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私は華奢でパンクロックをやっているような男の子の体が好きだ。

ひょろひょろのシド・ヴィシャスのような、甲本ヒロトのような・・・


私は女の子、ではなかった。スカートが嫌いだった。

いつも髪を短くしていたかった。男の子に混じっていたかった。

自分の おんなのカラダ が気持ち悪かった。

生理が嫌だった。自分の汚れた血液、排卵していることが

気持ち悪かった。

生理のときは今も最悪な気分だ。



女の人のカラダを見るのは好きだ。

ふくよかな胸、柔らかそうな手、丸いお尻。

それを拘束するようなブラに、靴。

小さい端切れのような、陰部を隠すパンティ。

あるときは、麻縄に縛られる女性を美しいなぁとも思った。

靴はいまだに好きだ。



でも、それにはなりたくない。それを身に着けたくはない。

女は子宮で恋をする とか言う言葉にも 寒気を感じたこともある。


仮に、私が女の格好をしているときは 私は私ではなく

商品である。

男の欲求を満たすために美しく化粧を施し、潤んだ目を作り

胸を持ち上げ、 陰部をちらつかせるような端切れを纏い

唇にべったりと嘘の入ったグロスを塗り

甘い毒を盛った囁きをつぶやく 疑惑の吐息でその気にさせる

女の体は 道具なのだ。


男は一夜の夢を金で買う__。

私は一夜の夢をサービスする__。

そういう自分に軽蔑している 別の自分が私を観察する。

もっと悪になれ もっと貪り取れ もっと締め付けてやれ

しかし 商売女は とても親切だ。

夢を見せてあげようととてもやさしく微笑む。

一晩を過ごす間に私の一部分は死ぬ。

そして無表情になる。

自分の価値などない。

しかしカラダの価値は 賞味期限があることを知っている。

否応なしに 商売女は払い下げに遭う。

ふと 振り返ると ひょろひょろの自分が立っている。

嗤っている。

少しは同情してよ と商売女の私は言うけど

少年のような目をした私は

口笛を吹き タバコをくわえ 私の稼いだお金を持って

消えていく。

おいていかないでよ おいていかないでよ

引き裂かれた私は 封印される 次の客が来るまで

封印される。

もうお客はきませんように・・・・

もう惨めな思いはしませんように・・・

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