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No.007:自由と信念を胸に大海原へ!!プロレスリング・ノア

皆さんこんにちは!サックスマン上野です!

 今回の記事はプロレス界の”方舟”、プロレスリング・ノアをご紹介したいと思います。プロレスファンのほとんどの方からは「え?それを紹介するとか今さらでしょ笑」とツッコミが入る内容になってしまうかもしれませんが、初心者の方にわかりやすい内容にしていきたいと思いますのでよろしくお願いします。尚、プロレスの考え方は千差万別ですので、これからご紹介する内容はあくまでも私の個人的な考えですのでご了承ください。

1.プロレスリング・ノアとは

 プロレスリング・ノアは2000年に”方舟の盟主”三沢光晴さんによって設立された団体です。三沢さんは元々、全日本プロレスで活躍されていた選手で、”鉄人”小橋建太さん、”デンジャラスK”川田利明さん、”ダイナミックT”田上明さんと共に四天王と呼ばれ、ほとんど受け身の取れない危険な技の応酬でファンから熱狂的な支持を集めました。(全日本プロレスについては記事No.006参照)

 しかし、ジャイアント馬場さんの夫人である馬場元子さんと団体の運営方針について意見が衝突し、2000年5月に三沢さん、小橋さん、田上さんら多くの選手と共に退団することとなりました。そして退団から三日後、”自由と信念”を旗印に、プロレス界という大海原を航海する”方舟”、プロレスリング・ノアを出航させました。

 プロレスリング・ノアでは、受けの美学などといったプロレスの伝統を重んじながらも、全日本プロレスでは実現できなかった大型スクリーンやレーザー、スモークなどによる派手な演出を導入し、プロレスファンを魅了していきました。さらに四天王のうち、3人がプロレスリング・ノアに移籍したこともあり、危険な技の応酬だった大迫力のプロレスも続けられました。

 全盛期には日本武道館で定期的にビックマッチを開催して、1万7000人越えの超満員になっていました。当時のプロレス界は、PRIDEやK-1といった総合格闘技ブームに押されていた冬の時代だったこともあり、日本武道館で定期的に大会を開催できる団体はプロレスリング・ノアだけでした。

 このままプロレスリング・ノアの一人勝ちかと思われましたが、”方舟”に突然悲劇が起こってしまいます。

  2009年6月、三沢さんが試合中に頭を強打し、リング上で意識不明の状態となりました。観客が不安な面持ちで見守る中、救急車が到着するまでの間、選手やリングドクターなどが必死に応急処置を施しました。そして病院へ救急搬送されましたが...選手たちの努力もむなしく、病院で息を引き取ってしまいます。

 悲劇はこれだけではありませんでした。

 三沢さんが亡くなった2009年以降、相次いで選手の離脱、主要選手のケガが続き、他団体の選手に頼らざるを得ない状況となっていきます。特に致命的だったのは、主力選手であった秋山準選手、潮崎豪選手、金丸義信選手、青木篤志選手、鈴木鼓太郎選手の離脱です。当時は若手選手を積極的に募集していなかったこともあり、ますます人材不足に陥っていきます。

 そして気付けば”ノアだけはガラガラ”といった言葉が生まれるほど興行数や観客数が減少し、”方舟”はこのまま沈みゆくものと思われました。

 しかし2012年以降、”スーパーノヴァ”清宮海斗選手”Growing Bear”熊野準選手”大器猛進”稲村愛輝選手といった新人選手のデビューが続き、選手層の若返りが図られています。さらには、他団体から移籍してきたレジェンド級のベテラン選手も揃っており、過去と現在、未来のプロレスが入り乱れる状況となっています。

 全盛期に比べれば復活までまだまだ先は長い状況ですが、ベテラン勢と中堅、次世代の選手たちが切磋琢磨し合いながら”方舟”を漕ぎ進めています。

2.プロレスリング・ノアの主な選手と勢力図

 下図がプロレスリング・ノアの主な選手と勢力図になります。全日本プロレスから派生した団体であることもあり、ベビーフェイス(善玉)やヒール(悪玉)といった明確な役分けはなく、各ユニットが独自の色を出して、団体のトップを目指している状況です。また、これ以外にも他団体の選手やフリーランスの選手も参戦しますので、あくまでもこれは一例になります。

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 ここで各ユニットと主な選手をご紹介していこうと思います。

 まずは正規軍(本隊)。リーダーは”方舟の天才”丸藤正道選手(下写真)で、プロレスリング・ノアをずっと支えてきた、ノアの象徴ともいえる選手です。また新日本プロレス、全日本プロレス、プロレスリング・ノアのメジャー3団体のジュニアヘビー級ベルトをすべて戴冠するという快挙を成し遂げた唯一の選手でもあります。現在は後述する武藤敬司選手率いるM's Allianceというユニットと協力関係にあります。

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 正規軍で押さえておきたい選手というと、現在のGHCヘビー級王座(プロレスリング・ノアで最も権威のあるタイトル)のベルトを保持する”豪腕”潮崎豪選手(下写真)がいます。一時期プロレスリング・ノアを離れていましたが再入団を果たし、現在のプロレスリング・ノアを牽引する存在となりました。”豪腕”という異名の通り、その鍛え上げられた腕から放たれる攻撃はすさまじく、特に逆水平チョップは会場の端まで伝わるような非常に大きな衝撃音がします。まさに今のプロレスリング・ノアを牽引する選手です。

