見出し画像

この世界の片隅に

今更かよって感じなのですが、8月になると個人的に戦争に関する本・映画、何かに触れようと毎年思っていて。
たまたまNHKで8/9に放送していた"この世界の片隅に”をじっくりと見て、やはりいろいろ考えたことがあったので、残しておこうと思い、ここに書きます。

話のざっくりとした内容は知っていたのですが、お恥ずかしながらちゃんと本編を見たのは初めてでした。最初はちょっと見たら買い物に行こうかな、なんて考えていたんですが、ぐんぐん引き込まれて、結局最後まで見てしまいました。
のんさんの圧倒的な演技力に何度も涙腺が刺激されて、涙が止まらず、映画館でやっぱり見れなかったよなぁなどと思うなど。あと、個人的に周作さんめっちゃ好きなので、終始わぁわぁしてました。細谷さんのあのトーン好きすぎるんだよなぁ。。。

以下、キャラごとに思ったことなど。

北條すず(浦野すず)/のん

のんちゃんっぽいキャラだ!と本当に思ったし、声に感情を乗せるのが本当に上手なんだなと思いました。伸びやかで一生懸命で、少し不器用で、優しくて温かい。方言の感じも自然で、耳に馴染む声だなぁと。
優しい声だけでなく、焼夷弾が落ちたとき、狂ったように叫びながら火消しをするところとか、周作さんとケンカするとことか、玉音放送のあとの激高具合とかもめっちゃよかった。自分の意思で、あまり物事が進められない時代だったけど、その中でも自分が何ができるだろうって考えて、ひとつひとつ実行していくところは、すごく感動した。
あと、めっちゃ好きなのは、周作さんを見送りにバス停まで来たとき、「この右腕があれば、不安に思うあなたの手を握ってあげられたのに…」みたいな(うろ覚え)台詞のとこののんちゃんの声がめっちゃ好き。基本的に明るいトーンの声が多いんだけど、すずさんの心の声を表現する時ののんちゃんの声がめっちゃ好き。心の声で言えば、すずさんが軍艦を写生していて憲兵に捕まった時のことを家族のみんなが面白がっているけれど、”私は全然面白くない”って思ってたエピソード、結構、私も共感できた。ああいうの笑われるとカチンとくる。まぁ大事に至らなかったのはよかったけど、笑い話にされて家族全員にふれまわらなくてもいいよな、と思う。しかしながら、すずさんは、本当に映画本編のあと、幸せになってほしい…!と心から思った。

北條周作/細谷佳正

好きですほそやん…(そういうことじゃない)
優しくて、不器用で、真面目で、でも決めるときは決める!それが周作さん。やっぱり大好きなのは空襲中に鷺を追いかけて、防空壕とは真逆に走り出したすずさんを横っ飛びで用水路に助けてからのシーンかな。”広島に帰る”というすずさんに、本音を言うシーン。すずさんがいる家に帰れて楽しい、嬉しい、一緒にいたい。口調は強いけど、ここですずさん離しちゃだめ!っていうところで、ちゃんとこういうことを言ってくれる旦那さんはいいんですよ…(まぁそれでもいろいろ限界だったすずさんは広島行きを決めてしまうのですが)
水原さんとすずさんの関係ももやっとした気持ち、分からんではない。
周作さんとすずさんの結婚も”気に入らんかったら断りゃいい”とは言われていたものの、よっぽどヤバい人じゃなきゃ、すずさんから断るなんて選択肢はなかったんだろうし、周作さんからしても急に現れた旧知の幼なじみ的な存在…自分よりも砕けた口調、安らいだ表情。”本当は水原さんの方がいいのでは…?”と心のどこかで思ってたんじゃないかな。その選択をすずさん自身にさせるところが周作さんの優しさであり、残酷さでもあるのですが…
私は”行火持ってけなんて言うな~~~~!!!”と勝手に盛り上がってたけどw
恋愛結婚ではないから、だんだん”夫婦になっていく”という感じなんだろうけど、その度合いが男女で違っていたら、夫婦は大変だよね。それを常に”愛してます”とか伝えてるわけじゃないし。周作さん、無自覚にモテ散らすタイプですよね。えぇ、分かります。私はとても、東峰旭を思い出しましたw

北條家の人々

優しいお父さん、優しいお母さん、ちょっと意地悪な小姑、かわいい姪っ子。お母さんは、ほんとしっかり者!ですね。闇市に行くへそくりも出してくれたし、白米も最後まで隠し持ってた。こういう強かな面があると、お母さんめっちゃ頼りになる~~~~(年の功)「全部はだめよ、明日もあさっても生きてかなきゃならないんだから」って白米を渡してくれるお母さんマジで最強っす。
お父さんは、すずさんと晴美ちゃんを守ってくれたときに倒れたのがマジでヤバかったのかと思って泣いてしまった。危なかった…生きててよかった。
径子さんは、こういう話に絶対、出てきてしまう意地悪な小姑。でも、彼女には彼女なりの葛藤があって、それが本当にどうにもならないことばかりで辛い…。晴美ちゃんのことにしてもそうだし、泣ける…最後にすずさんに一人で着替えができるように、ゴムのモンペ作ってくれた時は、ほんとすずさんくらい泣いた。お義姉さんだって受け入れるのに本当に多くの時間が必要だったはずなのに…。すずさんと周作さんの養女にも晴美ちゃんの服をあげたりしたんだろうし、お義姉さんも本当に幸せになってほしい。。。
かわいい姪っ子、晴美ちゃん。すずさんに懐いてくれて、すずさんのハゲの心配もしてくれて、いっちばん、いっちばんたぶん守りたかったものの一つだったはずなのに、それがすずさんの目の前でなくなってしまうという戦争の残酷さ。あのとき思い出した”時限爆弾”の文字がこれほど胸に刺さったことがあっただろうか。思い出すと私も胸が苦しくなる。

辛い、苦しい記憶だけど、実際にあったことだから、受け止めないといけない。向き合わないといけない。そう思って毎年、何か戦争に関係あるものにこの時期、触れるようにしています。
多くの命や国土が失われたのは、たった75年前の話で、パラレルワールドでも異世界でもなく、私たちが生きているこの世界と繋がっている、この、場所なんだってことをもっと強く意識しないといけないですよね。”この世界の片隅”は、今この世界と繋がっている。
時間が経てば経つほど、”実感”は薄れて、人は忘れていくけれど、こうして1年に1回くらい思い出して、これからの75年に思いを馳せてもいいのではないでしょうか。