最後にたどりついた自分の居場所とは。

"Gorillaen der var en gorilla" af Kim Fupz Aakeson, Lilian Brøgger 2014 Gyldendal 「ゴリラだったゴリラ」キム・フォップス・オーケソン作、リリアン・ブロイカー絵

以前、絵本イベントをスマイルアイルズさんでさせていただいたとき、マヤルカ古書店さんでトークイベントをさせていただいたときに紹介した本。それぞれの参加者さんからとっても反響があった本。

コペンハーゲンの動物園で平和に暮らしていたゴリラ。ある日彼は「人生ってこれだけじゃないだろ」と思いつき、檻をやぶって外へ出る。郊外のアパートを借り、ホームセンターで働きながら、生きることについて考え続けるゴリラ。やがて彼は素敵な女性と出会い、2人は恋に落ちる。その後2人は同棲し、子どもが生まれ、庭付きの家へ引越し…。すべてが順風満帆に見えたのもつかの間、またまたゴリラは人生について悩み始める。ある日、テレビでアフリカの野生ゴリラを見た彼は、自分のルーツに戻ることを決意。悲しみに暮れる家族を放り出し、アフリカで自分探しをするものの、ここにも自分の居場所はなかった。そして彼がたどりつく本当の居場所とは…。

最後に主人公のゴリラ氏がつぶやく台詞が泣かせる。私も、彼と同じように自分の居場所を探していたのかもしれない、そして私も同じ結論にたどり着いたのかもしれない、と思わせてくれる。子ども向けに書かれているはずなんだけど、どう読んでも大人の方が響くよなぁと思わされる作品。日本人にもぐっとくる作品だと思う。


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