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 またこの人も忘れてはなりません。”スーパーノヴァ”清宮海斗選手(下写真)です。デビューは2015年で、年齢もまだ24歳と若い選手ですが、史上最年少でGHCヘビー級王座を戴冠した実力者です。団体創設者の三沢光晴さんが憧れで、その三沢さんが使用していたタイガー・スープレックス・ホールドという技を同じく使用しています。プロレスリング・ノアの未来を担う選手の一人です。

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 前述した丸藤正道選手と共闘しているのが、”プロレスリング・マスター”武藤敬司選手(下写真)率いる”M's Alliance”です。和訳すると”Mの同盟”となりますが、その名の通り名前にMが入る選手で構成されたユニットです。リーダーの武藤選手はかつて新日本プロレスや全日本プロレスなどでIWGPヘビー級王座や三冠ヘビー級王座など数々のタイトルを獲得した選手で、日本プロレス界のレジェンドと言える選手です。GHCヘビー級王座はまだ獲得したことはありませんが、2021年2月12日の日本武道館大会にて同タイトルへの挑戦が決定しています。

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 こういった正規軍とM's Allianceに反旗を翻すために結成されたユニットが”金剛”です。リーダーの”暴挙”拳王選手(下写真)は現在のGHCナショナル王座(プロレスリング・ノアが管理する体重制限のない無差別級のタイトル)のベルトを保持しています。また日本拳法の全国大会や世界大会で優勝したこともある武道家であり、現在は日本拳法の大釜道場の道場長を務めています。その日本拳法を取り入れた多彩なキック技で相手をリングに沈めていきます。

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 次にご紹介するのが、”孤高のテクニシャン”小川良成選手(下写真)が率いる”STINGER”です。小川選手はジュニアヘビー級選手ですが、過去の試合で負ったケガの影響もあり、飛んだり跳ねたりといった派手な技を使用しません。しかし、投げ技や締め技といったクラシカルな技を多用し、異名通りの高度なテクニックを持つ選手としてジュニアヘビー級戦線を戦っています。”サイレント・オブ・ダークネス”HAYATA選手と共に、現在のGHCジュニアヘビー級タッグ王座のベルトを保持しています。

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 最後にご紹介するのが、”KILLING MACHINE”杉浦貴選手(下写真)がリーダーを務める”杉浦軍”です。杉浦選手はなんと元自衛官の経歴を持つ異色のレスラーです。自衛官としてアマチュアレスリングでオリンピック予選を戦うなどの活躍をしていましたが、29歳でプロレスラーに転身しました。プロレスリング・ノアでデビューした新人レスラーの第一号でもあります。他のプロレスラーと比べるとデビューは遅くなりましたが、アマチュアレスリングや総合格闘技で鍛え上げられた肉体と、その肉体から放たれる小細工なしのパワーファイトにより、史上初めてプロレスリング・ノアの5つのタイトル(GHCヘビー級王座、GHCナショナル王座、GHCヘビー級タッグ王座、GHCジュニアヘビー級王座、GHCジュニアヘビー級タッグ王座)をすべて戴冠しました。50歳となった今でも試合時間が50分以上となる試合を戦い抜くなど、最前線で戦い続けるベテラン選手です。

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3.プロレスリング・ノアの主な3つの特徴

 このように個性的なプロレスラーが揃うプロレスリング・ノアですが、プロレスリング・ノアの主な特徴として、以下の3つが挙げられます。

①レジェンド級選手と中堅、若手選手が競い合う!!

 前述しましたが、プロレスリング・ノアには各団体や総合格闘技で名を馳せたレジェンド級選手が集まっています。先ほどご紹介した武藤敬司選手の他にも、UWFや藤原組、パンクラスなどで活躍した”甦ったサムライ”船木誠勝選手、UFC-JapanやPRIDEといった総合格闘技で活躍した”IQレスラー”桜庭和志選手などがいます。プロレスリング・ノアのさらなる躍進のためにも、こうしたレジェンド級選手の存在は必要不可欠ですが、時代は譲らせまいと潮崎豪選手などの中堅選手や、清宮海斗選手をはじめとした若手選手が戦いを繰り広げています。こうした過去と現在、未来のプロレスの鬩ぎ合いが見られるのもプロレスリング・ノアならではです。

②親会社がAbemaTV運営会社!!

 プロレスリング・ノアは2019年より、サイバーエージェントというグループ会社の傘下で活動しています。サイバーエージェントはゲーム事業やメディア事業を手掛ける会社で、「グランブルーファンタジー」などのソーシャルゲームを運営するCygamesや、AbemaTVやアメーバブログといったエンターテインメントサービスを行うABEMAなどもこのグループに属します。これら他事業とのメディアミックス展開により、プロレスリング・ノアはさらなる発展を目指して活動を続けています。

③”方舟”復活へ!日本武道館大会開催!!

 創設者の三沢光晴さんの急死など悲劇が続き、一時期存続が危ぶまれたプロレスリング・ノアですが、選手たちの活躍のおかげで近年は集客数が増えてきています。その証拠に、来年2021年2月12日には約11年ぶりの日本武道館大会が開催されることが決定しました。1万7000人以上を収容できる日本武道館でのビックマッチ開催はプロレスリング・ノアの悲願でした。また前述しましたが、本大会では潮崎豪選手が持つノアの至宝、GHCヘビー級王座に武藤敬司選手が挑戦することが発表されています。もし武藤選手が獲得すれば、史上初めてメジャー3団体のヘビー級王座戴冠が達成されます。この歴史的瞬間が見られるかもしれない日本武道館大会。期待が高まります!

 以上がプロレスリング・ノアのご紹介となります。”方舟”復活に向けて選手たちの激闘が繰り広げられています。気になった方はぜひ試合会場へ足を運んでみてください!

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