的な性格で、うじうじ自分のことを貶しながら描かれるキャラとは裏腹に、

ありのままなんて誰に見せるんだ

と開放的になる一節に鳥肌が立った。
孤独でいることを卑下して、半ば諦めているのに、音楽に乗せた言葉が強い。孤独を誇る姿勢。

これは『対個人』の視点で描かれていて、この一人称の感じが初期のBase Ball Bearの視点と近いと感じた。

音楽性は違えど、Base Ball Bearの初期から中期に掛けては『一人称で語られる女子高生』なのだ。その中で愛に関して模索したり、時に詩的に思考をこねくり返す。文学的で他のバンドにはない深みがあって好きだなと思う。
言い換えればこれも『対個人』の極み。

やり残したことが思いつかない
完璧な少女に会えたから

とか痺れる。もうこの一文だけで初期のBase Ball Bearが何たるかを説明するのには十分。

【あのバンド】

アニメだとライブハウス出演で演奏された楽曲。
その前の路上ライブの話などもあって、ぼっち的に成長を遂げる瞬間の話。
興味ないバンドのお客さんの冷たさ。見ていて『あぁいう客いるし、自分もそういう客だった時あるわ』と見ていた。
けど、知らないバンドでも一瞬だけ光る瞬間に目を奪われるのは、アニメの演出だけではなく『あるある』だったりする。(そして物販を買う)

ギターと孤独と蒼い惑星とは違ったテイストの、リズム隊がグイグイ引っ張るタイプの曲。かっけぇ、、、

冷めたライブハウスをアドリブのソロギターから一気に持ってったあの曲。
あんなライブ見ちゃったら物販行くわ。ついでにサインもらうし、当日のこと思い出して何回も聞いちゃうわ。

あのバンドは『対個人』ではなく、『語り手』として歌われる。
1人の主人公が風景を『語る』
ぼっちが自分の内面だけでなく、ちょっとだけ外に目を向けられて、情報を処理できるようになって行った結果だと思う。

対してBase Ball Bearも中期からあるタイミングにかけて『語る』曲が出てくる。
例えばこれとかね

情景描写が詩的で勢いがあって大好きな曲だ。

君と流星群を見に行くお話として『語られる』ので、聞いてる身としては映像的イメージが強く浮かぶ。
そして、収録アルバム『二十九歳』。

これは過去のことを自分の中で咀嚼して許せた。そうすると今の自分も過去の自分も救われた気がする。だから『二重救済』とかけられた言葉遊びもある。

となんかのインタビューで言ってた。(出典が出てこない。)

外を少しだけ向けたこと。
自分の中で自分を許せたこと。

そういった心境の中で生まれた物語。
こういう曲とか、エピソードとか踏まえると一気に大好きになるよね。

【忘れてやらない】

最後のエピソードで演奏された2曲。

アニメで初めて聞いた時、『SHISHAMOっぽい!』と思った。きたちゃんが可愛い。
爽やかなサウンドは一時代のロックシーンそのもの。ゴタゴタしてて情報量が多い音楽が流行っているけど、こういうシンプルで疾走感あるやつが1番染みる。

青い春なんてもんは
僕には似合わないんだ

とサビでかまして

絶対忘れてやらないよ
いつか死ぬまで何回だって

と青春の儚さに縋りつく。歌詞はちょっと寂しいのに、サウンドは爽やかでこのアンバランス感がとんでもなく好きだ。

寂しさとさわやかさの両立はBase Ball Bearの十八番でもある。

フレー!フレー!と聞こえるサビの1部は、『降れ降れ』と表記されて、曲名のSYUUU=驟雨に繋がる(急に降り出してすぐに止む雨)

これはもう完全に個人のイメージになるのだけど、他界してしまった誰かに対しての曲に聞こえる。
サウンドからするとアップテンポで乗りもいいのに、この曲のどうしても埋まらない絶望感はなんなんだろう。

ありがとう ばかやろう

と最後の歌詞に隠されたのは『馬鹿なことやろう』なのか、文字通りの『馬鹿野郎』なのか。
どんどん心が深いところに沈んでしまいそうになるけど、多分フェスとかでやったら普通にやったら盛り上がるし、そのギャップにまた心やられるんだろなと思う。
(あと、ラストのギターソロが小出節100%なので最高。)

【星座になれたら】

はい。劇中歌でいっちゃん好きな曲です。
アニメの演出込で最高です。

最初に話したギターと孤独と蒼い惑星と同様、『ひとりきりさ』と歌われているのに、次のセクションでは

君と集まって星座になれたら

と初めて他者が出てくる。それも、敵としてではなく同じ立場の人間として。
同じ孤独から始まって、最後たどり着く場所で君=バンドメンバーと読みといたのでめちゃくちゃ刺さったし、アニメ見てて泣いた。

