ママのダメさがとっても良い!

"Pia Linda og mor -Dukken" af Andreas Bræstrup Kirstein, Rasmus Bregnhøi, 2014, abc-forlag 「ピアリンダとママ 人形編」アンドレアス・ブレストロップ・キアスタイン作、ラスムス・ブラインホイ絵

ピアリンダちゃんという女の子が主人公の絵本シリーズ。同じ作者が「ポールとパパ」シリーズを出して好評だったことから、女の子が主人公のものがでたのではないかと思われる。このポールとパパシリーズも今度ぜひ紹介したい。

週末。ピアリンダはママと一緒に新しいお人形を買いに行く約束をしていたので、土曜日朝早くにママを起こす。週末のスタートをゆっくり切りたいママは、まずはゆっくりブランチ、次に長風呂、おしゃれをして家を出てから知り合いと長ーい立ち話、カフェでお茶、と超マイペース。やっとのことでおもちゃ屋さんに辿りついたところ、なんとお店はもう閉店。泣き叫ぶピアリンダに、ママは良いことを思いつき…

このママのだらだらさが面白すぎる。とにかくマイペースで、自分のしたいように土曜の朝をゆーーっくり過ごし、そしてやっと娘の願いをかなえてあげようとする。良くも悪くも自己中心的。この様子に苦笑いする母親がきっと多いだろうなぁと思うのだけれど、少し気になるのは、この本は果たしてスウェーデンやノルウェーなど他国でも訳されているのだろうかということ。ここまであからさまにママのマイペース(で超自己中心)さを描いても、デンマークではOKなのだけれど、他国でこれはどんなふうに受け止められるのだろう。私は個人的には、こんなふうに正直にママの様子を描いて、みんなであははと笑って受け止めてしまえるデンマークの明るさが好き。そしてこのママの様子は、先日書いた近年の女性の母親像も表していると思う。

パパの存在が全く出てこないので、ママと2人暮らし(あるいはよくある父母の家を行き来するパターン)なのかな、という印象。これはデンマークの多くの子どものによくある生活パターンなのだけれど、多様な家族の在り方をこうしてさらっと描くところが、とてもスマートだと思う。

同じイラストレーターが重なりすぎて、デンマークの絵本はみんなこの人が描いてるのかと思われてしまいそうだけれど、そうではありません。ただ、人気作品のイラストは彼のものが多いという傾向はあると思う。


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