飲み帰りの陽気なテンションで知り合いに遭遇したときのはなし。

夫婦そろって、酒が大好きである。

もともと夫婦そろっていたわけではなく、妻の影響が大きい。

妻と出会う前は、そこまで飲んでいなかったと思う。

良くも悪くも、染まるものである。


ところで、宮崎には、ニシタチという繁華街がある。

西橘通の略称だそうだ。

居酒屋はもちろん、おしゃれなバーからピンクなお店まで、あらゆるものがごちゃ混ぜになっており、なかなかに面白いエリアだ。

それも、本当にごちゃ混ぜだ。

普通、飲食とピンクはエリアが分かれるものだが、ニシタチは、食・ピンク・食・ピンクという並びもざらにある。

そのうち、オセロよろしくひっくり返って、全部ピンクにならないか心配である。

ニシ勃ちである。

失礼。


宮崎最大の繁華街ということもあり、宮崎市民全員集合といった趣だ。

いつも、たくさんの酔っ払いでごった返している。

われわれも足しげく通っているのだが、なにせ全員集合なので、とにかく知り合いとよく会う。

かなりの遭遇率である。

楽しく飲んだ帰り道。気分はご機嫌だ。

そんな状態で知り合いに会うのは、それなりに恥ずかしいものである。

妻と手をつないだり、腕を組んだり、組んだ腕の肘で必死におっぱいを触ろうとして叩かれたりしている最中である。

失礼。


どんな会話をしたらよいか分からない。

とりあえず話しかける。

「飲み帰りですか?」

相手の赤い顔を見ればわかるだろう。

何を聞いているのだお前は。

「いや〜今日も人がたくさんで、まいりますね〜」

お前もそのたくさんの中の1人だろうが。

ディ○ニーランドに行って、なんでこんなに混んでるんだと文句を言うのと同じである。

「おつかれっした!またよろしくお願いします!」

何をよろしくお願いしているのか自分でも分からない。


結局いつもそんな感じで、全く内容のない会話を軽くかわし、若干気まずい感じで別れを告げる。

遭遇率の割に、コミュニケーション能力に向上が見られない。

「飲み帰りの陽気なテンションで知り合いに遭遇したときの正しいコミュニケーション方法」は、いまだに分からないまま、今日もまた、ニシタチへ足を運ぶのだ。

飲み帰りに遭遇した皆様方。

私の不自然な肘の動きには、気づいても気づかないふりをして欲しい。

勃ちはあってもオチは無いはなしであった。

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