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飛行機に乗り遅れた夢

(記録のためにおいておきます)

私の夢物語

「飛行機に乗り遅れた」

 松岡佐和


飛行機に乗り遅れる夢を見た。
スリランカ経由で日本に帰る便だった。
私はたくさんの荷物を持っていて、機内に持ち込むものは大きな茶色い紙袋に入れてあり、その中には畿内で読もうと自分で入れたらしい、漫画「王家の紋章」全巻が入っていて、重かった。
漫画は中古で紙は薄茶色に変色していた。
私は「これ、面白いのかな」と少し疑問に思い、何か別の、活字の本を何冊か持っておいた方がいいのではないかなと感じた。
突然、もう時間がないのではないかと気づいた。
うっかりのんびりしてしまった。
慌てて走り出す。
盲滅法に走り出し、数メートルいったところで立ち止まり、引き返して出発便と出発地、到着の都市、ゲートの場所が示された電光掲示板を確認する。
到着地を示すアルファベット2文字には見覚えがある。出発地はこれだろうか、頭がすっきりせず自信がないけれど多分これだろう。
電光掲示板に書かれていた搭乗ゲート番号を探して再び慌てて走り出す。
空港の中はピラミッドのように巨大な四角い石でできている。
行手にはひとつの段差が1メートルほどもある階段がピラミッド型に天井までそびえている。
搭乗口はこの先だ。
こんなもの、登れるのだろうか。
しかしよく見ると人々は正面からではなく側面から容易に登っているようだ。
側面からだと段差もそれほどでも無く、苦もなく登れるようだった。
わたしは側面から他の人々とともに階段を登り、上のフロアでまた走り出した。
当たりをつけて飛び込もうとしたゲートの先のホームに鼻の長い白い車体の新幹線が滑り込んでくるのが見えた。
のぞみ?
ここではない。
振り返り、またさまよって走り、係の人を見つけた。
外国人、というか日本人ではない彼(今思うとエジプト人のような)が、搭乗ゲートの場所を教えてくれる。
何か冗談を言ったようだけどうまく理解できなくて聞き直してしまう。
彼はああ理解できないか、もういいから早く行って、と先を促す。
彼から離れた少し行ったところでその冗談の意味に思い当たる。
この出発地で発行されるチケットは赤茶色の干物のようで、持っているうちにさらに細く、クシャクシャにちぎれて惨めな状態になってしまう。
彼はそれを自虐的に揶揄してジョークを言ったのだ。
ここのチケットはすぐそれとわかる、という意味で。
私は手の中を開き、その中に握られていたすでに細く千切れてみすぼらしい干物のようになった赤茶けたチケットに目を落とす。
係員の彼に教えてもらった場所に駆け込む。
柱の影で持ち物の検査が行われていた。
私は500mのペットボトル入りのベジタリアン向けののだしつゆを持っている。
これは荷物検査には通らない。
他の預ける荷物の中に入れれば通るけど、友人知人たちが私の荷物をもう先に持っていってくれていて、私にはそれを入れるカバンがない。
このだしつゆは美味しいんだと、傍にいた仲間の女性に言いながら、ここでこれは没収されるけれどしょうがない、やりようがない、と諦めて、荷物検査の係員に向けて、だしつゆを、ステンレスの台の上を勢いをつけて滑らせて渡す。
すると荷物検査の係員はこれがあったから、と、代わりに500mlのペットボトルに入ったミネラルウォーター(いろはす)をポーンと宙に弧を描いて投げてよこす。
私の横にいた仲間の女性がそれを受け取り、その場で蓋を開けて美味しそうに飲んだ。
私のだしつゆがこれになったんだけどなと思う。
荷物検査を通過し、仲間たちと合流できた。
もう安心だ、間に合った。
検査場を抜けた2階フロアからはすでに始まった搭乗の長い列が見えた。
列は緩やかに動いている。
仲間達が手分けして私の荷物を持ってくれていた。
見ず知らずの日本人男性(50前後の駐在員風)も、私の仲間の女性に頼まれて私の荷物を運んでいる。
私は彼に厚くお礼を言って自分の荷物を受け取る。
大きな手提げの紙袋の他に長さ70cmほどの濃い茶色の大きなカッティングボード(まな板)も受け取った。
その表面には全面にやまぶき色のマーマレードがベッタリ付着している。
これは捨てていくべきか?
トイレの洗面所で洗おう。
列を抜けて公衆トイレに入る。トイレの中も混み合っていて女性たちが順番待ちをしている。
私は洗面台が目的なので、列をかき分けて洗面台のところに行き、水を出す。
私が手に持っているのは色々な色の絵の具が付着した、ステンレスの白い包丁だった。
私の両隣にはヤンキー上がりのような女性が2人いて私は彼女たちに挟まれている。
絡まれるのを2回ほどやり過ごした。
3回目は彼女たちの態度が変わった。
左にいた女性が私の持つ包丁についている深い青の絵の具を指ですくい、これはアイシャドウになるか?と私に子供のように純朴な様子で聞きながら私の右の女性のまぶたにつけた。
そのいじましい試みに微かに口元をほころばせながら、わたしは白く綺麗になった包丁とともにトイレの外に出た。
トイレから出た途端、2、1、とカウントダウンが終わる声が聞こえた。
わたしはびっくり仰天して飛行機への階段を全力で駆け降りた。
「待って!待って!」と叫びながら飛行機に駆け寄るも、飛行機の出入り口はすでに完全に閉じられて動き出していた。完全に間に合わない。
飛行機はもう止まらないだろう。
飛行機の外にいた見送りの10数名はすでにその場を離れるために空港の建物の方にゆっくり歩き出していた。
私の荷物も仲間も何もかもが行ってしまった。
私を残して。
私の荷物を持って入った仲間達は日本に向けて飛び立った機内で私の不在をどう感じているだろう。
私は飛行機に乗り遅れてしまった。
最低限の身の回りのものを私は持っているのだろうか?歯ブラシは?
飛行機の見送りを終えて帰ってゆこうとする周りの人達。私は彼らの視線を捉えて何か自分に働きかけて欲しかったけど、誰も私に特別な興味は示さないし気にかけない。
飛行機を見送った人々はゆっくり解散してそれぞれの日常に戻る。
いく先もなくうろたえていると、ポンと肩を叩かれた。
褐色の肌の笑顔の男性。
今日まで泊まっていたホテルのスタッフだ。
ホッとし、そこに戻るか、と思う。
ここはスリランカだ。
ホテルスタッフの男性は、
「あんたも子供がいるんだから(しっかりしろよ)」
と、笑っている。
わたしは飛行機に乗り遅れて取り残されてしまった。
そして一旦は手放したこの地の日常が私に戻ってきた。
何もするべきこともなく引き戻されてふとその場に立ち止まる感覚。時間が凪いだ。
大丈夫、着替えは2日分持っている。
私は全ての感覚が自分に戻ってきたような心地がする。
戻ったホテルのベッドの上に座り、明るい光に包まれて窓の向こうを向いている私の姿が見えた。
………………………………………………
この夢を見て目を覚まし、
私は乗り遅れてしまったんじゃなくて、自然な状態に体ひとつで戻ってきたんだと感じました。

エポックメイキング的な夢だなと思いました。

昨日ひとつ決断もした。

その状況が映し出された夢だと感じます。

私の全ての力も戻ってきたし、

自分を追い詰める形で焦らしたり努力する必要もない。

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