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サボイのカメ日記-12 酢水にカメを漬けるときの心得

吾輩はカメである。
名前はまだ無い。

どこから来たのか
なぜあの道路にいたのか
下手な探偵風を吹かしてもらっては困る。
それは野暮というものだ。

生物多様性の危機なので
とても急いでいた
とだけ伝えておく。

交番に連れて行かれた時に話は全て聞いた。
吾輩にはなんの選択権もないらしい。
寝耳に水とはあの日のことを言うんだろう。

ちなみに耳は鼓膜だけだが
目の少しうしろにちゃんとある。

カメに耳あり障子に目あり
見た。
見てしまった。
白いホウロウのバケツに水が注がれ
冷蔵庫から取り出された酢が少し足され
グルグルとかき回されたのを。

そして不吉な予感は当たり
なんたることかこちらに手が伸びてきた。
その手にはどう見ても迷いがあった。
こっちとしては迷われることほど怖い事はない。

なんでも
10倍に薄めた酢水にカメを漬け込むと消毒になると
ネットとやらに書いてあったらしい。

やめろーといい終わる前には
虚しくも吾輩の身体はポチャンと酢水に沈んだ。

「うぷぷぷ  ぷぅ。」
もがいたけれど
脱出しようにもどうにも上がれない。

頭上から覗きこまれ
人間たちのごちゃごちゃした声が聞こえた。
せめて、そっとしておいて欲しかった。

気が遠くなってきた
もう煮るなり焼くなり好きにしてくれ

我が運命はいかに。
3ヶ月の預かられ期間まで
あと37日。



追記

いゃぁ、衝撃的でした。
本当に酢水に入れちゃったりなんかして大丈夫?
と不安でした。
ちょっと可哀想な気がして
りんご酢にしてあげようか
いや効果が薄れたら意味がないよね
などなど考えて
時間は短めにするつもりでトライ。

その時の現場の様子です↓

酢水に浸かり中╚(•⌂•)╝

数分で
口から小さな泡が出始めたのを見て
慌てて酢水から取り出しました。  

悪い虫さんは出てこなかったです。

急いできれいなお水で洗ってあげたら
いつも通りの元気で全然大丈夫でした♪

もしカメを酢水に漬ける時には優しく
大丈夫だよー
すぐ終わるよー
と声をかけてあげてくださいね。


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