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昨日も今日も明日も、PERFECT DAYS

遅ればせながらPERFECT DAYSを鑑賞した。
結論から言うと好みだった。
ものすごく最近の私の好みだった。
見ていて共感できる部分や、一生浸かっていたいようなシーンがあったので、備忘録として書いていきたい。

ネタバレを含みます。


〇平山のルーティンと他者の存在


平山は毎日同じ時間に起き、同じ手順で朝の支度をする。
箒の音で起き、布団をたたみ、歯磨きをし、髭を剃り、顔を洗い、植物に水をやり、作業着に着替え、そして外に出て微笑む。
純粋に尊敬する。
(私自身はルーティンが得意ではない。
まず朝同じ時間に起きることすらままならない。)

しかし時にそんなルーティンが崩れることがある。
他者の介入である。
平山の後輩タカシ、タカシのガールフレンドのアヤ、姪のニコ、etc…
どんなに平山自身が完璧なルーティンを遂行していたとしても、彼ら彼女らが介入することで、いつもと同じようには行かず、戸惑ったり心が揺れ動いたりすることがある。
正直、私だったら巻き込まれたくは無いと思うし、そっとしておいてくれよ…!と心でつぶやくだろう。
一方平山はと言えば、戸惑うことはあっても口にはしないし、彼ら彼女らを追い出すようなことはしない。
ただそっと受け止めて、上手く共存する方法を彼なりに模索する。
か、かっこいい…!
人にも自分にも多くを期待しないスタンスは、もしかしたら人も自分も解放する最善の手段なんじゃないかと思った。

〇日々の小さな変化


他者の存在以外に、平山の日々に変化を与えるものがある。
それは天気、植物、そして子どもである。
(まだ自我が芽生えていない子どもはあえてこちら側に入れたい)
天気が良い日には木漏れ日が見えるし、小さな芽が生まれてきたら大切に育てる。
迷子の子どもがいれば、手を取り親元に帰る手助けをする。
そんな平山の姿に、彼の繊細で優しい性格がにじみ出ていた。
なんて愛おしいんだ平山…

〇夢を見る


この映画の一番の衝撃ポイントは、
「夢って映像化できるんだ…!」
でした。
昼間見た木漏れ日、水面の揺らめき、印象にのこる他者の顔、移りゆく景色、etc,,,
人間の5感のうち、8割は目から入る情報だと聞いたことがあるが、その瞼を閉じたときに見る夢もやはり視覚に影響されるのだなあと、よく分からない感想を抱いた。
それから1つ、私個人の場合は夢を見るときにも私自身の意図が入ることがよくある。
しかし、平山の夢はあくまでも昼間見たものの回想であり、そこに平山の意図は見て取れない。
これどっち派が多いとかあるんかな…?
という素朴なギモンでした。
深掘ってみたら面白いかも。

〇平山のPERFECT DAYS


この映画のタイトルPERFECT DAYSの意味するものの1つとして、どんな一日もPERFECTなDAYで、それが積み重なった毎日も、PERFECTなDAYSだよ。
っていうのがあると思って。
現代の日本社会は効率とか充実を求めすぎているのかもしれない。
インスタとYouTubeを3時間くらい見続けて、あ~今日何もしなかったな~って気持ちが地を這うような瞬間とか、朝遅めに起きたときに何でもっと早く起きれなかったんだろうって自己嫌悪に陥る瞬間とか、そんなことばっかり。
でも、たとえスマホいじってグダグダしてたとしてもそれは紛れもなく私が過ごした1日だし、長引いたオンラインミーティングから自分を守り癒やすための息抜きが必要な日だったのかもしれない。
(平山と私の生活には天と地ほどの差があるけれど、それは置いておいて)

私たちは1人1人、私たちにしか過ごせない1日を過ごしていて、たとえそれがどんなに人から見て最悪だと思われても、自分自身がマイナスな気持ちになったとしても、ただそこにPERFECT DAYSがあるだけなんだなと思えるような、そんな映画だった。

〇Perfect Day/Lou Reed


映画を見てから、あの木漏れ日に浸るように鬼リピしているこの曲。

You're going to reap just what you sow
自分の撒いた種は、すべて刈り取らなくてはいけない

洋楽の和訳 Prefect Day -Lou Reed- 美しい陰鬱ロック
https://gizmond.hatenablog.com/entry/2018/05/28/164918

この歌詞を理解できる日が、いつか私にも来るだろうか。

〇追記

私はこの映画を中国からの留学生と一緒に見に行った。
彼女は東京のトイレが建物として独特で面白いという感想を共有してくれた。
確かに地元の公園のトイレはあんなに芸術的じゃないな、なんて思いながら聞いていた。
今度東京を訪れたら、少し注目してみようと思う。

〇追記その2

あとこれHP面白いからマジで!(うるさい)
この浮遊感とわくわく感を、ぜひ色んな人に体感してほしいです。


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