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現代庭考「新しい原風景」 vol.1

もともと大学(大学院)では環境デザインを専攻し、プロジェクトを通して都市計画、ランドスケープからビオトープ、公園設計といったスケールまで幅広く携わっていました。

現在は主戦場としていわゆる「造園」と呼ばれるものづくりをしている私にとって、ランドスケープ、風景、景観といったスケールはより広い概念のように感じます。

植物や水・石などの比較的動かしやすく、やわらかい素材を扱う造園にとって、建築や土地、背後の山といった揺るがない存在は、想像力を掻き立てる壮大なキャンバスであり、演劇の舞台であり、花を活ける器に置き換えられるように感じています。

広域のランドスケープにおいても背景となるものをどう見せるか、あるいはその存在をどのように活かして全体的な風景をつくっていくかをいつも念頭に置いています。

そして、その人工的につくられたはずのランドスケープが、建築がつくられる以前から元々あったかように工夫して自然に見せることが、見る人にとって懐かしくも新しい原風景に繋がると考えています。

スケールが変わっても、庭的な思考は変わりません。
建築を美しく見せるためのアプローチや、建築のプロポーションを際立たせる植栽の濃密・高低バランス、どこにアウトドアスペースを設ければ快適に過ごせるか、建築の影に合わせた植生、風の方向を活かして香りを室内に届けるなど、
建築設計と同じように合理的に、感覚的な空間体験をより明快に再現できるように計画することを心がけています。

造形においてもいかに不連続に見せるか、人工性を排除するかを追求し、説明可能な設計の次元にまでフィードバックすることで、自然の姿を浮き彫りにできるのではと考えています。

続く



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