その後のアドリブからボトルネック奏法とか超カッコよかった。

Cメロ部分でぼっちが上を向いて、深呼吸する場面。
たったそれだけの場面なのに、『めちゃくちゃバンド好きじゃん!制作チーム!!!』って鳥肌立ったし、ここの場面を見て冒頭の『あぁ、バンドってかっこいいな』と心底思った。

派手では無いところ。目立たないところ。
誰かが休んだり、誰かを引っ張ったり、アイコンタクトとったり、そういうチームワークがバンドを見てて楽しいなと思う一員だったりする。
けど、これをアニメでやるってなると難しいと思うし、やっぱり演奏シーンバリバリ流してた方が映えるんだろうけど、けど、あぁぁぁぁぁ、である。(言語崩壊)

繋いだ線 解かないよ
君がどんなに 眩しくても

の終わりも、っぽいなと感じるところで、こういう細部までよく作られてるなと思う。

星座になれたら  を聴きながら『ポラリスじゃん...』って思ったのはきっと自分だけじゃないはず。

Base Ball Bearは分け合ってスリーピースバンドに転身して活動してる。
ギター、ドラム、ベースの最小編成での活動はそれまでの楽曲の再編集なども含めてめちゃくちゃ大変だっただろう。
誰もがそういった言葉に出さない重たさを感じながら彼らを見てた時にリリースされたのがポラリスだった。

図らずも星座モチーフの曲で、スリーピースの楽しさが詰まってる。
この曲があったからこそ、星座になれたらの君のモチーフがバンドメンバーになったのかもしれない。

ファンとしてはスリーピースで活動を続けてくれることも嬉しいし、学生の頃から活動してる彼らが離れなくてよかったなと胸をなでおろした。解散しても見えないところでやり取りはあるんだうけどさ。やっぱさ。みたいじゃん。

ポラリスはそういうバンド全体、ロックバンドとしての形態自体が愛おしく感じるようで、発売からしばらくたっててもライブで聞くと泣いてしまう。


長々書いたけど、私はBase Ball Bearに近い何かを感じて結束バンドを見てた。
他の人が見たら他のバンドのストーリー重なるところがあると思うし、結束バンドがオリジナルで見てる人もいると思う。

ぼっちは最後まで高校は中退しないで同じように学校に行くし、バンドもバイトもあるし、結末だけ見れば華々しい結末では無いのかもしれないけど、たしかに前を向いて歩いいて、1話と同じ場面が違く見えたりする。

バンド経験者では無いけど、リスナーとしてちょっと上向けたり、バンドに助けられたりする。私はBase Ball Bearで、ぼっちは結束バンドだったって話。

ライブハウスはご時世的にしんどいだろうし、やっぱり知らないバンド見に行くのは腰が重かったりするけどさ。なんか久しぶりに、『バンドってかっけえな』を味わいに、ライブハウスに行きたくなりました。

【おまけの戯言】
各話で現役バンドのオマージュが出てきてそれを探すのが楽しかった。

『売れてる曲片っ端から聞いてカバーしてる』はプロがやること。

でも、ぼっちは本当は椎名林檎とか聞いてそう。

りょう先輩のSigur Rósのポスター貼ってあって『そうだよね!分かるよ!分かる!Sigur Rós!』ってなった。

虹香はキラキラしたバンド聞いてそう。sumikaとか。

きたちゃんはOfficial髭男dismとかkinggnuとか聞いてそう

りょう先輩もkinggnu聞いてほうだけど、きたちゃんとは違った視点で聞いてそう

やっぱりぼっちは、椎名林檎じゃ我慢できなくて倉橋ヨエコとか中島みゆき聞いてそう

星座になれたらの『いいな 君はみんなから愛されて  いいや 僕はずっとひとりきりさ』と言い換えの妙もベボベみがあるなと感じる。humanとかね

星座になれたらのボトルネック奏法。
アニメでは演出として入ってたけど、音源版はぼっちが本来弾きたかったソロが入っていて、『ライブはその時だけ』という生物感含めていいなと思う

星座になれたらは、KANA-BOONのスターマーカーっぽいなとも思ったし、忘れてやらないはユニゾン感がなんかあるなと思った。

りょう先輩はどのアーティストの話を振っても、当たり前のようにカップリング曲の話をしてきそう

きたちゃんはライブ後に絶対ストーリー上げてる。ぼっち以外メンバーはいいねしてる

なんならぼっちはKORNとかも聞いてそう

でもslipknotにはビビりそう

以上です。

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